◆ポルターガイスト◇
◆ポルターガイスト◇
「は?今の時代にポルターガイストかよ」
思わず口に出して引き笑いをしてしまうほどのあからさまな異常。
小瓶には一切触れておらず、振動も、ましてや強風が吹いているわけもなく、なぜ小瓶が突然倒れたのか、原因は分からなかった。この調味料は地味に人気があり、売り切れていることも多かった。考えても無駄と悟り、会社の雑談用に頭の中で話を整理した。
小瓶を立て、部屋を出た。
さっと振り返ったが、小瓶はもう倒れなかった。
会社で雑談をしている時に調味料の小瓶が突然倒れた話を思い出して聴かせると、上司が面白がって言った。
「その小瓶、過労で倒れたんじゃないか?」
案の定、からかわれた。
そして追い打ちが続いた。
「……って音が玄関の扉から聴こえるんです。引っ越し先で同じ音が鳴るっておかしいですよね」
「その音は前のマンションからお前に憑いて来てるんだよ」
上司はにやけ顔で嬉しそうにしていた。
「霊障ってやつだな」
冗談と分かっていても、『霊障』という言葉は強かった。
身の毛がよだつ思いがした。
「こっちが何もしていなくたって、その建物はその昔は墓地だったとか、誰も深く調べて住むなんてしないだろ。最近は事故物件は不動産屋が先に提示しないといけないらしいけど、何十年も前だったり、そもそも大家が伝えてなかったり、そういう情報は扱いが曖昧だったりするもんだ」
何も返せないでいると、さらなる追撃を打ち込まれた。
「お前、完全に事故物件掴まされてるな」
そう言って、上司は面白がって笑っていた……。
仕事を終えて帰りの電車で揺られながら、上司の言葉を何度も思い出していた……。
帰宅して風呂に入り、夕飯を済ませ、翌日の身支度をして布団に入った。
幸せなのは風呂で汗と汚れを落としたとき、ビールをごくごくと喉を鳴らして流し込んだとき、それらを超えて、布団に入ったときが一日で一番幸せな時間。
眠りにつくまでの間、読書灯の灯りが暖かく本を照らしていた。
『コツン』——玄関で音がした。
気になったが、昔同じ状況で玄関を飛び出して廊下を見た記憶から、どうせ原因は分からない——と、確認する気にはならなかった。
上司が言っていた『霊障』という言葉を思い出したが、なおさら関わるべきじゃないと思えた。
その日も音を無視することにして、いつしか眠りについた。
翌日の深夜も同じ音がしたが、気にしないように努めた。
薄気味悪かったが、動かなければ事態が悪化しないような気がしていた。
『コツン』——。
『コツン』——。
『コツン』——。
丑三つ時に目が覚めて、トイレに行く途中、台所にある窓が目についた。
電気を点けた瞬間、一瞬だけ赤い色が見えた気がした。
妙に気になるこの違和感の正体を知りたい——いっそのことと思い、玄関扉を開けて外に飛び出し、周囲を見回した。外の歩道まで出て異変を探したが何もない。
夜中に吹く風が冷たく身体を撫でていった。
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