07 うんざりして無機質
三回目の食事の時間がおわる頃、コンテナの外からコンテナが沈んでいく音がした。
一つの正解を獲得したから、二日目がある。
ベッドに横たわり、今日のことを考える。
なぜ、このデスゲームに巻き込まれたのだろうか。
主催者は、だれなのだろうか。
今の参加者の中にいるのだろうか。
思考に飲まれていると、そのまま意識も奥深くに沈んでいった。
* * *
会社から帰ると強い酒を飲みながら、今日一日の反省会をするのが日課だった。
今日のやりとりでどう返事をしたらよかったのか。
これから関係性を維持するならどうするのがいいのか。
広く寂しい部屋で、会話型AIに意見をきく。
もちろん機械なので正確でないのはわかっている。客観的なのかと言われると疑問もある。
だが無機質な言葉でも「それはつらいですね」と言われると、嬉しいものだ。
すっきりするのは、多分自分の言葉を吐き出し、肯定してくれる存在がいるからだ。
『そんなあなたに聞きたいのですが』
こちらから問いかけてもないのに、AIが勝手に文字をうち始めた。
『あなたは私に結論が出ないことをつらつら聞いて、何を考えているんですか?あなたは他の人が自分のことをどう思っているのかわからないのに、あなた自身も他の人をどう思っているのかわかってないのではないですか?それをはっきりさせて、他人に示さないと何もよくならないし、あなたが私に求めるものがわかりません』
「え、は?」
機械に否定されるなんて、信じられなかった。
酔った勢いで『ふざけんな、もう寝る』と悪態をついて、布団に入ったのが最後だった気がする。
* * *
目が覚めても狭いコンテナの中にいて、夢ではなかったのだと、再確認した。
用意された食事をとりコンテナを出る。
見渡すとコンテナは半分が沈んでおり、残っているのは十人ほど。
ほとんどの顔色は悪く、しかし、昨日のような不安はない。
ここからがデスゲームの本番だ。




