第17現象 先輩ヒーローの授業
僕らは休憩に入る。各々日陰に行ったり、水を飲んだりしていたが鉄城はまだ動き足りないということで、1人だけ校庭でランニングをしている。
休憩時間に民間のヒーローがやってきた。非科学現象組合の社員とヒーローが圧力測定の機械を準備していた。
圧力測定は合計3回圧力をかける。1回目は普通の圧力、2回目は現象50%の圧力、3回目は100%の圧力をかけて記録する。
さて…今回来てくれたヒーローは誰だ?
フミヤ:鹿児島から来ました「LAST HERO JAPAN」所属、参謀のフミヤって言います。
鉄城:お久しぶりです。
フミヤ:鉄城か、鍛錬は…体つきで見てわかるか。
「LAST HERO JAPAN」は地元鹿児島で活躍するヒーロー事務所。リーダーの夏希ミユことエアスフィアを中心にアンチヒーローやフェラムを討伐する武闘派系。
現在はリーダーのエアスフィアが海外出張で、副リーダー兼指揮官の伊月が率いて活動している。
フミヤ:リーダーが来てくれたほうが良かっただろう。俺はしばらく東京に在住することになったから、たまに学校に来る。
そう言って休憩は終わり、圧力測定の時間になる。
最初は僕からだ。1回目はただのパンチ。80kgpとやや普通よりだった。100kgpが非現象者の300kgfだから大体260から280位かな。
白雪の挑戦。1回目なのでただのパンチ。パンチというか突いた感じのうさぎパンチに近い。記録は20kgp。
大和:(かわいいな…)
大和の挑戦。大和の普通のパンチは加速を使わずとも早い。だが拳を後ろに引くのは遅かった。多分加速の癖で加速で殴る分、切り替え後ろに拳を引く時減速しているのだろう。現象を使わなくても体に染み付いているのだ。記録は速さとは見合わず67kgp。
神代はため息をついて、ゆっくり殴る。そして記録が出て30kgpちょっと。神代は記録を見ずに定位置に戻る。
鉄城が殴ると少し機械が揺れる。まだ1回目だというのに機械が動くくらいの威力ってやばいな。記録は155kgp。
問題はここから、2回目から現象を使った圧力測定。
大和:フミヤさんは手本見せてくれないんすか?
フミヤ:3回目の現象100%の時に1回だけやるよ。
さて、2回目の挑戦。僕は音波マスクを装着して自身の音波を腕と手に溜めて放つ。名前は共鳴砲、記録は210kgp。
白雪は空気中の水分を1点に集めて凍らせる。それを一つの弾丸の形にして放つ。
白雪:アイシクルバレット!!
記録は260kgp。少し溜めが遅いのがネックになるが、遠距離からこのくらいのダメージが出せると考えると凄いことだ。
大和は拳を加速させて思いっきり振る。少し機械が後ろに動いた。鉄城の1回目でバコッ!って音が鳴ったように、大和の2回目はドゴンッ!と鈍い音が鳴った。記録は277kgp。
神代は相変わらず1回目と同じように普通に殴る。強めに殴ったのか50kgpになる。
鉄城は自身の手を鋼鉄に変え、振りかざす。砲丸投げよりも溜めに溜めてぶち込むと機械は大和よりも吹っ飛ぶ。記録は319kgp。
フミヤ:鉄城家は全員がフィジカルバケモンと聞いていたが、ここまで凄いとは。
鉄城:伊月姉さんはサポートよりの現象ですが…現象を使った俺の記録より強い圧力を叩き出してます。
フミヤ:伊月さんに関しては…、僕も少しおかしいと思ってるよ。
3回目の挑戦、現象を100%使う。
僕は音波マスクを外して共鳴衝撃波を放つ。
直接口から放たれる分、手と違って音波が直に当たる事で、威力が増す。ブラストの方が中距離・遠距離だったら、インパクトの方は近距離専用技だ。
記録は360kgp。
白雪の挑戦。先ほど弾丸を放ったから、そこまで変化のある圧力はかけないと思うがどう出るか。
白雪は自身の氷をライフルの形に変える。
白雪:グレイシャルライフルを使います。
白雪は地面に倒れ込み、ライフルを構える。的は勿論、圧力測定機。そのライフルから放たれる弾丸は圧力測定機を軽く貫いて行った。記録が440kgp。
フミヤ:新しい圧力測定機に変えるから少し休憩で。
少しの休憩を挟む。
その間、次の番の大和は加速して溜め続けていた。足の加速を集中的に伸ばし始めて、肉眼で捉えきれない位に加速していく。
新しい機械が設置された。
フミヤ:次は大和、殴っていいぞ。
先程まで加速するために校庭をぐるぐる走っていた大和がそのままの勢いで圧力測定機に突っ込んでくる。
大和:なにわの底力…見せたるで!
この速度で繰り出すのはパンチかキックか。
大和:天下一蹴!!
記録は400kgp。
大和:白雪ちゃんの440超えれんかった…
神代の番。1回目と2回目は現象を使わなかった。3回目も使わないと思われていたが、神代がなんか…ダブって見える。いや…間違いなく神代が複数人いるように見える、これは神代の現象:幻影だろう。
神代:千影
記録は340kgp。3回目にしてちゃんとした記録が出た。多分、分身複数人のダメージが一つのダメージとして認識されているため、個人のダメージは弱いものの、重なれば強くなる…いい現象じゃん。
鉄城の番が来た。1回目155kgp、2回目319kgp。先ほどから1人だけ頭抜けているが3回目はどうなるだろうか。
2回目同様に拳を鋼鉄にして構えた。
鉄城:アイアン…ブレイカー!!!
圧力測定機に拳が衝突した瞬間圧力測定機は砕けて、その反動で地面が少し揺れだした。記録はぶっちぎりで530kgp。
とうとう来た、最後はフミヤさんの番だ。一回だけとはいえ憧れの「LAST HERO JAPAN」所属現役ヒーローの技が見れるなんて夢みたいだ。
フミヤ:グランドオーダー「重装騎士:パラディン」
フミヤさんは複数の人形を変形させて大きな槍の人形を作り出した。動画の方での3回目はよく分からない攻撃だったが、被害が大きいから見せてはくれないのが残念だけど、生でパラディンが見れるのは感動だ。
鉄城:(ゴクリ…)
大和:現役ヒーローの本機の力…どんなもんなんや。
白雪:少し…怖いです。
フミヤ:少し本気出すよ。
パラディンは走り出し圧力測定機を貫き破壊してしまう。槍が刺さった時の記録が少し見えたけど、記録が792kgp。
大和:792!?
鉄城:流石だ…
神代:ふんっ、くだらない。
僕らは体力測定を終えて教室に戻る。フミヤさんも教室に来てくださり、一緒に授業を受けてくれた。午後の授業はその先輩ヒーローであるフミヤさんに質問する回となった。
大和:はいはーい!
フミヤ:大和君
大和:フミヤさんは普段どんな活動してるんですか?
フミヤさんは答える
主に非科学現象組合の下で違反者を取り締まっている。昔多かった日本にもたらした外国人の負の影響。酷かった令和初期の頃は、現象も無くて他国だから日本の法律で裁くことは難しかったけど今は違う。
どの国出身であろうと、違反した場所の国の法律で裁かれるようになった。それも民主の前で。
例を挙げるなら、2026年某国の日本滞在外国人が遊泳禁止の川に飛び込もうとしていた。加害者は誰もいないし、邪魔にならないから大丈夫だと言った。警察はもちろん止めたが言うことを聞かない。
神代:頭の脳がダチョウと同じくらいなんだろ。
それもあるかもね。警察は止めることしかできない。外国みたいにテーザーを撃つことは禁じられているからね。
白雪:今は現象がありますもんね。
そう、今は現象社会。日本の法律は元の法律と+で現象の法律が適応される。先ほどの例を今風に解決するならこうなる。
加害者が川に飛び込もうとした時に警察が止める。当然脳がミジンコの様な奴らはルールを無視して飛び込もうとする。警察はヒーローを呼ぶ。
ヒーローが駆けつけて事情聴衆後、ヒーローが止めに入るが、それでも言うことを聞かなければ悪人認定。
そっからは牢にぶち込まれるか処刑されるかの二択。牢にぶち込まれるときはアンチヒーローと同じ牢、精神的・肉体的に牢という小さな空間で追い詰められ、刑期が終わるまで出ることのできない地獄が始まる。
ヒーローに処刑されるのは簡単な選択だ。そうだ…ここからは本来のヒーローがどんな活動をしているのか話すからな。
テレビのヒーロータレントが言ってることや、メルヘンチックやファンタジーなヒーローアニメの様なヒーローの表しかない様な部分とは違う裏という名の表というリアルな活動しか言わない。
奏:人を傷つけずに解決する方法って…
現役・現場のヒーローはそんな甘ったれた感情は持ち合わせていない。加害者がどうであれ、少なくても被害をもたらしたのなら悪人又はアンチヒーロー認定だ。たとえ罪を償っても再犯したら処刑する。
まぁ…ヒーローって言っても俺みたいな現場に出るヒーローは、その感情を持っていないが、ネットで活動する広報系のヒーローは戦うことなんてしないから、傷つけたくなかったらネットで活動するのも選択だ。
神代:現役ヒーローでも…誰も救えなかった現場ってあるんですか?
無いとは言い切れない。ヒーローは被害が出てから出動することが多い。その為、現場についた頃にはヒーローに連絡した時よりも過酷な状況になっていることが多い。
災害であれ、アンチヒーローであれ全員を救えるわけではない。救える命だけしか救えない。
少し話はそれるけど、ヒーローって自分を犠牲にして市民を助ける…なんて一部の市民から思われてるけど、違うからね。
白雪:でも、市役所では市民の依頼などありますよね?
鉄城:それは報酬があるからだ。
鉄城の言う通り、ヒーローは市民を助けたいから市民の依頼を受けてるわけではない。自分自身が生きるために、お金を稼ぐために依頼を受ける。奉仕活動をしてるわけじゃないんだ。
雨宮:それで言うと市民からの批判もあるんじゃないんですか?
確かにあるよ「現象社会反対運動」がね。今や全世界が現象社会になっているけど、非現象者の中では賛成派閥と反対派閥と中立派閥の3つがある。
正直、中立派閥の奴らはよくわからない。だって今の現象社会に不満があるわけでもないけど納得もしていない…なんて、どう接したらいいか分からないじゃん。
大和:逆張りってやつっすね!
そうだね、賛成か反対か求めてるのに中立と答える人達はなんだろう。「はい」か「いいえ」の選択肢しかない状況で、自ら「どちらでもない」を作り出してしまう自己中にしか思えない。
賛成派閥は特に言うことがない。現状が満足している人達だからだ。
反対派閥は殆どが非現象者の人間だ。だが数が多いわけでもない。罵声を浴びせられる事もあるだろうが基本無視して構わない。
白雪:それは何でですか?
アイツラは都合のいい時だけヒーローに助けを求める卑しい奴らだ。自分たちは現象に反対しているくせに、自分の命が最優先だから「仕方なく」助けを求めている…と言う奴らだ。
雨宮:フミヤさんも言われたことあるんですか?
あぁ、あるよ。そういう反対派閥の奴らは基本「非科学現象組合」のブラックリストに入っててね、依頼や報告されても無視してるんだ。
神代:本当に助けが必要でもですか?
はい、本当に助けが必要でも国の意向に納得できない者は切り捨てられます。勘違いしないでほしいのが、思想を押し付けているわけではないこと。
白雪:ヒ…ヒーローをしていて、楽しいことってありますか?
現象を使えること。合法的に力を使えるから縛りが少ない。のびのびとヒーローができるって言い切れないけど、それでも現象を使って強くなってるって感覚が僕は好きだね。
あとはヒーロー同士仲間になれること。俺も今こそ、東京に在住してヒーローしてるけど、事務所は地元の鹿児島にある。
雨宮:ラスヒロですよね。
そうだね。「LAST HERO JAPAN」略してラスヒロ。地元で活動している小さな事務所だけど、十分すぎるくらいだよ。
大和:大手事務所には声は掛からないんですか?
もちろん声はかかる。かかるけど、入らない。大手って、大手と言うブランドはあるけど全員が活躍できるチャンスは無いんだ。
神代:無いって言い切るんですか。
ゼロに等しいだろうね。大手だからと組織力があると思ってはいけない。ヒーローの大体は個人で活動してる奴らだ。それが束になったところで、助け合う精神があると思うか?
答えは無い。だから組織としては大きくなるけど、大手内の上位ヒーローに埋もれる下位ヒーローは多い。下位ヒーローだと大手からの信頼も薄ければ、補助もないだろうね。
ここまでリアルな事しか話さなかったけど、学校を出てヒーロー活動をするんだったら実際に直面することが多い。今のうちにリアルを知っていたほうが身のためだろう。
そうだ、東京のとある現象組織が団体を作り出している噂がある。現状、それが悪影響を与えるているか分からないから何とも言えないけど、誘われても入信しないように。
以上、質問会は終わる。




