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第600話

クソっ、家族(ファミリア)風呂には騙された!!



従魔=家族(ファミリア)、その従魔達と一緒にお風呂に入れるというのは何一つ間違ってはいない。俺の中で間違っていると判断したのは、テイマーの入る風呂が樽にされていると言う事だ。しかも湯温がぬるい。体感で三十度有るか無いかだ。プールには熱く風呂には寒い、そんな温度だ。


従魔用の浴槽も通常のドワーフ用の半分以下の深さだった。猫も溺れない深さと言えばいいのかな? そもそも大型種は家族(ファミリア)風呂は利用不可だったが。



これ、従魔を洗ってあげて、一応テイマーも入浴出来ます。間違って従魔が樽風呂に落ちても火傷しない様に、お湯の温度はぬるくしてあります。って事なんだな。そして飼い主とペットでも利用は可能だった。ペットと食事が出来てお風呂にも入れる施設か。冒険者ギルド、侮りがたし。


浴槽がショボい代わりにシャワーが完備されていた。ボタンを押すと一定時間お湯が出て来るタイプだ。前世でも銭湯や旅館の大浴場にそういうタイプのシャワーがあったな。学園のお風呂とどちらがマシなのやら……。まぁ、俺の望む風呂は俺が作るしかないのだ。


それでも、アンディーとカトリーヌは一緒のお風呂を喜んでくれたし、コカちゃんは楽しそうにお湯に浮いていた。アヒルやカルガモの雛でなくても浮くんだな。今の瞬間からコカちゃんをお風呂隊長に任命!!



コッピョ コッピョ

(「ヒゲママ、ヒゲあらおう」)



まさか、コカちゃんから髭を洗わないのかと諭されるとはな。そして髭は浮かない。その代わりと言っちゃなんだが、樽風呂は俺が占有しているので髭をお湯に浸けても誰にも怒られないのだよ。髪の毛と髭がお湯に浮かんで不気味だけどなっ!! こんな海坊主は嫌だ状態だな。名付けるなら妖怪・漂毛か浮毛だろうか。あっ、妖怪・浮毛浮髭(ふもうふし)だ!! 浮毛浮髭(ふもうふし)の妖怪。不老不死と空耳されてアンデッドと間違われる未来が見える。死してなお毛が伸び続けるモンスターなのか? もしくは妖怪・漂毛者(ひょうげもの)剽軽者(ひょうきんもの)を表す “ へうげもの ” ではない。



{ ――― オレたち漂毛(ひょうげ)族ですね ――― }



ゔっ……湯浴み着を着用したドワーフがシャワーの下で手をクロスさせ、ずぶ濡れになりながら苦悶している姿が脳裏に浮かんだ。


うーむ、髭と髪の神様はこんな姿なのだろうか?



{ ――― 無病息災の神様と毛を司る神様は双子神で、とても仲がお悪いんですよ ――― }



なにその情報!? 無病息災→怪我無い→毛が無いって事か? 前世の民謡に、禿と禿が喧嘩したけどどちらも “ ()()()()() ” 良かった……って歌詞の物がなかったか?




ムキュウ ムキュウ

(「ますたー おそろい」)


プー

(「そっくりだしー」)



アンディー達の声に脳裏で繰り広げられた妄想を振り祓う。従魔用の浴槽を見たらアンディーが皮膜を広げてお湯に浮かんでいた。それがお揃いって事ね。カトリーヌは短い手脚を一生懸命動かして泳いでいる。犬かきならぬ豚かきだな。この浮き玉(フロート)は可愛いぞ。



従魔用の石鹸で三頭を洗い、俺の体も洗った。ドワーフ用の石鹸より油分を洗い落とさない仕様かな。仕上げはシャワーで。浴槽のお湯は抜いてから家族(ファミリア)風呂から出る決まりになっていた。そしてちょっと特殊な脱衣場だよなぁ……と思っていたけど、湯上がりに従魔の毛を拭いたりする為の構造だったのか。毛に含んだ水を飛ばす為に体をブルブルされても大丈夫。足元はスノコならぬスノッコ。ありがとう、過去の転生者。濡れたタオルと湯浴み着は回収バケツに入れておけばよし。洗濯代を払っても便利なものは便利だ。



もしかして俺の髭が浮かないのは髭の神様への信仰が足りないからなのだろうか?


ヤーデさんのメッセージを耳にしたせいでそんな思いが浮かんでしまった。髭の神様を調べてみるか。メジャーな神様を取り上げた書物は冒険者ギルドに置いてあったからな。まぁ、この『ハポン=ヤポン』には神様は沢山いるので、もし神様の名前や管轄が分からなくても 「◯◯の神様へ」 と祈りを込めたりお供え物をすれば神様には届くそうなので、簡単だというか拍子抜けすると言うか。唯一神信仰にギチギチに固められていなくて良かった。上様、ありがとうございます。



体毛、獣毛、毛皮の神様はパァン神。毛、全般を司る神様だ。髪の毛も髭も獣毛も、総ての毛はパァン神の管轄か。毛皮はパァン神の管轄だけど、獣毛を紡いで糸にしたら管轄から外れるのが面白いな。


無病息災の神様はドォン神。作業中の無事故を祈るのもこのドォン神だ。この神様を信仰するヒト族の神官は少し特殊で、体毛を全剃りし、 “ 毛が無い=怪我無い ” を体現しているのだとか。そんな事もあって、ヒト族の僧侶(クレリック)は頭頂部を剃っている。イメージ=宣教師ヘアーだな。落ち武者ではないと思う。


そして兄神がドォン神で弟神がパァン神。双子で仲の悪い神様だった。何処かでドンドン、パンパンと音がしたらそれはドォン神とパァン神の兄弟喧嘩の音なのだとか。実際のところは雷等の自然現象の引き起こす音なんだろうけどねぇ。


そしてドワーフはどちらの神様も等しくお祀りする。髭も無事故もどちらも大事。なのでドワーフのドォン神の神官は毛を剃らないし僧侶(クレリック)も頭頂部は剃っていない。それでも不都合は起きていないので、剃毛という行為自体は不要なんだろう。



そうか、パァン神か……。パァン神、お願いします、俺の髭が浮きます様に……。今度、髪飾りと髭飾りを作ってお供えしよう。

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