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【連載版】お前を生涯愛することはない──当然ですわ!  作者: 昊ノ燈


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11 〝白と青の出版〟は、乙女の夢です

 業務終了の鐘が城内に鳴り響く。

 城下にも響くそれは、時を告げる鐘だ。

 城下の人々は家路につき、呑み喰処は看板を掲げる。


 ゾンビ製造工場と化している宰相補佐室でもそれは一緒。私だけ、だけど……。

 補佐室唯一の女性職員であり、見習いでもある為、私だけはここで帰ることを許されているんです。と言っても、本当は皆に定時があって、帰ってもいいんだけど、仕事が終わらなくて自主的に帰らないだけ。これを責任感があると言うか、(マゾ)と言うかは、感じる人それぞれなんだろうけど、私的には、責任感と思っている。いや、責任感と思ってあげたい。そう信じてる。

 と、こんな事を言えば、じゃあお前も残って働けよなんて声が聞こえてくるかもしれないけど、無視。二年前の私だったら、『これが文官の道なんです』なんて言いながら、ゾンビ化していったかもしれませんけど、今の私は趣味(副業?)に勤しむ自由な女ですから。


 さて、今日は、編集長の所で絵師さんと打ち合わせでしたわね。途中でお土産のお菓子でも買っていくとして、急がないと。



 ◇


 やってきましたハイデンマルク邸。

 カーライル様の御屋敷なんだけど、カーライル様が帰って来る事がないようなので、ミラ様邸と言った方が良いのかもしれません。元々がミラ様のご実家であるジョナリス侯爵家のタウンハウスの一つだったらしいので、やっぱりミラ様邸が正しい気がする。


「ナタリア様、いらっしゃいませ」

 挨拶してくれた女中頭のハンナさんにお土産を渡してから、ミラ様の私室に向かう。始めの頃は、酷いもんでした。特に私が、カーライル様の恋人(愛人)と知られた時には、槍持って追い回されたもんです。いやぁ、それが今は、勝手知ったるもの。


「編集長、遅くなりました」

「ナタリアさん。仕事以外の時はミラと呼んでくださいね」

「は、はい。ミラ様」

 私に微笑みかけてくれたのは、この館の主にしてカーライル様の奥様であられる、ミラ・ハイデンマルク様。白金(プラチナブロンド)のフワリとした髪に宝石のような翠の瞳、ちょこんとした鼻と唇。可愛らしさの中に高貴な美しさも併せ持つ高級人形(ビスクドール)の如き令嬢(夫人)。そして、我が〝白と青の出版〟のオーナー兼社長にして、敏腕編集長でもある。


 ちょっと理由(ミラ様に勧められて)があって手にする事になった分厚い予言書(超長編BL小説)。ぶっちゃけ、若い騎士達がお互いに求め合う衝撃的な内容の本。

 その予言書によって、私の価値観は大きく変わってしまった。いや、前世の記憶が私を衝き動かしたのかもしれない。

 嵌りに嵌まった末に頭の先まで嵌まってしまって、クロールで泳ぎきった上で、読むだけで収まらず、新しい文化を提案してしまった。それは、シーンとシーンで細かく分け、挿し絵をメインとした手に取り易い薄めの本を作成する事。俗に言うところの〝薄い本〟ってやつ。そして、遂には読み手から書き手に変わってしまう事になる。


 うん、楽しいからOKだけどね!


 まあ、付き合っていたカーライル様も、あちら側だったんだけど…………(だって、どんなにモーションかけても、体の関係が無かったから、可怪しいとは思っていたのよね)。既に私の周りには、そっちの世界が広がっていたんだね〜。


 名もなき出版社から出された、予言書『襲撃体勢万端です──青白き焔を燃やす騎士達』の分冊版絵本は、アンダーグラウンドで爆発的な人気を博した。薄い本文化は、腐女子文化を伴って王都に根を広げる事になる。

 その後、名もなき出版社は、〝白と青の出版〟と名乗り、騎士団内の情事をメインとした『青シリーズ』、完全フィクションの聖女の物語『白シリーズ』をリリースしている。

 ちなみに、両シリーズの作家は、私、ナタリア・ブロッサムスである。

 つまりは、私は売れっ子人気作家!


「ねぇ、ナタリア。仕事は食事の後でも良いかしら?もうすぐイリヤも来るはずだし、うちの料理人も張り切っちゃってるのよね」

「あっ、はい」


 イリヤ様っていうのが、絵師さん。

 これがまた、萌える絵を描いてくれるんです。私の本の魅力の半分は、イリヤ様のおかげ。ん、半分以上⋯⋯七割⋯⋯八割⋯⋯。

 で、このイリヤ様、タクトキオ・パナマシンっていう、これまた第二騎士団の騎士さんの奥様なんだけど、結婚してから一年、未だに夫婦の性交渉が無いんだって。まぁ、こちらは、ミラ様と違って、イリヤ様の方から白い結婚を言い出したらしいんですけどね。夫婦って、色々あるんですね…………。でも、ついに逆ギレされたのか、旦那様から『お前を生涯愛する事はない』って言われちゃったんだそうです。

 私やミラ様よりも年下で、あどけない感じで守りたい!って思わずにはいられない可愛らしいお方なのに…………何故?

 お願いしてでも抱けばいいじゃない。

 ミラ様といい、イリヤ様といい、私が男だったら離しませんよ。嫉妬に狂って、家の中に監禁したいレベルだよ。

 どうして抱かないの?

 どうして抱かないの?

 どうして抱かないの?

 第二騎士団って、バカの集まり?

 あっ、あっちの集まりだったか…………。


 残念だよなぁ…………。







【昊ノ燈】と申します。


読んでいただき、ありがとうございます。

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 楽しんでいただけたら幸いです。


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