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第百話・横領犯の身内

 先日、私は同居人から以下のことを言われました。

「叔母Jが勤務先の農協の横領金隠しや脱税に母親の通帳や実印を使われたときみは言う。しかし何ら関係のない人々から見たら、きみだって犯罪者の身内だ、特にこのあたりは田舎だからね、同じ人種扱いされるよ」

 私は被害者だと思っているので納得がいかぬ。しかも叔母Jは金融ADRを起こした私のことを祖父母の遺産欲しさにやったと説明し周囲もそれを信じている。私は一度も金銭の要求をしていない。ただ説明を求めただけ。そういうわけで叔母Jに対しては恨み骨髄です。


 ……皆さん、このエッセイも最終話ですが、今回もぶれません。エンドレス愚痴話開始です。


 とにかく実証が乏しい。亡父がJに渡さず保管していた税務署の通知以外、決定的な証拠はない。横領は別の叔母が口頭でばらしただけ。そんなこと言ってませんといえば、それでおしまい。私は名誉棄損罪に問われる。それだけ。

 でも叔母の言葉のふしぶし、母の昔話、亡き祖母との思い出の切れ端がJの不正に思い当たる。それだけだと世間は相手にしない。弁護士は母の入出金履歴を見て限りなく黒いとはいうが、決定的な証拠にならぬ。つまり叔母J無罪。

 私の怒りの源は二項目ある。

 一つ目、横領隠しに母の口座を使ったこと。最初は祖父母の相続税節約だと思っていた。でも違った。犯罪に使われたのでは到底許せない。

 二つ目、嘘の相続税額を伝えて亡父に負担を強いた。Jは、実家の土地を母が継いだ時の相続税も事実と異なる高額を伝えとても支払えず、その代わりに父が土日をつぶしてJの田畑を手伝うことになった。体調が悪いからと言っても母は父に「Jにこの家の相続税を払ってもらったし、いうことを聞かないといけない」 と畑仕事に追いやった。

 皆Jの言葉のみで信用していた。Jは終戦直後の新円切り替えで貧乏になった家から土地ころがしなどで財産を築いたとされ、尊敬されていた。一方私の父はJが海外旅行や観劇などでいなくても、黙々と小作人のように働いた。そしてある日、Jの畑で倒れた。

 私の母は、数十年もJにまんまと騙され、父を働かせたがあの世で謝ると言っている。Jの嘘を信じてJに恩を感じて、週末全部使って父をJの田畑で働かせたことに。


 Jは己の母親(私から見て祖母)、実の姉、実の妹、実の弟……肉親全員に嘘をついていた。そんな人生で満足して死ぬつもりか。

 Jと同居の実の弟(私から見て叔父)に至っては実印も遺産分割協議書も何も渡さず説明もせず一切合切を取り仕切った。

 Jは生涯独身をとおして現在もなお、己が生まれ育った家に住んでいる。J自身が農協と結婚したとまで言っていた。それは事実だ。しかし私がより正確に書こう。

 ↓ ↓ ↓

「Jは、農協から横領したお金と結婚した」 。


 横領したお金を増やして土地も増やして家の増改築もして隣の土地も買い取って……幼少時の貧乏をバネにぜいたくにして暮らしている。横領する人間は良い人を演じると言うがまさにその通り。面倒見の良い農協職員を演じていた。寺院への寄付も多額だ。不正なお金を隠すために、脱税するためには母に都合よく実印と通帳を預かることができた。これらを好きなようにして操作できた。寺院への寄付だってあぶく銭だから、惜しくなかっただろう。

 私は今にして祖母が言っていたことがわかる。

「農協には勤めるな。あそこに勤めると他人のお金と区別がつかなくなる」


 ……そんな祖母でも横領自体は黙認していたと思わざるを得ない。それが私を苦しめる。Jは叔父の遺児のうち長男は己の弟に、次男は己の養子にしている。重度のADHDの長男はともかく、次男はJAに勤務している。JのコネでJAに就職させている親戚が他にも数人いる。彼らもJの不正を知ったらどう思うか。逆にJをかばい、私を非難するか。

 金融ADRを起こされた件について、Jの養子になった例の従兄弟はJとは同居だし、どう説明されているのか。

 Jは周囲の肉親を数十年の長きに渡って騙していたように、つじつまをあわせて私が悪いように言っている。私の保険についても私のためを思って契約してあげたと説明したそうだが、私は保険にかけられていること自体、まったく知らなかった。万一私にもしものことがあれば、黙って保険金を受け取っただろう。うそを重ねる人生はさらにうそを重ねることになる。


 それにしても貧乏は怖い。母の信用を利用して、実印もサインもJが母に無断でして、だんだんと深みに嵌ったのだろう。Jの地位が上がるにつれて、誰もチェックをしなくなった。

 Jは人生の仕上げの時期にかかる現在、バカにしていた姉一家の長女(私)から反旗を翻されるとは思っていなかったはず。かわいがってあげたのに恩知らず、という言葉だけが彼女の唯一の反撃で説明はできなかった。そのうえ、母の実印の無断使用についても六十才で亡くなった叔父に罪をかぶせた。死人に口なし。私はそんなJを心から軽蔑している。でもね、毎日Jのことを考える自分自身もイヤなんです。残念なことに。

 毎日私はJが造ったイラクサを食べている。食べても食べても無くならない。とても苦しい。

 

 このエッセイも百話で区切ります。Jの話ばかりで途中離脱した読者様も多そう……でもまだ書ける……。イラクサばかり増えても仕方がないのにね。まだ続きますが題名を変えて仕切り直す。そう、次の幕を開けます。ありがとう。

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