【30話】新たな能力
「あぁー、よく寝た……」
俺は大きく伸びをした。
昨日はベッドに入った瞬間、意識を失うように眠ってしまったらしい。身体の疲れも、昨日に比べればかなりマシになっている。
「よし……行くか」
俺は荷物をまとめると、回収した宝石を持って依頼主の男性のもとへ向かった。
王国の広場に着くと、昨日の男性がこちらに気づき、駆け寄ってくる。
「おはようございます! 体調はもう大丈夫ですか?」
「ああ。ところで、これで合ってますよね?」
俺はそう言って、回収した宝石を取り出した。
すると、男性は目を輝かせながら宝石を受け取る。
「そう! これです! 本当にありがとうございます!」
男性は何度も頭を下げた。
その直後、目の前にウィンドウが表示される。
【ワテラキ王国での頼み事① 達成】
【報酬:称号「剣豪」】
「おっ……」
ようやく報酬を受け取れたようだ。
俺はさっそく、称号の詳細を確認する。
【称号:剣豪】
【効果:自動的に相手の攻撃を弾くことができる】
(自動で……?)
これは、かなり使えるんじゃないか?
攻撃を受ける前に、自動で弾いてくれるということだろうか。もしそうなら、今後の戦闘で大きな助けになるはずだ。
そもそも、称号というものが何なのかも気になる。
俺はウィンドウにある称号の項目を押してみた。すると、別の表示が現れる。
【称号レベル:1】
【レベルアップ:100000ゴールド】
「10万!?」
思わず声が出た。
称号にもレベルがあるのか。プレイヤーレベルという概念はないのに、称号には成長要素が用意されているらしい。
とはいえ、十万ゴールドはさすがに高すぎる。今はレベルアップを諦めるしかないだろう。
それにしても、この能力は強力だ。
実際に使ってみないと分からないが、相手の攻撃を自動で弾けるのなら、かなり有利に戦える。
もしかすると、坂口が持っているあの剣の攻撃だって防げるかもしれない。
「……試してみるか」
俺はさっそく、王国の外へ出ることにした。
称号の効果がどこまで通用するのか、自分の目で確かめておきたい。
しばらく歩いていると――。
ガサッ。
近くの草むらが揺れた。
「ん?」
次の瞬間、一匹のボアが飛び出してくる。
「お、ボアか……。ちょうどいい。早速試してみるとしよう」
相手としては申し分ない。
まあ、仮に称号が発動しなくても、俺には【不動】がある。多少攻撃を受けたところで、致命傷にはならないはずだ。
俺は両手を広げ、ボアの突進を待ち構える。
「ドントコーイ!」
俺の声に反応したかのように、ボアは勢いよく地面を蹴った。その巨体が、一直線に迫ってくる。
(さあ、どうなる……?)
ボアは速度を落とすことなく、俺の身体へと突っ込んでくる。
そして、接触する寸前――。
カキンッ!!
「……え?」
俺は何もしていない。
それなのに、ボアの身体が見えない壁にぶつかったかのように弾き飛ばされた。
地面を転がったボアは、慌てて起き上がると、そのまま森の奥へ逃げていった。
「おお! これが【剣豪】の能力か!」
思わず声が弾む。
本当に自動で攻撃を弾いてくれるらしい。
これなら、敵の攻撃をいちいち見極める必要もなくなる。
もちろん、どんな攻撃でも防げるとは限らない。だが、少なくとも普通の突進程度なら問題なさそうだ。
そして、俺は一つの可能性に気づく。
(剣による攻撃も対象になるんじゃないか……?)
もしそうなら、坂口の持つ【九命の剣】にも対抗できるかもしれない。
今まで、あの剣は俺にとって最大の脅威だった。
だが、この称号があれば状況は変わる。
「……決まったな」
俺は拳を天高く突き上げた。
「次の目的は坂口を殺す! これで決まりだ!」
時間の影響で、次回は15時に投稿することになりました。




