【13話】正弘サバイバル①
はぁ……。
せっかく洞窟から出ることができたのに、今度は男三人組に絡まれてしまった。
「どうしようか……」
もちろん、武力を行使することもできる。
だが、できることなら人間とは敵対したくない。
そんなことを考えていると、男たちが何やら話し合い始めた。
そして――。
「俺、大多和の兄貴に言ってくるぜ」
一人の大男がそう言い残し、その場を離れていった。
大多和……大多和だって?
まさか、この近くに大多和がいるのか……?
大多和和成。
俺のクラスメイトの一人で、正直に言ってヤンキーだ。学校でも問題児として知られていた。
だが、大多和には他の生徒とは違う特徴がある。
とにかく、体がゴツくてデカいのだ。
そのせいで、生徒はもちろん、先生ですら彼に注意できなかった。
……どうする?
おそらく、何分か待っていれば大多和がここにやってくる。
あいつのことだ。
俺がクラスメイトだと分かった瞬間、容赦なく襲いかかってくるだろう。
ここは一度、逃げるしかない……!
俺は男たちの隙を狙い、残った二人から逃げ出した。
だが――。
「おい! 待て!」
小柄な男がすぐに気づき、追いかけてくる。
最悪の状況だ。
俺は走りながら、近くに生えている木に指を向けた。
「【水噴射】!」
勢いよく放たれた水が、木の幹に直撃する。
ミシミシッ……バキッ!
大きな音を立て、木が倒れ込んだ。
「よし……!」
これで、少しは時間を稼げるはずだ。
俺はそのまま全力で走り続けた。
◇
どれくらい走っただろうか。
俺は何とか、男たちを振り切ることに成功した。
「ふぅ……。さて、どうするかな」
俺は地図のことを思い出した。
確か、この荒廃した村は山に囲まれていたはずだ。
「つまり、出入り口は……俺が通ってきた洞窟か、さらに奥へ進んだ先にある洞窟か」
安全を優先するなら、来た道を引き返すのが一番だろう。
だが、それでは振り出しに戻るだけだ。
「行くとしたら、入り口とは正反対にある洞窟か……」
おそらく、大多和はそちらで待ち伏せしているだろう。
どうにか戦闘を避けて通り抜けられればいいのだが……。
そんなことを考えているうちに、辺りは次第に暗くなってきた。
「今日は野宿か……」
俺は近くにあった大木によじ登り、枝の上にある広いスペースに葉っぱを敷き詰めた。
そして、そこを寝床にすることにした。
◇
朝。
寝床が悪かったせいもあるのだろうが、ほとんど眠ることができなかった。
「さて、これからどうするか……」
今から洞窟に向かうこともできる。
だが、大多和に返り討ちにされる可能性だってある。
「一旦、魔物を倒しまくってスキルを吸収するか……」
そう考え、俺はウィンドウを開いた。
「……なんだ、これ?」
そこには、いつの間にか見覚えのないスキルが表示されていた。
【ユニークスキル 破壊】
「いつ吸収したんだ……?」
俺は首をかしげた。
待てよ……。
まさか、あのガーディアンとの戦いか?
そういえば、ボスを倒したという表示を確認した直後、俺は気絶したんだった。
つまり、スキルを獲得したことに気づいていなかったのか。
「何はともあれ、これで……!」
俺はウィンドウを操作する。
【二連撃】と【破壊】。
この二つを合成すれば、さらに強力なスキルへと進化させられるはずだ。
俺はさっそく、二つのスキルを合成した。
すると――。
ウィンドウに、新たな文字が表示された。
【統合完了まで 71時間59分48秒】
「……は?」
思わず、間の抜けた声が出た。
七十一時間……?
つまり、スキルが進化するまで三日も待たなければならないということか。
「即戦力になると思ったんだけどな……」
まあ、こればかりは仕方がない。
だが、いざ大多和と戦うことになったら、このスキルは絶対に必要になるはずだ。
つまり――。
この山に囲まれた場所で、三日間。
大多和たちに見つからず、生き残らなければならない。
「面白くなってきた! やってやるぜ!」
こうして――。
正弘のサバイバル生活が幕を開けた。
よければ、感想や評価をいただけると嬉しいです!
次回もよろしくお願いします!




