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異世界に召喚された俺たちですが、どうやら仲間を殺さないと帰れないようです   作者: 高野
【2章】坂口討伐への道

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【28話】勝負の時



「まだや!納刀術三式――逆袈裟・返し月!」


澁谷が刀を振り抜く。その刃が、俺の身体へと迫ってきた。


だが、俺はあえて避けようとはしなかった。


キンッ!!


金属同士がぶつかり合うような音が響く。澁谷の攻撃は俺の身体に届くことなく、弾き返された。


やはり、通常の攻撃なら問題ない。【不動】の効果によって、澁谷の技を無効化できる。


「ずるいんじゃ、そのスキル!」


澁谷は地団駄を踏みながら叫んだ。


「お前が言ったんだろ! これは殺し合いだ。ズルも何も関係ない!」


俺も負けじと言い返す。


そもそも、先に奇襲を仕掛けてきたのはこいつだ。今さら文句を言われる筋合いはない。


「グッ……」


澁谷は言い返せないのか、悔しそうに顔を歪めた。そして、しばらく俺を睨みつけた後、ゆっくりと刀を構え直す。


「……それなら、俺の本気を見してやるよ!」


その瞬間、澁谷の雰囲気が一変した。


今までとは明らかに違う。刀の構えも、重心の置き方も、すべてが別物だった。


(今までと構えが違う……)


嫌な予感がする。


こいつ、まだ何か隠していたのか。


「納刀術終式――終ノ太刀・天ノ裁き!」


「なッ……!」


次の瞬間、澁谷の姿が視界から消えた。


速い!!


今までの技とは比べものにならない速度だ。これはかなり危険だ。


流石の【不動】でも耐えられないかもしれない。


俺は攻撃を受け止めることを諦め、回避に専念する。


だが――。


「まずい!」


想像していた以上に澁谷の速度が速い。避けきれない。


どうする……?


剣は先ほどの戦いで壊れてしまった。今、手にしているのは、どこにでもあるような安物のナイフだけだ。


【震空剣】を使うことはできるだろう。しかし、武器の性能が落ちている以上、威力も大幅に下がってしまう。


まともにぶつかれば、こちらが押し負ける可能性が高い。


打つ手がない。


(くそ……どうすればいい?)


このままでは、本当に殺される。


だが、ここで終わるわけにはいかない。


中西との約束がある。俺は絶対に生き延びると決めたんだ。


「いや……こんなところで諦めてたまるかよ!」


(よく見ろ……澁谷をよく見るんだ)


迫り来る澁谷の動きを必死に追う。


速い。だが、どれほど速くても、攻撃を仕掛ける瞬間には隙が生まれるはずだ。


澁谷が俺の懐へと踏み込んでくる。


そして――。


「ここだ!!」


俺は残された力を振り絞り、叫んだ。


「リミットブレイク!!!」


その瞬間、俺の身体から眩い光が溢れ出した。


「な、なんやそれは!」


澁谷は異変に気づき、慌てて後退する。体勢を立て直そうとしているようだ。


だが、もう遅い。


蓄え続けてきた力を、今ここで解き放つ!


「死ねぇぇ! 澁谷ぃぃぃぃぃ!」


「おい! やめろ、やめてくれ!」


ドォォォォンッ!!


大きな衝撃音とともに、前方の景色が吹き飛んだ。


砂煙が舞い上がり、周囲の様子が見えなくなる。


「はぁ……はぁ……」


俺は荒い息を吐きながら、その場に立ち尽くしていた。


(危なかった……殺されるところだった)


どうにか勝てたのか。


だが、身体はすでに限界を迎えていた。指一本動かすことすら難しい。


あれだけの攻撃をまともに受けて、生きているはずがない。


俺は澁谷の死亡通知が表示されるのを待った。


しかし――。


いくら待っても、通知は現れない。


「……まさか」


俺は砂煙の向こうに目を凝らした。


そこには、全身ボロボロになりながらも、かろうじて立っている澁谷の姿があった。


その目は白く、意識があるようには見えない。


「嘘だろ……」


あれを受けて、まだ生きているのか。


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