15 百合の甘い香り
今回は、もしかして18禁?
大丈夫だよね?
ねっ。
ねっ。
ね?
キャサリン様の侍女である私が、主であるキャサリン様の情事を外部に漏らすなんて、あっていい事ではないなんて、重々存じ上げております。
ですが、彼女に言う以外に、私の心を維持する方法がないのです。
彼女達が、私たちを腐女子と呼ばれる存在に貶めたのは、理解しています。でも、彼女達のおかげで、甘美なる新しい世界の存在を知る事ができたのも、事実なのです。〝白と青の出版〟が紡ぎ出す、薔薇の世界。
そこに、現実を落とす以外に、私の心は救われないのです。
私の身体を蝕み、沈めていく、女同士の関係。百合と呼ばれる世界。それもフィクションという仮初の世界に浄化して、慰めて欲しいのです。
そして、私は、彼女達の一人である彼女、ナタリア・ブロッサムスに、この事を告げるのです。
それは、第二王子殿下の初夜の出来事を告げてから、二回目。
◇
第二王子殿下の夫婦の寝室には、キャサリン様とクレイシュ第二王子殿下、そしてキャサリンの護衛の女騎士と私の四人がいる。
第二王子殿下は、ベッドに寝転ぶ事無く、ベッド脇の椅子に縛り付けられている。もう、諦めるしかないでしょうね、毎晩の事ですから。
彼も、初めは抵抗していました。
抵抗しようとも、王子殿下では、肉体派の女騎士からは逃げられない。どうしても逃げられない…………。
私たちの蔑んだ瞳に突き刺されながら、寝室に連れてこられて、椅子に拘束される。
「──でね、六歳の時に三カ国目の言語の授業が始まったんだ。ラトリネア語だよ。旦那様は、何カ国後話せます?私は、六カ国語。母国語だけなんてことありませんよね──」
「──でね、六歳の時のお茶会でね。みんなクッキーとかビスケットを食べてたんだよ。でもね、旦那様に相応しい女性になる為にって、体重まで管理されててね、私は紅茶だけ。それも、砂糖もミルクも無し。今では慣れたけどね、当時は辛かった──」
「──でね、六歳の時に読んだ本がね、信じられる?国学書だよ。それも、クルメヌト国、フシヨツ国、オレラント国、ラトリネア国の国学書。それぞれ二十冊以上だよ。一昨日言ったでしょ、五歳の時に自国の国学書は、全部読んじゃったから。でね、旦那様は知ってる?フシヨツ国の第三期王朝の事──」
今日は、昨日に引き続き六歳の頃の話をされるキャサリン様。
分かってる──いや、良く分かっております。キャサリン様がどれほど頑張ってこられたか──いや、頑張らざるをえなかったかを。
「あっ、眠そうな顔してる。酷いなぁ、まだ今日が終わったばかりの時間だよ。私なんて、五歳の頃からずっと四時間以上寝たことがないんだよ。全部、旦那様に相応しい女性になる為。でも──」
「す、すまない。本気じゃ無かったんだ。そう、疲れてたんだ。あんな事、本気で言う訳がないじゃないか」
「あんな事って?」
「お、お前をしょ……生涯あ……愛することは……ないって」
「うん。辛かった。でもね、それも全てお互いの事をよく知らないのが原因じゃないかってね。私がどれほど頑張ってきたか分かってもらったら、きっと旦那様も愛してくれるんじゃないかって──」
「わ、分かった。分かったから」
「だからね、いっぱいお話しましょう。──アン、旦那様に飲み物をあげてちょうだい」
キャサリン様の指示で、私が無言で茶色い飲み物を持ってく。
「嫌だ、ごめん、それだけは許して」
「許してって、人聞き悪いなぁ。前にも言ったでしょ。これは男性を元気にする飲み物なんだって、だから毒じゃないんだよ。お兄ちゃんに教えてもらったんだ。だから飲んで。旦那様には元気でいてほしいからね」
「嫌だ。嫌だ。い──ゴブッ」
縛られた第二王子殿下に、女騎士と私が二人がかりで飲ます液体は、ドロッとして口中を満たしていく。吐き出すことは許さない。頬と首を掴んで、無理矢理喉の奥に流し込む。
少しの間もなく、体の奥の方が熱くなっていくんだろう。尋常じゃない汗をかいて、下腹部の一部が膨張していくのが服の上からでも分かる。
「ゴホッ。げ、元気にするの意味が違──あっ、あああぁぁ…………」
分かっているのか、いないのか、キャサリンは今日も、ゆっくりと自分の服を脱いでいかれる。
「──でね、閨教育っていうのも勉強したんだよ。毎日言ってるよね。でもね、先生に大事な事って言われたんだよ。だから、今日も旦那様にも教えてあげるね。でも、恥ずかしいね、裸でね。これはね、男性をその気にさせる勉強なんだって。その気って、どの気なんだろうね」
動けない第二王子殿下の前で、可愛らしいキャサリン様が、途端に妖艶に変わり、大人となりつつある身体を捩らせていく。
拘束された第二王子殿下は動けない。
触れることもできない。
自分を慰める事もできない。
熱い体が、更に熱くなっていくのが、どんどん赤くなっていく肌色で分かる。
今日も、甘美な地獄が始まる。
その気になりまくっている体を、激しく脈動する血液が駆け巡り、我慢しきれない衝動が痛みとなる。
く、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ………………
「でね、今日も、お香も準備したんだ。男性をその気にさせるお香だよ。大事な時に使えって、先生に貰ってたんだけど、今日も使っちゃうね。その気ってなんだろうね?好きになってくれることなのかな?」
「や……やめぇ……て…………ゴメン…………ゴメン…………あっくぅ………………………………やらせ……て…………ねが…………い………………………………………」
悲痛な第二王子殿下の声の中、お香の効果は、私たち、私と女騎士にも影響していく。
キャサリン様は、どこかイッてしまった様子で、一人で自分の身体を熱くしていく。
私は、鎧を解いた女騎士と、主人のベッドの上で…………………。
彼女の逞しい腕が私を包みこんで…………。
女同士、甘い吐息に沈んでいく…………。
【昊ノ燈】と申します。
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