11 強者の高揚感
「くくく……!」
モニターに映し出された文字を前に、麻琴は高笑いをしていた。
『**ゲーム終了**』
傍ではさくらが同様に見上げていた。
最初は頼りない女だと思っていたが、よく動いてくれた。
彼女と一緒であれば、この先の人生は安泰だろう。
ゲームに参加する前の人生なんて、思い出さないぐらい。
「さぁ!オレ達をここから出せ!」
「……」
両手を広げて、このゲームの支配者に語りかける。
これでゲームの勝者は麻琴のはずだ。
『最後の問い』
「なっ……」
問いの文章を読み終わるかどうか、そのタイミング。
麻琴の背後に熱が走る。
体から力が抜けて、最後の視界に入ったのは、黒い鉄骨の天井と、無表情で見下ろすさくらだった。
* * *
どれぐらい泳いだだろうか。
水は冷たくないが、それでも体力と気力は徐々に奪われていた。
何度か諦めの文字が浮かぶが、背後で聞こえた物が落ちる音が背中を押した。
そうして、前の灯火が近づく度に、引力を感じる。
「っ…」
伸ばした手が無機質な固形に触れる。
必死にそれを両手で掴み、腹筋に最後の力を込める。
「ハァ……ハァ……」
ぬれた体を引き上げ、床に転がり、空気をめいいっぱいとりこむ。
薄く見上げた天井は真っ暗で何も見えない。
波打つ音が聞こえるだけで、あとは自分の荒い息だけがやけに頭に響く。
このまま寝てしまいたい衝動に駆られるが、それをなんとかとどめる。
無事、体を休める場所にたどり着いたということは、あのゲームに脱落したからといって、敗北ではなく、つまり、殺されないということ。
ほかの脱落者がどうなったかはわからないが、そのことに気づいたのは多くないだろう。
自分だけが気づいていた。
その高揚感が感情を支配し、自然と唇は弧を描いた。
眠るなんてもったいない。
次へ進もう。




