3. 称号に煽られるのは許せない
――称号【復讐対象】を獲得しました
称号【自称被害者】を獲得しました
称号【狼の天敵】を獲得しました
そんな称号を手に入れ、よくわからないままアヴェンジャーフェンリルとの戦闘は終わった。
...一つだけ言わせてね?称号でボクに酷いこと言うのやめよう?
「っとまぁ兎に角...死なないでよかったぁ」
よくよく考えたら死んだらまたあの街に逆戻りだからね、流石にあんなことしといて戻る気は起きないよ。
そして、一つ気になるのがさっき発動した称号、【恐怖を抱き、抱かれるモノ】だ。最初はなんだこれ?と無視していたが、称号とは武器に一つだけ付けられるアタッチメントのようなものらしい...便利だね。なんで気づかなかったんだろ。
で、今持っている称号の効果の一覧が...
――――――
【恐怖を抱き、抱かれるモノ】
:状態異常「恐怖」、敵対者に恐怖心を少しでも抱く、この二つを条件に【黒き眼差し】を現在の階梯から2階梯上げた状態で発動する。【主無き誓い】専用称号。
【復讐対象】
:【亡き同胞を悼む者】と遭遇しやすくなる。【復讐対象】シリーズ専用称号。
【自称被害者】
:敵対者一名との体力の割合が自身の方が少ない、相手が【復讐対象】シリーズを使用している、このどちらかを条件に10分間一つのステータスを200%にできる。
【狼の天敵】
:狼族への攻撃に限って威力が130%になる。
――――――
と、こんな感じ。
どれもこれもしっかり使えば馬鹿みたいな性能の称号だ、こんなのをゲームを始めてすぐ手に入れられてしまうなんて運営は頭がおかしいのではないか、そう心配して攻略サイトなどの既存称号を見てみると、【復讐対象】と【狼の天敵】はある程度持っている人がいた。
その他にも【剣聖】や【勇者】など名前からして強そうな称号もあった。それが既存称号、つまりプレイヤーが持っているということ。あの街での事件が他にも広がって称号持ちに狙われたら...あまり深く考えるのはやめよう。
...掲示板は見なかったのかって?見るわけないでしょ怖いもん。
「あとは...これだよなぁ」
攻略サイトにも載っていた、【亡き同胞を悼む者】から低確率でドロップする、【復讐対象】シリーズ。
――【恐れ慄く狼牙】
黒い刀身に血管のような筋が入っている二振りの短剣。
【亡き同胞を悼む者】の元の種族、進化したときの姿、殺し方によって何万通りもの姿になるニアユニーク、基本的に一つしかスキルが無いし、扱いも困難、だけど使いこなせたときにはバインドユニークをも超える逸材。
そんなボクの【恐れ慄く狼牙】はどうなのかというと、
――――――
【恐れ慄く狼牙】
分類:ニアユニーク
称号:未設定
スキル
【亡命者】
:自身の30m以内の背後に敵対者がいる場合、AGIを400%にする。
精々足掻け、死神はすぐ其処にいる
――――――
恨まれてんなぁ...。
色々自分のステータスを弄ったり、武器を見てニヤニヤしながら歩いていると、ようやく最初の街「ナイトガーデン」の次の街、「リング」に着いた。
ナイトガーデンより荒々しいというか、騒がしいなというのが第一印象だった。なんせこの街には闘技場が存在していて、空間を広げて広範囲でバトルロワイアル的なものが出来たりもするらしい。そりゃ騒がしくなるわけだ、ボクだってそうする。
念のためフード付きのコートを買い、街中を歩いていて一つ知れたことがあった。ナイトガーデンでのあの惨劇は広まっているものの、顔までしっかり覚えている人は少なく、スクショも取られていなかったので一部の人間が躍起になって探している以外は人々の興味もどんどん薄れているらしい。やったね!
情報収集を終え、何時間もログインして疲れた事もあり、ここでログアウトすることにした。
ピコンとチャットアプリの通知が鳴る。
『で、どうよアナザーは』
『どうせちょうど今初プレイ終わったとこなんだろ?』
『俺が誘ったしな、感想くらい聞かせてや』
「まだよくわからないけど面白いとは思うよ」
「一応明日もやろうかなって感じ」
僕を誘ったネットの住民、貝殻からのメッセージだった。
二人でアナザーについて話していると、
『ちょうどお前がオンラインになったころに初期街で』
『なんか色々あったらしいぞ』
心臓の動きが少し早くなるが、別に通話でもないので冷静に返す。
「すぐレベル上げ行ったからわっかんねぇや」
『俺の知り合いが巻き込まれたらしくてさ』
『血眼になって犯人?探してるらしい』
『そもそも何があったか知らんけど』
「まぁこっちでも色々見てみるよ」
...誤魔化し聞いてよかったぁ、
『ねね、そんなに楽しいの?アナザーって』
『お、興味出てきたか?』
『まだ買う気はないけどね』
『ルカがやって楽しかったらやろうかなぁ』
『賢い判断だな』
「いいね、もし買うなら楽しみに待ってるよ」
そんな会話をダラダラとしながら夜は更けていった。




