第九話:数奇なる、運命:
今回は多少ショッキングな表現がございます
心してお読みください
俺達はある情報を手にミナトバ近郊の森林地帯
を進んでいたこの森にハン・リュウドウが
入って行ったという噂とルルが言うエルフの隠れ里
にハン・リュウドウが匿われている可能性があり
ルルはその隠れ里から連れ去られ森の中で
殺される筈だったが心変わりをした人攫いの1人が
彼女を逃しそして逃げている最中とある事情て
ミナトバに来ていた大猫商店の店主に拾われ
協力者が見つかるまであの店で暮らしてたらしい
つまりあのお猫様俺を巻き込む気全開でルルを
紹介したようだ、まぁ他に頼る人もいないのなら
ついでに手掛かりも探せるし良いと思うが
「あの巨大猫が街中に居たら騒ぎにならないか?」
ルルは首を横に振る
「店主は本当は猫じゃ無い妖怪で、山何とか
って長い名前が有るらしくてその時は人の姿だった
わりと優しい感じの綺麗なマッチョだったよ」
美男子のマッチョねぇ想像つかないが
ルルが嘘を言ってるとは思えないし、
本当なんだろう敵を欺くならというやつか
しかし店主の正体も謎で知りたいが
俺としてはルルが隠れ里の場所やダークエルフ
やオークの成り立ちまで知っていた事が気になる
もしかするとルルは俺達が気軽に話せるような
立場の人じゃないんじゃないか?例えると難しいが
「なあルルってもしかしてエルフの偉いさんなのか?
何って言えば良いか分からないが街で待ってる人が
いたなら事件が解決した後はその人と話して
何なら街に住めるか相談してみた方がいいんじゃ…」
ルルは再び首を振り話しだす
「私はもう王族のフェンリル・ドゥ=ルル・ウル・フェ
じゃ無いただのあるじの仲間のルル全部捨てて
やり直すと決めた今隠れ里にむかっているのは
全部を許して前に進む為隠れ里に住む必要は無い
私は今の私として隠れ里を解放する為にきたの」
街の解放やはり隠れ里の根深い所に
何者かの悪意が広がり里を蝕んでいる
ルルはそれに早い段階で気づきその結果
攫われたのかもしれない
森を進んでいるとルルが奇妙なモノを見つけた
二又道の木の間に狭いが1人ずつなら通れる
通路を見つけたらそこを抜けると聞いていた
遺跡がポツンとあり中は見た目より狭い
「この台座が扉の鍵」
確かに台座には見覚えのある手形の板がある
コレは俺達の屋敷にあった板だ同じ物だ
ルルが台座に手を触れ魔力を送ると
壁が開き鉄の箱が現れるルルが石のようなモノに
触れて押し込むと箱が開く鉄箱の中は強固な
硝子で一部が作られており眼下には巨大な地下街が
広がっており室内だというのに太陽や星のような
眩しい光がそこらじゅうに灯され箱で降りると
それがただの酒場などの光だと気付かされる
「とても高尚なエルフ族が住んでるようには
見えないがどういう事だろうか?酒の匂いも
微かに香ってくる隠れ里で改革でも起きたのか?」
周辺を見渡すと副魔動力炉が幾つかあり
奥の壁に繋がっているようだ、つまりこの奥に
魔力循環増幅炉があると思われる奥の門に近づくと
背の高い色白のエルフ二人組に止められるが
「フェンリル・ドゥ=ルル・ウル・フェが
今帰って来たとシラカバ=マダ・ナスに伝えて欲しい
もし居ないなら今の村長に帰ったと伝えるといい」
大丈夫なのかそれ?まぁいざとなったら
戦闘も視野に入れて考えた方がいいのかな?
二人は何かをコソコソと話し合い
ある人物が呼ばれた
「どうも私この里の長を務めております
クラバ=マダ・ナスでございます、まさか
行方不明の次期王の候補者が我が里に来て
くださるとは夢にも思って無くて大した
お迎えも出来ないのですが下卑た酒場街よりも
奥の世界樹の枝木でも見るべきでしょう
まぁ経営戦略として一部分を他所のエルフに
解放して金を落としてもらい私は研究に集中できる
その為の苦肉の策でございますね」
門が開き歩いてゆくのだが時折クラバは
ククッと奇妙な笑い声を上げるコイツ明らかに
怪し過ぎるだが戦闘向きには見えないし
いったい何がしたいんだ?
「ところで皆様途中襲撃にあったり
しませんでしたか?そう例えばゴーレムなど
が襲いかかってくるかもしれません、ククッ」
なるほどさっきから有るこの人形は
前衛アートとかじゃ無くゴーレムの一種か
だが素早く複数の【チェーンバレット】で貫き投げる
少しだがこの武器にも慣れてこれた所なんだ
「なっ…なっ…うひぃッ…ヤバイ」
クラバは奥に逃げていく
「逃がすかよッ!」
俺はクラバを追いかけ研究施設の奥へと
駆けて行く途中鉄鞭で攻撃するがするすると
避けて奥へ奥へと走って逃げる
クソ何なんだ、この逃げ足の速さは
馬や魔動力車より速いんじゃないか?
だがやつは何故かたまにククッと笑うのだ
俺達を挑発してるつもりなのか?とっちめてやる
そして俺達はまんまと世界の枝木の元へ
おびき寄せられた、クラバが凄い勢いで枝木に
喰らい付き樹液を啜り筋肉がみるみる膨らみ
ダボついた白衣の袖と膝下が破れ筋骨隆々になる
「オマエ達が僕を追い詰めるから駄目なんだ
もうオマエ達は始末するしか無くなっちゃったよ…
ご退場タイムだ、苦しんで!苦しんで!
足掻くがいいさ、邪魔虫どもめ!!」
コレは普通に戦っても倒せる気がしない
どうする?何かこの状況を変える一手はないか?
「私もあの木にとっておきを隠してる私が
木の下に行くまで時間を稼いで、絶対勝てるから」
ルルが世界樹の枝木にむかい走る
俺はそれを守る為にスキル【獣神】を使い
黒い巨獣へと変貌し組み伏せる
腹に膝を何度も叩き付けてくる痛いし吐きそうだ
「ウォオオオオ!!どけぇ!どけぇ!」
そして世界樹の枝木にルルが着くと
地面から巨大な手が血を裂き現れる
血を裂き両の手がそして蒼い髪と
宝石のような真紅の瞳が大地から這い出
今立ち上がり騎士鎧のような美しい
その巨大な鉄人形の胸が開きルルが入っていく
『ここからは私の時間もう貴方に出番はいらない』
巨大な鉄人形が地面から剣を引き抜き構える
「そんなゴーレムで僕が倒せるか!!」
気が逸れたうちに距離を取り、持ち直す
『ゴーレムじゃない、ヴァルキュリー
エルフの叡智の結晶世界樹の枝木は
そんな事に使うものじゃないみんなの生活を
守る為にある私はそう信じてる、
あるじ、私の攻撃に合わせて!』
ヴァルキュリーの攻撃に合わせクラバの
頬を挟むように殴る次々に連打でクラバを挟み殴り
俺が離れるとヴァルキュリーが剣の連撃を浴びせ
タックルでクラバを掴み飛び地面にバウンドさせ
頭を踵落としとブロウアッパーで挟み込虫
身体から力が抜けて人間に戻ってゆく
やっぱりコレはかなり疲れる、だがどうやら
クラバも筋肉が萎み元より老けて見える
どうやら世界樹の枝木から出る樹液には
副作用があるようだ今後彼は失った時間を
取り戻す事は叶わない、力に溺れれば何かを失う
俺達もこうなりかねないと忘れてはならない
「それにしてもエルフの叡智は凄いな
特殊な技術を持ってるのは知ってたが
こんな強い兵器を作り出し使わずにいたとは
エルフの知識は競うモノでなくただ心を
豊かにする為の内に有る探究心なんだろう」
俺の言葉にルルが微笑む、彼女をエルフの
誇りを守れて良かった、だがまたしても
ハン・リュウドウは別の通路から逃げてしまった
ようだ父は騎士爵から上り詰めた男だった
その父を倒した男が何度も逃げる意味はなんだ?
本当に俺達に負けるのが怖いからなのか
俺には他の目的や企みがあるように思えてきた
この考えは翻弄されているだけなのだろうか
俺達は街に帰り隠れ里の惨状を話した
街のいたるばしにはアッパーアムリタと呼ばれる
樹液を加工した中毒性の高い薬品が流れ
眠るように死体が街に溢れ薬品の効能で腐る事は無い
そしてギャンブルや酒で不安定な心にそれは
するりと忍び込み強い万能感の裏で
使用者をゆっくりと終わりへと導くのだ
コレによりクラバ以外のエルフは樹液の対策を
考えら為外へと出てゆきいつか世界樹とは無縁の
生活を営み隠れ里に戻る事は無かったようだ
つまり世界樹を守る里は世界樹のせいで滅びたのだ
こことは別にエルフ達の住む隠れ里や里から出て
世界は羽ばたいた誰もがエルフの探究者
なのかもしれない彼等はもう世界へとその探究心を
広げ好奇心で歩み大切な叡智を分け合い
何処までもゆける筈だエルフはもう閉じられた
種族では無いのだ悲しい結末を越え前に前に
彼等彼女達は歩んでゆくだから彼女は街の皆に
届けるべき残った技術を伝え紡いだのだ
「少なくとも俺の友はそう決意し過去と決別した
どれだけ泥に塗れ不様だろうと好奇心のもと探究し
開かれた種族へと友は日々変わり歩んでゆく
俺はそれを隣でずっと見守ってゆく」
ミナトバで行われたエルフ技術の公開に演説と葬儀
コレにより街は発展し世界へと技術は広まってゆく
そして願わくばあの誰も住まぬようになった隠れ里へ
いつかエルフが帰り復興する事を願い皆が黙祷した




