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異世界に召喚された俺たちですが、どうやら仲間を殺さないと帰れないようです   作者: 高野
【第1章】生き残るために

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【9話】世にも奇妙な魔物

一週間が経ち、俺の足は完全に回復した。


この世界で医者のような役割を担っているのは、【ヒール】というスキルを使う人たちらしい。そのおかげで、現実世界と比べても怪我の治りが早かった。


さて、坂口と戦って分かったことが二つある。


一つ目。正面から戦っても、絶対に勝てない。

二つ目。あいつは、攻撃を反射するスキルを持っている。


今の俺では、到底太刀打ちできないだろう。


何か、あの反射スキルに対抗できる能力があればいいんだが……。


今のところ、勝機を見いだせそうなのは、以前吸収した【ユニークスキル 二連撃】くらいだ。


これと相性のいいスキルを手に入れられれば、あるいは……。


「とにかく、やるしかないか」


俺は早速、宿を出て魔物を狩りに向かった。


この周辺で見かける魔物といえば、スライムかボアくらいだ。それ以外にも魔物はいるのだろうか。


そんなことを考えながら、見つけた魔物を片っ端から倒していく。


倒しては次を探し、また倒しては次を探す。


ひたすら、それを繰り返した。


いったい何十体倒しただろうか。


それだけ狩り続けても、新しいスキルは一向に手に入らなかった。


「全然落ちないなぁ……」


これでは、坂口に挑むどころの話ではない。


せめて、あいつに対抗できるスキルが一つでも手に入ればいいんだが……。


そんなことを考えていた、そのときだった。


ガサッ。


近くの草むらが揺れた。


「またスライムか……」


俺は草むらに向かって【水噴射】を放つ。


しかし――。


「……なんだ、こいつ?」


草むらから現れたのは、普通のスライムではなかった。


全身が金色に輝いているのだ。


ゴールデンスライム、とでも名付けようか。


そんなことを考えていると、そいつは俺の放った水をあっさりと弾き返した。


「【水噴射】が効かない……?」


なら、剣で叩き斬るしかない。


俺は剣を構え、ゴールデンスライムに向かって振り下ろした。


だが――。


カキンッ!


「なっ……!」


剣までもが、簡単に弾き返されてしまった。


「こいつ、硬すぎるだろ……!」


水も駄目。剣も駄目。


いったい、どうやって倒せばいいんだ?


俺はゴールデンスライムを睨みながら、必死に考えを巡らせた。


……待てよ。


「確か、金って落下の衝撃に弱いはず……!」


幸い、ゴールデンスライムの攻撃はそこまで強くない。


だったら、試してみる価値はある。


俺はゴールデンスライムを抱え込み、急いで走り出した。


目指すのは、近くにあるはずの崖だ。


記憶を頼りに森の中を駆け抜ける。


そして――。


「あった!」


目の前に、切り立った崖が現れた。


恐る恐る下を覗き込む。


……二十五メートルはあるだろうか。


「これなら……どうだ!」


俺はゴールデンスライムを思い切り投げ落とした。


ポーンッ!


金色の体が、あっという間に小さくなっていく。


俺は固唾をのんで、崖の下を見つめた。


「どうなったんだ……? くそっ、よく見えない!」


まさか、倒せなかったのか?


不安に駆られていると、目の前にウィンドウが表示された。


《ゴールデンスライムを倒しました》


「よっしゃあ!」


思わず声が出た。


「今ので倒せたのか!」


だが、本番はここからだ。


俺はウィンドウを見つめ、祈るような気持ちで呟いた。


「頼む……! スキルを吸収させてくれ!」


そして、三秒後。


新たな文字が表示された。


《スキル【反射】を吸収しました》


「反射……!」


坂口が使っていた、あの能力と同じなのか?


もしそうなら、とんでもない収穫だ。


何しろ、これで【二連撃】と【反射】を組み合わせられるかもしれないのだから。


俺は急いでスキルの合成画面を開いた。


そして、二つのスキルを選択する。


しかし――。


《スキルグレードが満たしていません》


「……嘘だろ?」


何度試しても、結果は変わらなかった。


「まさか……ユニークスキルと普通のスキルは合成できないのか!?」


つまり、【二連撃】を別のスキルと合成するには、もう一つユニークスキルが必要ということか。


「マジかよ……」


せっかく手に入れたチャンスが、あっさりと潰えてしまった。


俺は肩を落とした。


……いや、待て。


落ち込むのはまだ早い。


【反射】そのものは、かなり使えるスキルのはずだ。


今は合成できなくても、いつか役に立つかもしれない。


そう考え直した俺は、宿へと戻ることにした。


宿に着くなり、俺はベッドに転がった。


「【反射】か……。いったい何と合成すれば強くなるんだ?」


攻撃を反射する能力。


単純に考えれば、どんな攻撃にも対抗できそうなものだが……。


例えば、【噴射】と合成しても、そこまで強いスキルにはならなそうだ。


「やっぱり、今はスキルを集めまくるしかないか……」


俺は考えるのをやめ、今日はもう眠ることにした。


明日も魔物を狩る。


それしかない。


◇


翌朝。


俺はできるだけ早く起き、再び魔物狩りを始めた。


とはいえ、出てくる魔物は相変わらずスライムとボアばかり。


昨日倒したゴールデンスライムにも、それ以来、一度も遭遇していない。


「どこにいるんだよ、あいつ……」


愚痴をこぼしながらも、俺は黙々と魔物を倒し続けた。


そして、ただの単純作業になりかけていた、そのとき――。


《スキル【蓄積】を吸収しました》


「おっ! 新しいスキル!」


ようやく、まともな収穫があった。


【蓄積】か。


普通のスキルなら、【反射】と合成できるはずだ。


俺は早速、二つのスキルを選択した。


そして――。


《スキル【畜撃】に進化しました》


「【畜撃】……?」


俺はすぐさま、能力の詳細を確認する。


《【畜撃】受けた攻撃を蓄え、放つ》


「なるほど……」


受けた攻撃を蓄積し、それを相手に返す能力か。


つまり、うまく使えば、相手から受けた攻撃をそのまま叩き返せるということだ。


「これは……強いのか?」


正直、まだ分からない。


坂口との戦いで役に立つかどうかも未知数だ。


それでも、何もないよりはマシだろう。


この辺りの魔物から攻撃を受けて力を蓄え、坂口にまとめて叩き込む。


うまくいけば、一撃で倒せるかもしれない。


……まあ、そう簡単にはいかないだろうが。


そもそも、今の俺が持っているスキルだけでは、坂口には勝てない。


ここで魔物を狩り続けても、手に入るスキルには限りがある。


ならば、一度この場所を離れるべきだ。


別の土地へ行けば、今まで見たことのない魔物に出会えるかもしれない。そうすれば、新しいスキルを手に入れるチャンスも増えるはずだ。


そして、俺が本当に狙うべきものは――。


ユニークスキル。


普通のスキルでは届かないのなら、それを手に入れるしかない。


「坂口……絶対にお前を倒してやる!」


俺は拳を握り締め、決意を新たにした。


そして――。


俺は、王国を後にした。

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