第597話
本気を出した豚さん達の活躍は凄かった。事前に冒険者がチェックしきれていなかった毒キノコも見つけ出してくれてたしね。
「これは、【手持ち豚】の新たな可能性を探らなくてはいけなくなりましたよ」
「キノコ形魔獣の探査が出来る可能性がありますね」
「愛玩用以外にも有用だとヒト族に売り込めますよ」
プープー
プキィ
プップー
「カトリーヌ、【手持ち豚】さん達は何て言ってるの?」
プキィ プキィ
(「ダンジョンより、ダンジョンより、鉱山が好き〜、って言ってるー」)
あー、害虫を退治したり鉱山に連れて行かれるのは好きだけど、冒険者達に戦闘を含むであろう探索に連れて行かれるのは好まないって事でいいのかな?
プープ プープ プップー
(「アタシもだけど、のんびり過ごすの楽しいじゃん」)
プープー
プキィ
プー プー
カトリーヌに同意してるな。みんなのんびり【虫不来草】を食べて煙を吐くのが好きなんだな。鉱山とダンジョンは別物でしたか。
おっと、野生の【虫不来草】が現れた。というかその辺に生えてるな。【手持ち豚】さん達、よく我慢できたな。
「あの、その辺りに生えている【虫不来草】って与えても大丈夫ですか?」
「少しなら大丈夫ですよ」
そうか、だったら採取して皆にあげよう。一応、JSSのトリプルコンボを掛けておくか。そして俺も味見だ。うん、晩秋の葉は硬いな。ヨモギ餅に適した葉は確か春先の新芽が最高だった記憶がある。来春は採取しに行こう。そして【手持ち豚】達に【虫不来草】の葉を与えるとお礼に虫除けの煙を吐いてくれた。
プー プー
プピプピ
プピッ プープー
(「お外で虫除けの煙を吐くとドワーフ喜ぶっしょ」)
「確かに。みんなありがとうね」
プープー
プキィ
プ〜〜 プ〜〜
(「あれが噂の “ 草喰みドワーフ ” って言ってるしー。マジウケるんですけど」)
えっ、【手持ち豚】界隈での俺の二つ名が “ 草喰みドワーフ ” になってるの?
ムキュウ
(「おうまさん とりさん おなじかも なの」)
いや、食える餌なら試食するでしょ? 前世で知り合いの熱帯魚飼い氏が乾燥クリルを口にして 「これ、お湯をかける前のインスタント麺の具のエビ味だよ。衛生状態が不明だから一匹しか食べなかったけどね」 と言ってた事を思い出した。ちなみに熱帯魚飼い氏曰く、 「クリルはエビではなくオキアミ」 だとのこと。同僚の猫飼い氏は猫缶を試食したって言ってたし。
プープ プープ!!
(「ご主人様も一緒のご飯、最高だし!!」)
そっ、そうだよね。同じ釜の飯を食うって事だよね。同じ魔増の草を食うって事だよ……多分。
採取再開。特に変わったことも無く、十分な量の【タロール茸】と【トリル茸】が見つかった。その他、食用キノコも採取されたので、戻り次第、商業ギルドで確認作業が行われるのだとか。
俺は結構な量の【スライム茸】ことナメコを採取出来たのでホクホクです。
「なんやの、ミーシャはんは【スライム茸】マニアなん?」
「これ、三毛皇閣下がお好きなんですよ」
「けったいやな」
「三毛皇閣下の暮らしていた国ではこれを工場で栽培していたそうです」
「ホンマかいな!! 工場栽培ってどない好きやねん」
いや、ナメコの味噌汁って美味しいし。
「ちょっと思い付いた料理があるので、成功したらご報告します」
「期待せんと待っとるわ」
帰りの馬車で豚さん達はオヤツのクッキーと水をガッついた後お昼寝モードに入った。カトリーヌもスライムバックに潜り込んでお昼寝。俺はアンディーを撫でている間に寝てしまったよ。アンディーがモフモフで温かくて心地よいから仕方ない。こんなにモフモフだったか?
(「ますたー だいちゅき」)
フワフワと微睡む脳内にアンディーの思念が飛んできた。 「ボクもだよ…」 と返しておく。危なく「俺…」と答えかけたけどなっ。
(「ちょっ、ミーシャ、寝てるのか? なぁ、いつ騎乗訓練するんだ?」)
(「ラパン、しつこいオスは嫌われるよ」)
俺達は帰りの馬車で眠り込んでしまったけど、現地集合組には歩いて帰る人もいたよ。護衛任務の冒険者パーティーは後片付けと言うか、現地の確認と保全をしから所属の街に帰るって言ってた。
【手持ち豚】を連れて行った学校関係の参加者は一旦養豚場に行って特別な消毒を掛けてもらうそうなので、そのまま馬車に揺られて養豚場へ。その他の参加者は馬車組合で解散。学園生及び職校生は実習終了の報告をする為に必ず学校に戻ることになっている。未報告だと単位に認定されない。俺は重複履修って事になるのだとか。そしてカーン=エーツさんに報告後に商業ギルドに来る様に言われてしまった。先にコカちゃんを迎えに行かないといけないな。
職校に戻ったら学生課の講師に 「良かった、ザン=ギュラー先生が用事があるって言ってたから顔出ししてきて」 と告げられたので会いに行く事にした。
コンコン 「失礼します、ミーシャ=ニイトラックバーグです」
「ミーシャ=ニイトラックバーグ、あのコカコッコ装備に取り付ける飾り石ってもう買っちゃったかな?」
「いえ、まだですけど、それがどうかしましたか?」
「良かった、これなんてどうかな? と思ってね」
そう言いながらザン=ギュラー先生が見せてきたのは濃いピンク色、青色、緑色をした透明で綺麗な一センチ四方のサイコロ状の結晶だった。




