【22話】戦いの果てに
俺は震える手でウィンドウを押した。
すると、ウィンドウが金色の光を放ち始めた。
そして――。
【ユニークスキル 絶壊を獲得しました】
「絶壊……?」
俺は表示された文字を確認し、詳しい能力を調べるためにウィンドウを操作した。
【絶壊】
二連撃の軌跡に破壊の力を宿す。二撃目が命中すると、最初の斬撃で生じた亀裂を起点に追加ダメージが発生する。
「なるほど……?」
説明を読んだだけでは、いまひとつ実感が湧かない。
実際に使ってみなければ、どれほどの力を持っているのか分からなさそうだ。
だが、俺は中西や大多和のユニークスキルを目の当たりにしている。
ユニークスキルは、通常のスキルとは比べものにならないほど強力な力を秘めているのだ。
せっかく手に入れた力だ。早速、試してみることにした。
俺は周囲を見渡し、試し斬りに使えそうなものを探す。
「……あれなら、いけそうか」
目に留まったのは、直径三メートルはありそうな巨大な大木だった。
試すには十分だろう。
俺は剣を引き抜き、木に向かって構えた。
そして――。
「絶壊!!」
まずは一撃目。
剣を振り抜いた瞬間、斬りつけた箇所に沿って赤い線が浮かび上がった。
「……まさか」
俺は目を細め、その赤い線を見つめる。
そして、その軌跡をなぞるように、二撃目を叩き込んだ。
パキュンッ!
ガラスが割れるような音が響いた。
同時に、赤い線を中心として、木の周囲の空間が歪み始める。
次の瞬間――。
ズズンッ!
巨大な大木が、真っ二つに斬り裂かれた。
「……すげえ」
俺は思わず息を呑んだ。
あれほど巨大な木を、たった二度の斬撃で斬り倒したのだ。
しかも、ただ斬っただけじゃない。
一撃目で刻んだ軌跡が、二撃目によって破壊の力を引き起こしたのだ。
「扱いは難しそうだけど……こいつは強い」
この力なら、今まで倒せなかった相手にも対抗できるかもしれない。
だが、俺は決して忘れてはいけない。
中西と交わした約束を。
彼女が命を懸けて託してくれた願いを。
――俺は、必ず生き延びる。
そして、戦友との約束を果たす。
そのためなら、俺の邪魔をする奴は誰であろうと容赦しない。
俺は新たな力を胸に刻み、固く心に誓った。
◇
――魔王城・玉座の間。
豪奢な玉座に、一人の男が腰掛けていた。
魔王、アシュベルト・バーン。
その周囲には無数のウィンドウが浮かび上がり、異世界へと転移させられたクラスメイトたちの動向を映し出していた。
魔王はそれらを眺めながら、静かに口を開く。
「殺し合いが始まって、一ヶ月……か」
ウィンドウに映る生徒たちの姿を見つめ、魔王は残念そうに眉をひそめた。
「*****は、まだできぬのか……」
そう呟くと、魔王はゆっくりと玉座から立ち上がった。
そして、部屋の奥へと歩いていく。
そこには、巨大なポッドが一つ置かれていた。
透明な容器の中には、一人の女性が眠るように横たわっている。
魔王はポッドの前で足を止め、その表面を優しく撫でた。
そして、愛おしそうに女性を見つめながら、囁くように呟いた。
「私の愛しのマリア……」
その声には、先ほどまでの魔王らしい威厳はなかった。
ただ、深い愛情と、隠しきれない悲しみが滲んでいた。
「必ず君を……」
魔王はそこで言葉を切った。
そして、ポッドの中で眠る女性を、ただ静かに見つめ続けていた。
これにて一章終了となります!ここまで読んでくださった方々へ本当にありがとうございます。
二章も引き続き描いていくので読んでくださったら幸いです。
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