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【連載版】お前を生涯愛することはない──当然ですわ!  作者: 昊ノ燈


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19/26

19 私は百合ではございません

 それにしても、こんな話を年頃の女である私の前でするなんて、宰相閣下も下品にも程がある…………って…………。

 そんな不満を持ちながらも、ついついメモを取っている自分がいる。


 これは、どう考えても外に出しては駄目な話。メモをとるなんてお叱りを受けるかな──と、思って、宰相閣下に目を向け直すと、気にしていない様子。

 何故なんだろう?

 不可思議な現象は、ここにも起こってる。



「でね、ここまで解答してしまうと、何故呼ばれたんだろうなんて、思ってますよねぇ」

 別の現象もあるんですよ、と宰相閣下は続ける。

 第三の現象。これはナタリア嬢も関係してますよね、から始まった話。


「昨年結婚した第二騎士団副団長のカーライル・ハイデンマルクは、奥さんと性交渉をしていない、つまりは白い結婚の状態なんですよね。ナタリア・ブロッサムス嬢」


 何故、第二騎士団副団長の家庭の事をナタリア嬢に聞くのだろう?──多分、そんな事をポールさんは考えてんだろうな……。

 こちらを見る目が、そう訴えてるよ。


 でも、私に出来る答えは。

「はい」


「やっぱりね。騎士のタクトキオ・パナマシンのところも、そうなんでしょう?」

「はい。そう聞いています」


 ポールさんは、何故この女性はそんな事を知っているのだろう?──って、絶対考えてる目だ。


 疑問に答えることもできずに、宰相閣下と会話を続ける。


「その他にも、第二騎士団の団員達は白い結婚の者は多いですよね」


「はい。ある程度は把握しています」

「ですよね~。それに、第二騎士団の結婚率は他の騎士団と比べても著しく低い」

「はい」

「よく知っていますね。流石は、副団長の愛人さん」

「元彼女です。〝元〟〝彼女〟です」

「すいませんね。で、元彼女さんにお聞きしたいのです。当時の状況をね」


 やっぱり知ってた〜。宰相閣下は、私の過去を知ってたんだ〜。


「ナタリア嬢は、第二騎士団副団長カーライル・ハイデンマルクの愛人──いやいや、元恋人だったの?」

 小さい声で呟いてるのが聞こえた。

 ゴメンね、ポールさん。なんで、貴方に『ゴメンね』か分からないけど、ゴメンね。


「私と彼の間に、性交渉はありませんでした」

 私がカーライル様と付き合ったのは四年間。私が学生の頃から、そして彼が結婚するまで。

「それと、結婚するまでと言っても、結婚前ではありません。暫くしてからです」

「ほう、それは何故なの?」

「ミラ様──カーライル様の奥様のミラ様に、教えていただいたので」

「なにを?」

「いや、あの、そういう世界もあるのだなぁって」

 私は、ポールさんの方をチラッと見て、ぎこちなく微笑んだ。


 でも、なんで宰相閣下は、ここでこんな話を振ってくるんだろう?

 ポールさんの複雑そうな表情も気になる。


 ちょっと整理してみる。

①カーライル様とミラ様は、白い結婚。

②カーライル様とナタリアは付き合っていた。

③カーライル様とナタリアに性交渉は無い。

④『そういう世界』→『新しい世界』

ナタリアはミラ様により新しい世界を知った。

⑥ポールさんが恥ずかしそうに私を見ている。

 つまり、そういう事って思われたんだろう。

 私が女同士(百合)の世界に入ってると、思われたんだろうなぁ。


「トールテサイッツくん。だから何なんだって、思っているでしょう。やっぱり、自分が呼ばれた理由が分からない。何故、自分が呼ばれたんだろうって、思っているでしょう」

「はい」

「ナタリア・ブロッサムス嬢ももう少し聞いて下さいね。実はね、今までの全てに関係している人がいるんですよ」

 宰相閣下は、少しじらしながら続ける。

「フレイマン・トレンディウスですよ。第二王子妃キャサリン様の実兄。第二騎士団の副団長補佐という役割を担い、カーライルくんを始め、他の騎士達に大きな影響力を持つ」


 ああ、なるほど。


 彼を中心に不可思議な現象が起こっているのか。


「それでね、君たちに彼の調査をお願いしたいんですよ」


 なるほど〜。


「って、なんで自分とナタリア嬢が?宰相閣下は、影をお持ちなんでしょう」

 焦った感じで、ポールさんが言う。


「ふう。彼ね、意外と凄腕なんですよ。影、三人殺されちゃった」


 『殺されちゃった──テヘペロ』じゃないでしょ。隠密に長けた影が殺されてて、ただの文官見習いに過ぎない自分に何ができるというんでしょう──そう、何もできるはずがない。死ねと仰られているんですか?


「だからね。プロじゃなくてさ、意外と素人の方が殺されないかなぁってね」


「何故、自分なんですか?」

 ポールさんも必死だ。


「僕の補佐官で、生きてた(起きてた)のが君だけだったから──こういうのって、その時その時の縁っていうのが大事なんだと思うんだ〜」

「はぁ?──じゃあ、ナタリア嬢は?」

「男だけだと危ないと、思うんだよね。もちろん、女だけでも危ない。でもね〜、彼女は、ね。記者さんだからだよ。ねっ」


「はい。承知いたしました!」

 ここは受けるしかないでしょう。

 宰相閣下は、私が〝白と青の出版〟の記者兼作家と知って依頼している。だとしたら、流れから言って、受けるしかない。宰相閣下のお墨付きで記者活動ができるんだから。

 横では、ポールさんが絶望的な顔で、私をみていた。

【昊ノ燈】と申します。


読んでいただき、ありがとうございます。

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