あいちゃんとかけ、地下鉄荷物荷物検査ととく
*本作品は既存作品のキャラクターを含む非公式ファン作品です。既存作品に愛を込めて。作品後に詳細追記*
*本編は100%フィクションであり、実際の団体や現実で起こった出来事とは関連性は全くございません*
(以下本編)
中国広東省深圳市のとある地下鉄の駅で、ある朝、怪事件が起こった。地下鉄の手荷物検査に持ち物を通した人々の鞄からスマホが次々と消えたのである。人々は、スマホで基本地下鉄に乗るからして、通した荷物を手に取るとすぐにスマホを探る。
「え、ない?え、なんで?」
現在、キャッシュレスが基本。スマホなくして出勤やら通学などありえない。何寝ぼけてたんだろと自宅へ引っ返そうとする、慌てふためいて何度もバッグの底をさらう僕やわたしや俺。はたと周りを見渡して自分と同じく動揺する周囲の人々にほどなくなんかおかしいと気がつき、どうもこの手荷物検査機が怪しいという結論になる。
「ちょっとあんた達!」
OLというにはちょっと派手な服装のお姉さんが、ヒールの踵で手荷物検査機の脇に鎮座する保安の人たち(3名、男、女、男)のテーブルに足を乗っけた時には恐れ入った。真ん中にスリットが入っているスカートで、極道の妻ばりに足をドカンとテーブルにのせたときた。老いも若きも男も女も、そこはかとなく目のやり場に困った。真っ白な内腿が見えてしまっている。
ま、そんな華やかなシーンはほっといて、スマホが一斉に無くなったのは、そりゃもうお前らが怪しいと保安に詰め寄る乗客達。普段は検査を実施する側であるにもかかわらず、目の血走った乗客達に囲まれて逃げられなくなって自分たちが検査された。
男は男に、女は女に体を弄られ、何も持っていないか確認されたのだ。いやん。ところが、誰も何も持っていない。それじゃ十数人のスマホはどこへ消えたのか?
ガンガン!
自らの真っ白な内腿を不特定多数の老若男女に晒した、スリットの君が美人なんだが、ガサツなんだな、この人。公共物である手荷物検査機を叩いた。
「これの中に隠したな。これを解体しろー」
「え、困ります、お客様」
青くなる保安一堂。地下鉄の控えの事務室にいた責任者もただならぬ様子に慌てて出てきた。なんだなんだ?周囲の関係ない人たちもこちらをのぞいている。スリットの君は、衆人環視の中で豪語する。
「いいから解体しろー」
「この機械の方が、皆さんのスマホ合わせた金額より高いんですぅ」
挙句、誰が呼んだんだろうか。近くの公安からも警察が来る。まだ若い好青年のお巡りさんだ。皆さん、知ってるか?中国のお巡りさんは背が高くてイケメンが多い。東北出身だろうか。ちなみに私は制服に弱い。昔、勤めていた工場の消防訓練に来た若い消防団員に一目惚れしたほどだ。おっと、これは関係ない話だったな。
「じゃあ、こうしましょう!」
喧々轟々なみんなに向かって彼は声を張り上げる。
「僕が、この機械の中に潜って、隅々まで調べます。わかった?」
渋々、ウエーイと賛成した一堂。それで、一旦ベルトコンベアを止めてお巡りさんはそこに体をのせると、あのべゴンベゴンと古今東西のありとあらゆる物品を飲み込んできた機械の奥を黒いゴムのペラペラのカーテン越しに懐中電灯で照らす。
「大丈夫ですか?」
「職務ですんで」
保安の一人の女の子が不安そうに声をかけたが、好青年はたじろがない。ところでこの検査機、人間が寝そべって中に入るほどの高さしかない。
皆様、こんなものの中に入りたいですか?中、真っ暗だし。結構狭いよ。私なら絶対無理です。そもそも、自分の手荷物をガゴンガゴンと飲み込ませるのすら怖いくらいだ。
しかし、警察の彼は、止まったベルトコンベアに仰向けに寝っ転がると、背の高い立派な体をぐいぐい押し込んだ。美人なお姉ちゃんも、腹が出て髪の薄いおじさんも、メガネをかけて影の薄そうなお兄ちゃんも、どこへ行くのかわからない孫を連れたおばあちゃんも、先ほどから騒ぎに巻き込まれてげっそりとした3人の保安も、みんなはらはらと見守る。
ところで、お巡りさんは見える人でした。
「あ、お前、こんなとこで何してる?」
突然、機械の中にすっぽり入って、長い足の一部だけ見せた彼がそう叫んだときには、皆、びっくりした。美人なお姉さんが話しかける。
「え、何?誰かいたの?」
小さな子供でも入り込んでいたのだろうか?大人が入り込めるような大きさではないのである。そいつが、皆のスマホを片っ端から奪い取った?次の瞬間
「あ、やめろ。何をする!」
鋭い叫び声がして、ガタガタっと機械の中で音がする。ヒィッと声をあげたのは、機械に潜り込んでいる彼ではなくて見ていた誰か。それを合図に皆がそこから後方へ飛び退った。一様に息が乱れた。心臓がドキドキ言っている。肩で息をしながら、首を伸ばしてそっと手荷物検査機のベルトコンベアを覗き見る。
彼の足がない。先ほどまで見えていた足が綺麗さっぱり無くなっている。
「いやぁあああ」
騒ぎ声をあげて視線を逸らしてかがみ込む人がいる。度肝を抜かれて動けない人たちの中で、地下鉄の責任者がおずおずと前へ出て、ベルトコンベアの方を目視する。そこには、流れ出た血液やちぎれた何かなど一つもなく、ただ、あの背の高い彼の体が忽然と消えている。機械の中に折れ曲げでもしなければ、入り込むようなサイズではなかったのに。
「どうなってるんだ……」
地下鉄構内の地面にへたり込み、責任者はつぶやいた。
それから、近くの公安から更に警察が来て、その区域は立ち入り禁止となった。巡査が消えたその機械の内側は調べなければならない。しかし、誰がいくと言うのだろう?人一人忽然と消えた機械の内側へ。ところが程なくして、ジャンケンかクジで負けたのだろうか?重装備に拳銃まで備えた警察が、周りをまた重装備に身を固めた人々に囲まれて潜り込むことになった。
「大丈夫か?お前?」
「大丈夫であります!」
「十分に注意してかかれ!何かあったら当方が援護する」
「はっ!」
どうやって援護するんだろう?という話だが、とりあえずこう言っておかなければなるまい。それから、背が高い上にさらに筋骨隆々とした彼は勇気りんりん、どわしゃと検査機のベルトコンベアに無駄にパワフルにけつを乗っけると、バタッと背中をコンベアに、顔を上向きに天井を仰ぎ見ると、これまたぐわっしとぐわっしと敵の潜む洞窟に潜入するかの迫力で匍匐前進のひっくり返った版で進む。
ところで、そこまでの迫力で進むのだが、やってることはただ、ちょこっと大人が入り込むには小さな検査機に潜り込んでるだけだ。この前の事情を知らない大人が見たら、
何を、あんなに、気合い入れて、あんな狭こいところに入っていくんだ?映画の撮影かなんかだろうか?
と思ったに違いない。
ぐわっし、ぐわっし。
ところで、この人は見えない人だった。
固唾を呑んで見守る人々の中で、彼は中に入りしばしとどまる。そして、ほどなく、ぐわっし、ぐわっしと出てきた。
「ど、どうだ?」
一見、威張っていたけど、実は肝っ玉の小さな上官。声が上擦り、吃ってるし。
重装備の筋骨隆々とした彼は、ぐわっしぐわっしと出てきた上で、寝っ転がった姿勢から一気にバゴンと立ち上がって敬礼をする。
「何もなかったでありますっ」
「は?」
「ええ、何もなかったでありますぅ」
上官、顔を真っ赤にして言い返す!
「いや、そんなわけなかろう。もう一回見てこいっ」
「はっ!」
どわしゃ!と勢いに任せてまたベルトコンベアの入り口にけつをのっけたお巡りさん、ふと我に帰る。
「本官ではないものが確認した方が良くはないでしょうか?」
「は?」
「本官が見る限り、何も確認できませんでした!別の者が確認すれば、本官が見逃した何かを発見できるかと!」
さて、この署で一番勇気りんりんな彼が、二回目を拒否したのには、ぶっちゃけ、皆、困ってしまった。他の人たちの勇気の鈴はなっておりませんぞ。そこで、勢いだけはある上官、いきなり適当に脇に控える部下の一人をビシッと指差す。
「じゃ、君ぃ」
「ハイイッ」
「検査してこい」
「あ……」
あいつ、貧乏くじ引いたな。あいつ、貧乏くじ引いたぞと最小限の仕草でアイコンタクトを取り合う警察諸君。勇気りんりんの彼はどわしゃっと立ち上がる。上官は貧乏くじの彼に続けて命じる。
「それと、中を撮影してこい」
「は?」
「スマホで撮影してこい」
「小職のスマホでしょうか。現在、携帯しておりません!」
「なにぃ」
しぶしぶ上官が自らのスマホを取り出す。自分の体は差し出さないが、スマホぐらいならしょうがない。そして、勇気りんりんの彼が立派に直立不動する横で、貧乏くじの彼がベルトコンベアに腰掛ける。
それは、あれでした。銭湯へ行き、たっぷり湯にはいり、ほっとした後に軽く体を拭いて、ぽたっと脱衣所の腰掛けに座りません?あんな感じの、
ぽた……
そして、ゆったりと仰向けにイヤーな気持ちで横たわると、
のそ、のそのそ……
勇気りんりんの彼とのこのギャップ感、どうよ?そして、固唾を呑んで見守る皆の視線。ごくり……貧乏くじの彼もぴたりと止まる。もちろん彼の足は機械からはみ出てる。足、足が、足がー!出てるぅ。
ところで、この彼も見えない人でした。
足、足が、足が今にもー!だんだん、カンカンカンと緊張感高まる皆の目前で、
のそ、のそのそ……
いや、もうちょっとこう、なんというか、緊張感を持ってやってくれないかなっと、しかし、彼はのそのそと出てきて、
やれやれ、よっこらしょっと起き上がった。
「ど、どうだったぁ!」
上官がもう一度どもった。
「何もなかったっす」
「なにい、見せてみろお」
そして、わしっと自らのスマホを取り返し、撮った動画を見てみる。そこには、無味乾燥な箱の中の情景があるだけ。
ほっわーい?
すっかりお手上げとなった警察官の皆さん。とりあえず、スマホをなくした皆さんの連絡先を記録して、なんかわかったら連絡すると言って帰した。ぶっちゃけ、この意味不明な手荷物検査機をどこか人目のつかないところに封印してこの事件は終わりかなと思いかけてた。
でも、そんなわけにはいきませんよね?
「ちょっとぉ」
「はい?」
おばさんが乗り込んできた。
「うちの息子をどこに隠したのよう」
そう、これ、機械の中に消えてしまった好青年のお母さん。
「これなの?うちの子が消えたっていう検査機は」
「ちょっとお母さん、困ります」
「あんたのお母さんじゃないわよっ」
そして、すちゃっとカバンから光るものを取り出した。
「どうせ、適当に誤魔化すつもりなんでしょー」
「いや、お母さん、そんなものしまってください」
「どこに隠したのよー」
「息子さんはこの機械に体を入れていて、消えてしまったんです。隠してなどいません」
「ふんっ」
そして、片手に中華包丁を携えたままずんずん件の検査機に進む。
「お母さん、困りますー」
「こちとら、まだ歩けない赤ん坊の頃からあの子を精一杯育ててきたんだよ。突然消えました、はいそうですか、じゃねえだろ」
そして、ベルトコンベアにはしっと片足乗せて、きっとこっちを振り向くと、中華包丁もすちゃっと持ち上げてこう言った。
「お前ら、こんなか見て、うちの子が戻ってこなかったら、全員まとめてミンチにしてやるよっ!」
ところで、お母さん、その包丁は、包丁一本晒しに巻いてご自宅から持ってきたんでしょうか?残念ながら返事はない。そして、本日4人目になる人物が、ぐりぐりと仰向けに機械の中へ入っていく。
ところで、お母さんは見える人でした。見える人お母さんと、今度は我々も一緒に中に入りましょう。頭を突っ込む、ほとんど光の入らない闇である。スマホのライトをぱっとつけると、そんな広い空間ではない。本当に顔のすぐそこにそれは浮かび上がった。
アイちゃんである。黄泉のつがいでお馴染みのジンさんのつがい、愛と誠のうちのアイちゃんが、荷物検査機の狭い空間に浮かんでいた。目と鼻の先だ。黄泉のつがいを知らない人のためにちょっと解説すると、フグのような形のつがいだ。そんなに大きくはない。つがいというのは平たくいうと妖怪のようなもので、見える体質の人でないとそこにいても見えない。
お母さんは見える人なのである。ところが、お母さん、ライトをつけた途端に目と鼻の先に、水もない空間に突然フグが浮かんでギョロリとこちらを睨んでいるのに、まるでそこに何もないかのように表情を1ミリも変えなかった。
アイちゃん、試しでもするようにギョロリとお母さんを見ている。お母さんとお母さんの飛び道具である光り物、中華包丁を。
お母さんの右手は中華包丁を握っていて、左手はスマホをかざしていた。次の瞬間左手だけがシュッと動いた。中華包丁を警戒していたアイちゃん、突然照らしていた光が大きく動き、ごとんという音と共に、警戒してはいなかった左手がスマホを突然放り出し、シュッと動く。
咄嗟に避けたアイちゃん、しかし、尻尾が捕まった。
「捕まえたぁ」
大きな声を出したお母さんに、一瞬にして殺意を覚えたアイちゃん。小さなフグみたいだからと侮ってはいけないよ。
くわっ!
突然口が開き、そして、通常の物理法則を無視して、アイちゃんの口が大きくなる。これには流石にお母さん、尻尾から手を離してしまった。
いただきぃ
そして、ぱくんといくはずだったのだが、シュッっとまた死角から手が伸びる。今度は利き手の右手が包丁と共に繰り出される。危機一髪で身を引いたアイちゃん、後ちょっとで刺身になるところだった。
ちっ
狭い場所ではこちらが不利と思ったアイちゃん、検査機のゴムのカーテンをひらりとすり抜けて広いところへ出た。少し高い空中まで泳ぎ、それから、振り返って検査機の出口を見つめる。
「待てえ」
いやどっからどう見ても、山姥でしょ?あんた。片手に中華包丁、髪を振り乱し、ゴムのカーテンをかき分け飛び出ると、空中遊泳するフグを血走った目で追いかける。
「テッサにしてやるううう」
中国ではフグを刺身にして食べる文化はないはずだが……アイちゃんも負けない殺気を放ち、山姥と対峙する。すきあらばくわっと飲み込んでしまわんとするが、山姥も負けていない。襲いかかるフグを中華包丁であしらう。
ああ、なんでここにアイちゃんの相方である誠くんがいないのでしょう?そして、主人であるジンさんが。尚且つ、どうして、中国きちゃった?
かきいーん
びし
ズササ、シュワっ!
アイちゃん、飲み込もうと襲いかかる。山姥、ジャンプ。からの、中華包丁にてフグを真っ二つ!としようと思いきや、アイちゃんすかさず逃げて、降り立った山姥を次の瞬間に飲み込もうと……
ところで、この世に見える人ってあまりいないんですよ。だから、人喰い検査機の横で油を売っていた警察官の人々は、年甲斐もなく忍者ドラマのように飛んだり跳ねたりしている お母さんを ホエエと思いながら見ていた。おばあさん、一体何と闘ってるんだ?年甲斐もなく。
そんなある瞬間、一際大きな口を開いて、アイちゃんが山姥を飲み込もうとする。
ティラリー
必殺仕事人で、いつも女房と姑の尻に敷かれている主水が、真夜中に本来の姿に戻る時の音楽が鳴った。音楽が鳴り始めると、ドラマはやばい。正義の味方に羽が生える。ステータスにBUFFがかかる。やばい。アイちゃん。著作権的に中国で君が誠くんやジンさんのいないままくたばってしまうなんて、ファンに怒られる。ファンに叩かれる。ファンから嫌がらせを受ける、つうか、誠くんとジンさんに私は殺される。ラリホウ。
そんな私の事情は無視して、山姥は、本当はそこ日本刀ならかっこいいのだろうが、ガンガンバリバリ中華包丁の持ち手をぐりぐりと握り直しては、今度こそ飲み込んでやろうと口を化け物のように大きくして進んでくるアイちゃんを睨む。
「お母さんやめて!」
ナンデストウ?
これには、必殺仕事人の音楽かかった山姥も、周りで役に立たない警官たちも、ポカンとした。
そして、ああ、なんということでしょう。ニュートンの物理的法則も無視して、ファーブルの昆虫観察記でも観察できなかったような、フグがぐわっと空中で口を開いているその中から、本日突然消失したあの好青年の上半身が出ている。
これ、見えない人からすると、好青年の上半身が空中に浮いているように見えます。
あ、幽霊出てる、と上官は思いました。
どうしよう、部下が死にましたよ。それで、霊魂なって空中に浮いていて、なんか叫んでるし、報告書になんて書くんだよ。
「ううん……」
「あ、大丈夫でありますかぁ」
上官、気絶して、すぐ横に立っていた部下に支えられる。情けない人である。ところで、山姥は?
「あ、お前、生きてたか。待ってろ、今、お母さんが……」
「だから、やめて。お母さん。早く、アイちゃん。俺を吐き出せ。やられるぞ」
ぷっ、どさ
「華ーーー」(好青年の名前だ)
地面に落ちてきた息子に駆け寄るお母さん。光り物の包丁はいらなくなってポイと落とすと、息子に駆け寄り抱きついた。
「ああ、ちょっと待って。わかった。わかったから」
母を適当にあしらうと、立ち上がる好青年。
「アイちゃん」
しれっと泳ぎさろうとしているフグの後背に声をかける。
「どこ行くんだよ。まだ飲み込んだものあるだろう?」
ジトっとした目で好青年を見ている。
「それと引き換えに日本への帰り方一緒に考えてあげるから」
「……」
ぷっ、ぷっ、ぷっ
ボト、がつん、ごつん
「ひい、ふう、みい」
「あ、あー」
離れてみてた警官たち。突然空中から紛失したスマホが現れてきて、目が覚める。紛失物が!
「あの、全部で何個でしたっけ?」
好青年が同僚に尋ねる。
「まだあと三つ足りないぞ」
めんどくさいなという顔をするアイちゃん。
ぷっ
ごとごとごと
「ああ、これは違う、違う。さっさと飲み込んで」
黒光りする、何か物騒なものが出てきたが、好青年がささっと飲み込ませた。
「ああ、もう、俺が探すから、アーンして、アーン」
あーん一旦、再度中に入る。
「華ーーー」
「大丈夫だから、お母さん。今、職務中ね」
フグの中から声がする。もう一度消えてしまったぞ!好青年。しばらくして
ぷっ
今度は足から着地するとスタスタと同僚の皆さんの元へゆく。
「これとこれとこれで全部ですかね?」
押収物と調書とを突き合わせて照合に入る同僚に背を向け、好青年アイちゃんのところに戻ってくる。
「いいか、もう二度と他人のものをとっちゃいけないよ」
「……」
アイちゃんは多分、人間の言葉を話しません。しかし、理解はしているのではないでしょうか。
ところで、どうして日本の漫画のキャラであるアイちゃんが、誠くんやジンさんと離れて、中国にいたのでしょう?それについて考えるのも楽しいと思いますが、なんか意外と長くなってしまったので、ここまでにしましょうかね?
毎朝、毎夕、出退勤で見かける手荷物検査機、いっつも自分の手荷物を中に通すときに、これを使って泥棒されたらたまらねえなと思っていて、ある日思った。アイちゃんが中に入ってたら、完全犯罪できるなと。そっから生まれた短編です。
こちらは荒川弘先生の黄泉のつがいをもとにした非公式の二次創作、ファンフィクションです。先生、電子版コミック買ってます!続き楽しみにしてます!って、ご本人には届かないのが寂しいな。
汪海妹
2026.05.26




