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異世界に召喚された俺たちですが、どうやら仲間を殺さないと帰れないようです   作者: 高野
【第1章】生き残るために

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【17話】敵を撃ち倒せ

勝てない理由……?


やっぱり、こいつはまだ何かを隠している。


【絶剣】の攻撃を受けても無傷。

さらに、剣が届かない距離から攻撃を仕掛けてきた。


いったい、どうなっているんだ……?


その瞬間――。


「伏せて! 正弘!」


中西の叫び声が響いた。


「っ!」


俺は咄嗟に身をかがめる。


次の瞬間、頭上を凄まじい衝撃が通り抜け、背後の木々がまとめて揺れた。


バキバキバキッ!


「なっ……!?」


振り返ると、太い木の幹に大きな亀裂が走っていた。


剣は届いていない。

なのに、攻撃だけが飛んできた。


まさか、これが……!


「お前らが俺に勝てねえ理由を教えてやるよ」


大多和は大剣を肩に担ぎ、愉快そうに笑った。


「まずはこれだ」


《ユニークスキル 不動》


「……不動?」


「そうだ。俺の体は、そう簡単には傷つかねえんだよ」


大多和は自分の胸を拳で叩いた。


「さっきの委員長サマの攻撃、結構痛かったぜ? だが、そんなもんじゃ俺は倒せねえ」


「そんな……」


中西が悔しそうに唇を噛む。


あれだけの連撃を叩き込んだのに、ほとんどダメージを与えられていない。


【絶剣】は相手の防御力や防御系スキルを無視するはずだ。それなのに、なぜ効かなかった?


……いや、考えられることは一つ。


【不動】は、単純に防御力を上げるスキルじゃないのかもしれない。


攻撃そのものの威力を弱める。だからこそ、中西の【絶剣】でも致命傷を与えられなかったのだろう。


「そして、こっちが本命だ」


大多和は大剣を両手で握り直した。


「【震空剣】!」


ブンッ!


大多和は大きく剣を振るった。


その刃は俺たちには届かない。


だが――。


「うおっ!?」


目の前の空気が爆発したかのような衝撃が襲いかかる。


俺は咄嗟に腕を交差させ、顔をかばった。


ドォンッ!


衝撃に押され、体が後方へ吹き飛ばされる。


「ぐっ……!」


背中を地面に打ちつけ、肺の中の空気が一気に吐き出された。


痛ぇ……!


一体、何をされたんだ!?


俺はどうにか体を起こし、大多和を睨みつけた。


「ハハハッ! どうだ! これが俺の力だ!」


大多和は大剣を振り回しながら高笑いする。


「俺に攻撃は通じねえ! 離れていても逃げられねえ! お前らに何ができるってんだ!?」


くそっ……。


防御を突破しなければ、勝ち目はない。


しかも、遠距離からの攻撃まである。


まともに戦えば、俺たちが先に倒れるのは明らかだった。


「正弘!」


中西が俺のもとへ駆け寄ってくる。


「大丈夫!?」


「ああ、なんとかな……」


俺は痛む体を押さえながら立ち上がった。


だが、状況は最悪だ。


あいつの攻撃をまともに受け続ければ、いずれ動けなくなる。一方、俺たちの攻撃は通用しない。


このままでは、時間が経つほど不利になるだけだ。


「どうする……?」


中西が小さく呟いた。


その声には、焦りがにじんでいた。


無理もない。


剣道で県大会を優勝した実力者で、強力なユニークスキルまで持っている中西。そんな彼女が、今は大多和を倒せずにいる。


「おいおい、もう終わりか?」


大多和がこちらへ歩み寄ってくる。


「さっきまでの威勢はどうした? 俺をぶっ飛ばすんじゃなかったのかよ!」


「……っ!」


中西が剣を握り直した。


「まだよ。私は、まだ負けてない!」


「いいねえ、その顔! そういうのをぶっ壊すのが楽しいんだよ!」


大多和が大剣を振り上げる。


「危ない!」


俺は中西の腕を引き、横へ飛び退いた。


直後、地面に衝撃が走る。


ドゴォンッ!


土が跳ね上がり、足元が大きく揺れた。


あと少し遅れていたら、まともに食らっていた。


「助かったわ、正弘!」


「礼は後だ! 今はあいつをどうにかしないと!」


俺は大多和から距離を取りながら、必死に頭を回転させる。


考えろ。

考えるんだ。


あいつのスキルには、必ず攻略法があるはずだ。


【不動】は攻撃を完全に無効化するわけじゃない。


大多和自身が、さっき言っていた。


『結構痛かった』と。


つまり、ダメージは通っている。ただ、致命傷にならないだけだ。


ならば、限界を超える威力を叩き込めばいい。


問題は、その威力をどうやって生み出すかだ。


……待てよ。


俺には、あるじゃないか。


【畜撃】が。


受けたダメージを蓄え、一気に解放するスキル。今まで何度も助けられてきた、俺の切り札だ。


ただし、これだけでは足りない。


大多和の【不動】を突破できるほどの威力を蓄えるには、相当なダメージが必要になる。


下手をすれば、解放する前に俺が倒れてしまう。


だが、中西がいれば話は別だ。


彼女の【絶剣】なら、大多和に隙を作れる。その一瞬に、俺が【畜撃】を叩き込む。


これしかない。


「中西……まだ、いけるか?」


俺は彼女の顔を見た。


中西は一瞬だけ目を見開き、そして力強く頷いた。


「ええ。もちろん」


彼女は剣を構え直す。


「私は委員長よ。クラスメイトを見捨てて逃げるわけにはいかないわ」


「……そうかよ」


思わず笑みがこぼれた。


本当に、頼もしい委員長だ。


「なら、もう一度仕掛けるぞ」


「作戦は?」


「簡単だ。俺があいつの攻撃を引き受ける。その隙に、お前の【絶剣】を叩き込んでくれ」


「それだけでいいの?」


「いや……最後は俺が決める」


俺は拳を握りしめた。


【畜撃】に、すべてを賭ける。


もちろん、成功する保証なんてない。


だが、ここで何もしなければ、俺たちは確実に負ける。


だったら、前に進むしかないだろ。


「へへっ、何をこそこそ話してやがる?」


大多和が大剣を担ぎ直した。


「作戦会議は終わったか? なら、そろそろ終わりにしようぜ!」


大多和が地面を蹴る。


巨体からは想像できない速さで、こちらへ迫ってきた。


「来るぞ!」


俺は剣を構え、中西と視線を交わした。


恐怖はある。

逃げ出したい気持ちだってある。


それでも、俺は剣を握る手に力を込めた。


ここで負けるわけにはいかない。


俺は大多和を睨みつける。


――勝ち筋は、まだ消えていない。


俺にはまだ、奥の手がある……。

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