第596話
カーン=エーツさんから【鉱夫飴】を貰った。転生後に異世界で 「はーい、飴ちゃんあげるでー」 って飴を渡されるだなんて思ってもみなかったよ。それも黄金虫ブランドの飴な。
ムキュウ!!
プープー
「カトリーヌはキノコをよう見つけとるね。他の豚達も見つけてきはるから、豚を使うてキノコ探すんは正解やわ」
プキィプキィ
(「美味しい匂いがするっしょ」)
「休憩が終わったらもう少し探してもろて、昼食を挟んで三時までに馬車置き場に集合や」
少しずつ山を登りながらキノコを探す。普通の豚は香りの強いキノコを探すのが得意で、【手持ち豚】は香りの弱いキノコでも見つけ出すって感じかな。そして『菌輪イイね』で見えたキノコの位置を教えている訳でもないのにカトリーヌはキノコを探し出してくれる。
プキィ?
プープ プープ
プープー
プップープ
ブヒブヒ
ブー
豚達の報告、流石に何を言っているのか分からない。テイマーのイワン=ザールさんがニコニコしているから朗報系なんだろうな。
「匂いの強いキノコは通常サイズの豚に探させ、取り零しや匂いの弱いキノコは【手持ち豚】に探させるのが効率的の様ですね。本気で採取するならテイマー、豚、【手持ち豚】のスリーマンセルですかね」
「それなら条件付きとは言えど冒険者に依頼出来ますな」
「どちらかと言えば学園生向けの実地講習ですね」
冒険者か学園、俺はどちらの条件もクリア出来るな。流石に妖精界に出向く用事のある時以外はソロで採取しには行かないけど。第一、【松見マンバ】に注意しなきゃいけないし。
「ディップ、デーツ、松ぼっくりを探しておいで〜」
チッチッ
キュルル
【リスのエビ】の素材集めか。綺麗な松ぼっくりを拾ってきてリスに齧らせ、状態のよい【リスのエビ】を作りヒト族に高く売る。綺麗なものを山で拾えたらラッキー、……と言う訳で、ラッキーアイテムとして流通している。別に金運が上がったりする訳ではない。金色に塗ったらそれはそれでお城のシャチホコみたいになりそうだけど。 「金のシャチホコに擬態するエビフリャー・ドラゴン!!」 って言ってウケるのはミケヲさんだけだろ。
「アンディーも作る?」
ムキュウ!!
(「あたち かじるの」)
「適当に拾っておいで」
キュウ キュウ
ドワーフ領内から持ち込まれる【リスのエビ】は品質が良いことでヒト族には人気がある。エルフの持ち込む【リスのエビ】はレア度と言う意味では人気があるけど品質はイマイチ。そりゃあ自作と言うかリスに作らせて即回収してるんだから高品質に決まっている。
ムキュウ キュウ
(「りすさんと つくるの いっちょ」)
キュルルルン
ムキュウ
(「いっちょ いっちょ」)
何ということでしょう。【グライダー・カーバンクル】がリス達と一緒に松ぼっくりを噛じり始めたではありませんか。森の匠達の共演です。
「アンディーも作ってくれるんやね」
「リスじゃないですけどね」
「ええねん。どうせそこいらに落ちとんのんは、齧っとるのはリスだけやないやろしな。ホンマやったら【グライダー・カーバンクル】が噛じりましたってラベル着けたらメッチャ高ぅ売れるんやろけど」
「流石に齧らせましたとは言えませんからね」
「せやねん。秘密はバラしたらあかん」
チッチッ
チチチッ
「早っ!!」
「あれは競い合ってるね。本職は負けたないんやろな」
【リスのエビ】の他にも松ぼっくりは彩色して飾り物に使ったりするので、綺麗な松ぼっくりは採集されていた。少しボロっちくなったのは焚き付けに使えるのでそれなりに採集されてたけどね。フェアリー等の地上で生活する妖精族が焚き付けに使うから採集するのは程々に。
お昼休憩のポイントに到着した。豚達にお腹いっぱいになるまで餌を与えたら後半戦でキノコを探さなくなるので、申し訳無いけど野草クッキーを通常の半量与える事になっている。その代わり、夜の餌はガッツリな量を与えるけどね。
「ほな、お昼ご飯を渡すから集まってな。今日は先日登録されたばかりのパスタを挟んだパンを試食して欲しいねん。飲み物は【リモー】の搾り汁を加えた【ワート】やね。流石にエールはアカンやろ?」
なんだろう、この、焼きそばパンでノンアルビール的な流れ。
「これ、中身はソース焼きパスタですよね?」
「せやでー。商業ギルドの仕事は早いやろ」
「早過ぎですよ」
「しゃあないやろ。ナンボ新登録が有ると思とんの? 自分、明日には【タロール茸】持って出張なんよ。梯子ジジイの梯子クジのネタは【啼哭過激団】はんに売り込みにいかんと……」
「お……お疲れさまです」
「仕方ないねん。ミーシャ案件は他に回されへんのや。あ…【啼哭】はんのところのお抱えテイマーって、そこにいるイワン=ザールはんの親族やなかった? ちょあと聞いてこよ」
「イワン=ザールはん、失礼やけどお宅の氏族ってテイマー系よね?」
「そうですが。どうかしました?」
「いや、ヒト族の劇団に【啼哭過激団】って有るの知ってへん? 確かそこのお抱えテイマーにザール氏族が居った記憶があるんよ」
「あ、居ますよ。従兄弟のキッカ=ザールですね。キッカがどうかしました?」
「いや、最近流行っとる【反省のポーズ】ってあるやろ? あれをゴブリンにさせるって演出にテイマーが関わるんよ」
「あ、聞きました。まさか裏方が舞台でスポットライトを浴びる日が来るとは思わなかったって手紙に書いてありましたよ」
「えっ、キッカ=ザールはんも舞台に上がっとるん?」
「最初はテイムしているゴブリンが反省して役者さんが笑われるって演出だったみたいですけど、最新版だと飲み過ぎたテイマーのドワーフも反省というバージョンが出来たみたいで、ゴブリンに諭される姿が大ウケしてるみたいですね」
「ホンマかいな!? ほんならエイトはんが食われまくりや」
「それです。やらかし隊長にマウントを取るより、飲み過ぎたテイマーを諭すゴブリンの方がウケるみたいでしてね……」
「せやろな」
「そのうち絵姿が土産物に加わるらしいです」
「ほんなら大出世やわ」
「ええ。【反省のポーズ】を考えてくれた方にお礼を言いたいですよ」
(「そこ、そこにおるんやけどな……。いや、一緒に馬車に乗ってきたやろ!!




