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02 戸惑いの音

『デスゲームのルール』

数人がそう呟いた。

海斗を含め、全員の視線は巨大スクリーンに向かった。

白く映し出されたスクリーンの一番上には、題名のように書かれている文字。


「これは…どういうこと?」

「デスゲームって何だよ‼」

『ピコーン!』


誰かの怒鳴り声に反応したのか、今度は電子音が響いた。

続いて、スクリーンに一文が浮かび上がった。


『レ **デスゲーム**とは、参加者から勝者を決め、敗者は死亡するゲームである』


「なに…これ…」

「私達、デスゲームに参加したってこと…?」


海斗の左隣に集まる女子グループからそんな呟きが流れてきた。

ちらりとみれば、女子大学生からOLまでが六人ほど集まっていた。

みな肩を寄せ合ってこそこそとつぶやき合っている。


海斗は再び白いモニターに目線を戻す。

デスゲームと聞いて、動揺しない自分に半ば驚いたが、同時にどうでもいいと思った。

元々、何の面白みもない人生だったのだから。

たとえ、敗北して死んだとしても、そんなもんだろ、と静観する自分がいる。


「それにしても…」


白いモニターに映し出されているのは、題名と先ほどの一文だけ。

どうやらこれはルールを映し出す予定らしい。

先ほどの電子音は直前の発言に反応したのだろうが。


「参加者は⁈」


凜とした声がアリーナの奥の方から聞こえてきた。

オーラのある声色に多くの人がそちらを向く。

ハイヒールにスーツ。

長髪とメイクから女性かと見紛(みまが)うが、声は男だった。

立ち姿から、社長か芸能人だろうか。

多くの視線に注目されながらも、その男はモニターから動かなかった。


『ピコーン!』


また電子音。

海斗がモニターに目を移すと、新たな一文が追加されるところだった。


『レ **参加者**は主催者が決定し、許可なくゲームから離脱(りだつ)できない』

「はぁああ⁈⁈」


ヤジが飛ぶ。

一番大きなヤジは麻琴かもしれない。

今にもモニターに殴りかかろうとしていた。


「俺はこんなゲームに参加するなんて言ってねぇぞ!」


いや、もはや殴っていた。

モニターに振りかざした拳はモニター前でとまり、鈍い音が響いた。


「強化ガラスか」


透明度の高い、そこにあると気付かないガラスがモニター前に置かれているらしい。

人の力では突き破れるものではない。

暴力も想定された設計だ。


「くそっ」


どうやら、このゲームのルールは要求しないと教えてくれないらしい。

先ほどの男性はそれに気付いたから、参加者の情報を得るために端的に伝えた。

周囲を見渡せば、他にも気付いた人はいそうだ。


「食事はどうなるの⁈」

「寝させてくれるんだろうな⁈」

「負けたらどうなるの⁈」

『ピコーン!ピコーン!ピコーン!』


電子音が複数回。

次々と、モニターに文章が追加されていた。


『レ **食事**は一日三食が各コンテナに用意されるため、コンテナ内で摂取(せっしゅ)すること』

『レ **睡眠**は一日八時間とし、その時間に他人のコンテナに入ることは禁止する』

『レ **敗者**は死亡し、この世の英知(えいち)(みなもと)となる』


ゲームに参加している限りは最低限度の生活は約束されるらしい。

デスゲームといえど、すぐに誰かが死ぬ雰囲気はなく、安堵(あんど)の空気が広がった。

そんな中、麻琴の高らかな笑いがアリーナ内に響いた。


「で、ゲームの内容はなんだ?」

『ピコーン!』


意気(いき)揚々(ようよう)とモニターに問いかける。

全員がモニターを凝視した。


『レ **ゲームの内容**は、ルールを明らかにすることである』


無情(むじょう)のチャイムが響き渡った。

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