獣と少女
獣はあっという間に魔導エレベータの中で姿を消した。
魔導エレベータもゲートに似ている。メノウには両者の違いがよくわからなかった。
わかってることは魔力の強い者が使えるということだけ。
だったら、どうして獣が魔導エレベータを使えたのだろう? 魔力の強い獣なのだろうか?
と、今度は扉から少女が出てきた。
「わんわんち! 待ってー!」
少女は獣を追いかける。
少女は獣を追いかけて、少女も魔導エレベータへと消えた。
一瞬の出来事だった。
今のは夢じゃないかと思ったほどだ。
ゲートを覗いてみる。
まだ扉は開いていた。向こうに何か見える。
メノウはゲートの中へ入ってみた。
翼がつっかえそうだったが、なんとか入れた。
メノウがたどり着いた場所、そこは――
* * *
「ここは竜の大地なんだよね?」
スティナはそんなことをヤイノに聞いた。
「ここというか、この下が竜の大地だよ」
「下?」
ヤイノは説明する。
竜の大地の上に浮かぶ天空岩があり、今、自分たちがいるのは天空岩の上であることを。
それを聞いて、スティナはちんぷんかんぷんな顔をした。
「竜の大地にはどうやって行けばいいの?」
「えっと…… 魔導エレベータでいけるらしいけど?」
ヤイノは答えながら、頭の中が「?」だらけになった。
今、スティナは魔導エレベータから来たのだ。
「スティナはどこから来たの? 竜の大地じゃないの?」
「エルフの森から」
「私、竜の大地に会った翼のない男の子にどうしても会いたいの…… あ!?」
その時、スティナはようやく、わんわんちの下にいるのが、竜の大地で会った竜人の男の子だと気づいた。
* * *
ゲートを通り抜け、メノウがたどり着いたのは竜の大地だった。
はじめて来る場所だが、噂で聞いた通りの場所だったからわかった。
赤茶けた大地。草も生えない。
空は雲で覆われているのに、なぜか暑い。
火山の影響なのだが、この時はまだわかっていなかった。




