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第594話

「仕方ない、ミーシャ=ニイトラックバーグには『菌輪(リング)イイね』のスキルをくれてやろう」


「それはどういうスキルですか?」


「『茸の輪(カルーセル)』が見える様になるスキルだ」


「ありがとうございます。スキルが無くても目視確認すれば大丈夫ではないんですか?」


「実は、妖精界に繋がる扉と、フェイクの輪があるのだ」


「そうなんですか!?」



妖精界に繋がる輪と繋がらない輪があるだなんて。全部が全部転移ポータルではないんだな。そうなると子供にはキノコの輪の中には入らないように、って教えるしかないないわな。



「傍目には本物なのか偽物なのか分からない様にしてあるからな。輪状に生えるキノコの中には入らないのが一番だが、転生者には偶に妖精界を訪ねてきて、あの踊りを踊って貰いたいのだよ」


「ちゃんと地上に戻していただけるなら時々訪ねようと思います」


「ミーシャ=ニイトラックバーグは妖精の客人であると皆に伝えておこう」


「ありがとうございます。フランシス=ガージンさんの他にも部隊があるんですか?」


「ある。グルカン=ヘーイの妖精部隊に、スイッツ=ラーの妖精部隊は好戦的で戦闘力も高い。彼等に遭遇した時も踊ってやってくれれば有難い」


「分かりました」


「妖精界は精神世界の一種ではあるが、装備している物や、地上の者が次元収納と呼ぶ亜空間に保存してある物は取り出せる。次に訪問してくる時には本物のジュリアンヌ扇を持ってくるがよいぞ」


「分かりました」


「それでアタシ達も一緒に来れたんだ」



そう言えば、松茸は輪になって生えるものだと聞いたことが有ったぞ。そこまで群生していないから気付かないだけで。輪になっていないからセーフなのか、フェイクでセーフなのか聞いてみようかな。



「あのですね、ボクというか日本という国出身の転生者は松の木の傍に生える【タロール茸】が好きなんですけど、それは妖精界の扉にはならないんですか?」


「【タロール茸】? 松の木の? ああ、【腐臭亀(ロットタートル)茸】か。あれは輪になっても扉にはならぬな」



腐臭亀(ロットタートル)茸】!! 多労でタロールも酷いけど、腐った臭いの亀も相当だよ。あれは良い匂いです。異世界人にはそれが分からんのですよ。



「それでしたら、【腐臭亀(ロットタートル)茸】、ドワーフ他が【タロール茸】と呼んでいるキノコを採らせていただけますか?」


「好きにするがよい。そうだな、転生者が好むのであればもう少し増やしてやろうではないか」


「ありがとうございます」


「して、どうやって食すのだ?」


「実は………」



腐臭亀(ロットタートル)茸】を【バサルトタートル】の肉と一緒に煮ますと答えたらドン引きされたよ。仕方ないじゃない、転生者だもの。




「ますたー てんせー おはなち ちて」


「忘れてたし。転生者ってマジ?」


「今まで秘密にしててゴメンね。ボク、実は……」



掻い摘んで説明をした。カトリーヌの名前の由来が豚の形をした焼き物の蚊遣だとは伝えなかったけどな。



「それでご主人様は虫退治の煙の草を食べてたんだ。あれはマジでヤバいドワーフいるしー、ってビビったしー」


「ますたー おうまさんの くさも たべたの」


「そう言えば、コカコッコの餌も食べてたしー」


「いや、どれも美味しい草だからね。食べないと損でしょ?」


「最高っしょ!!」


「でも、転生者って知られたら面倒臭いことになるから、他の皆には秘密にしておいてね。オロール先生と三毛皇(みけおう)閣下にはバレてるけどね」


「りょ〜」


「わかたの」



まぁ、この二頭なら秘密は守ってくれるだろう。将来的に従魔達には話さないといけなくなりそうな予感。そして絶対にバレたらいけないのはカーン=エーツさん!! あの(ドワーフ)に知られたら『ハポン=ヤポン』の果てまで広まりそうだ。


俺が地上に戻りたいと申告すれば直に戻してくれると告げられたので、もう少しだけ妖精界に留まって確認する事にした。先ず、妖精界から地上がどう見えるかだけど、さっき見下ろした時の様に足元に意識を込めると地面が透明になり下方に半透明な下界の様子が見える。かと思えば正面に映し出すことも出来る。VRというかARというか、隣の仮想空間だな。マジックミラーの向こう側を見ている感じなのかもしれない。


そして二つの世界を隔てる壁を越えて攻撃……と言うか直接干渉は出来ないんだな。手っ取り早いのは茸の扉を通り抜ける事か。


この二つの異なる世界を隔てている作用を妖精達は『シム=ラウシ・牢 現象』と呼んでいる。放蕩隠者シム=ラウシが妖精界で危険が迫っているのを目の当たりにした時に、どんなに大声で叫んでも防音壁に囲まれた牢に閉じ込められた如く警告を伝える声が妖精達に伝わらなかったという。シム=ラウシはそれを逆展開させて自身を包む絶対防御空間を作り上げたそうだが、その絶対防御空間内で病にかかり死亡していたのが後に発見されている。ちなみに、シム=ラウシの残した書物には『茸の輪(カルーセル)』を利用しないで『シム=ラウシ・牢』の隔壁を突破し中に入り込むには『ア・イン』の術式を使用すると書いてあるが、その術式はシム=ラウシの死亡と共に失われてしまっている。



これって時空魔法とか空間魔法の一種なんだろうなぁ。解析に俺は手は出さないぞ。



あ……座り込んで気を失っている俺の足元で『茸の輪(カルーセル)』が光ってるわ。そして他にも光らない輪が有るのも見て取れる。『菌輪(リング)イイね』のスキルは『茸の輪(カルーセル)』が見える様になるだけでなく、そのオン・オフ状態も目視できるんだな。便利だけど、野外に『茸の輪(カルーセル)』って多くないか!? まぁ殆ど光っていないけど。


まてよ、『菌輪(リング)イイね』のスキルって単純にキノコの位置が分かる便利スキルなんじゃ? キノコ狩りし放題か!?

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― 新着の感想 ―
 けんさん……(´Д⊂ヽ >多労でタロールも酷いけど、腐った臭いの亀も相当だよ。あれは良い匂いです。異世界人にはそれが分からんのですよ。  リアルでも、松茸を食べない国では足の匂いとか言って嫌厭…
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