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九条清隆の告白  作者: 伽耶、清隆


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3/4

三、夏の始まり

八月一日。


それが、僕に残された時間だった。


終業式からわずか一週間あまりで、引っ越しの準備を終わらせなければならない。


突然決められた予定に呆れたが、今さら驚きもしなかった。


両親は昔から勢いで物事を決める人たちだった。


旅行の予定ですら、深夜に叩き起こされてそのまま出発したことがある。


だから今回も、「またか」と思っただけだった。


慌ただしく荷物をまとめていたある日。


学習机の一番下の引き出しから、一冊のノートが見つかった。


飾り気のないB5サイズの方眼ノート。


見覚えはない。


なぜか誰かの忘れ物みたいだと思いながら表紙を開く。


一ページ目には、可愛らしい丸文字でこう書かれていた。


私を知らない大切な友人に捧ぐ


意味が分からなかった。


首を傾げながら次のページをめくる。


そこには日付と、その日に起きた出来事が細かく記されていた。


登場人物には性格や特徴まで注釈が添えられている。


几帳面な人間が書いたのは間違いない。


それなのに――。


日付だけが、ところどころ抜け落ちていた。


まるで僕の記憶みたいに。

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