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LAST HERO JAPAN  作者: 悟
夏希編
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14/18

第14現象 霧島の温泉にて

 神崎を仲間にした僕らは伊月さんの指示通り「霧島温泉郷」付近の山に行く。すぐさま移動するため「ARK」に乗る。


 現場には温泉ヒーローの霧龍(きりゅう)と神宮ヒーローの天星(てんせい)がいる。


 霧島温泉郷マスコット兼ヒーローの霧龍

普段はマスコットとして子供に人気だが、背中に背負っている湯タンクを使って霧を作り出す。湯タンクの出力を上げると敵を吹っ飛ばすことも可能だ。


 ヒーロー名:霧龍

 現象名:蒸界(アストラル・ミスト)

 分類:物理型現象

 危険度:Ⅰ


 白い龍の2等身マスコット

 

 

 次に霧島神宮ヒーローの天星。

本名:天城玲司(あまぎれいじ)。普段は霧島神宮の身の回りを浄化している。現象の「式神」を用いて偵察や接近戦、結界を張るなどといったオールマイティな活躍を見せる。


 ヒーロー名:天星

 現象名:式神(アストラル・オーダー)

 分類:法則型現象

 危険度Ⅱ


 黒と白を基調とした狩衣

 袖に赤い紋章が付いており、髪が黒長い


 霧島温泉郷付近にて…


 オイラは霧の龍と書いて「霧龍(きりゅう)」って言うダフゥ。語尾の「ダフゥ」は温泉に浸かった時ふぅ〜…となるのをイメージしているダフゥ。


 現在は霧島温泉郷のマスコットとして子供達に大人気ダフゥ。好きな物は温泉まんじゅうダフゥ。


天星:そんな事言う暇があるなら…戦いに集中しなさい!


 そうだったダフゥ。今はこの悪人を始末しないといけないんダフゥ。幸い「非科学現象組合」の方々が応援に来てくれたから、子供達や観光客の皆んなは逃れたんダフゥ。


天星:霧龍さん、敵の情報が送られてきましたよ。


 助かるダフゥ。えっと…現象は「震脚」、踏み込みによって衝撃を地面へ伝えて周囲破壊的な振動を発生させる…と。


天星:あの足が震源地になってるってことですね。速く気絶させなくては。


 そんなんダフゥが、このアンチヒーロー「剛牙」本名:黒岩豪(くろいわごう)の体を見てもらえればわかるダフゥ。


天星:岩のように硬そうですね、足を浮かせて仕留めるには我々だけの力では難しい。


 もうすぐ鹿児島市のヒーローが応援に来るらしいダフゥ。それまでオイラ達で持ちこたえるダフゥ。


 

 夏希視点に戻る

 僕は「浮遊」で一足先に、神崎を抱えて震源地付近に到着した。「非科学現象組合」に戻った伊月さんが明確な位置を教えてくれた。


神崎:なんで俺様が行かなきゃならないんだ。


 三食飯付きで部屋はやるが、給料は自分で稼げ。


伊月:たった今、悪人「剛牙」がアンチヒーロー認定されました。


 ほら、霧島市のヒーローが持ちこたえてるらしいから行くぞ。


神崎:へいへい、人使い荒いやつだな。


 

 僕は目的の場所に到着する。震源地に近づくにつれて揺れが高まってくる。重力と言うわけではないが、浮遊していても地面に引きづられる感覚になる。


霧龍:来てくれたダフゥ。


天星:鎧男に、インチキ医者と聞いていましたが合ってそうですね。

 

神崎:誰がインチキ医者だ!


 そんな事はどうでもいい。今はこの地震を止めるのが先だ。見たところ岩みたいな奴だな。防御が硬いと言うか何というか。


霧龍:オイラの「湯けむり大噴火」でも、少し動くくらいで吹っ飛ばなかったダフゥ。


 「湯けむり大噴火」とは霧龍の後に付いている霧島の湯が入ったタンクの温度を上げて相手を吹っ飛ばす放出技だ。


天星:私の「式神」でもアレを押す力がありませんでした。


神崎:それはそうだろ。見た感じ片足を地面に埋め込んで、もう片足で踏みつけてるからな。


 なるほど、なら埋め込んでいる足を浮かせばいいってわけか。


神崎:だが奴自身も相当な手練だから、むやみに近づけば反撃にあうかもな。


 

 一方ARK内では

 夏希のやつ、神崎を連れて行ったが俺等を全員抱え込むことはできないのか。プテラをしたくてもメンテナンス中だから使えないし、どうしたものか。


ましろ:フミヤ、早くしてよ!夏希がやられちゃうよ。


 高速道路の速度はこれが限界なんだよ。着くまでに10分以上かかる。


ましろ:遅いよ!運転変わって!


 お前、無免許だろ。いい加減黙って待ってろ。ラルニ、ましろを止めといてくれ。


ラルニ:ハーイ。ましろちゃん、あっちでボドゲして遊ぼうよ♡


 はぁ…、夏希。お前の苦労がよくわかるぜ。



 夏希視点に戻る


 剛牙を浮かせるために風を利用するがびくともしない。それどころか筋肉で踏ん張って耐えている。 


神崎:近づくと反撃を受けるかもしれないんだったら…同じ波長の攻撃をぶつけるってのはどうだ?


 波長…、波長じゃなくて波状攻撃ができるやつなら一人いる。僕はフミヤに連絡を取る。


フミヤ:あぁ、もうすぐ着くから待ってろ。


 

 ARK到着後


フミヤ:現状は?

 

 それがアンチヒーローの「剛牙」は近づかなければ何もしてこない。だが、このまま地震を出されては迷惑だ。 


霧龍:調べたんだけど、剛牙って他県のヒーローだったらしいダフゥ。


 この地に何か因縁でもあるのか。


剛牙:今の…


夏希達:?!


剛牙:今のヒーローは軟弱すぎる。


 剛牙は元々岩手のヒーローをしていた。当時の現象発現から活躍していた古参ヒーローだった。今より昔のほうが悪人やアンチヒーローが多く大変だったが、戦うのが楽しくもあった。


 今は良くも悪くも平和すぎる。そして現在、鹿児島の方にアンチヒーローが集まっているということから行ってみることにしたらしいが、【LAST HERO JAPAN】が既に解決していたりと欲を発散できなかった。


 だったら今のヒーローを自分自身で呼んで戦おう。アンチヒーローになろうとしたらしい。


剛牙:俺は戦いを…求めている。タイマンの殴りあいを…


天星:ならヒーロー同士で戦う「現象決闘戦」をしたらいいのでは。


剛牙:なんだそれは…


霧龍:ヒーローの公式試合みたいなものダフゥ。


剛牙:それをしたら戦えるのか?


天星:騒ぎを起こしたから、罪を償った後ならな。


 僕らは結局剛牙を捕まえることはなかった。「非科学現象組合」が剛牙を連れていき、処罰が決まったらしい。


霧龍:一件落着ということで、旅館泊まっていかないダフゥ?


 僕らは、流れで旅館に泊まることになった。



 何気に鹿児島に住んでるのに、霧島市に行くのはこれが初めてになる。温泉が有名と聞いていたが、歩くたびに湯気が立つ店が見える。


 他にも霧島市は霧島神社もとい霧島神宮にはパワースポットとしても知られており、日本神話の神様「ニニギノミコト」を祀っている。



ましろ:せっかく来たんだから温泉市場行こうよ。


 温泉市場とは、名前だけ聞くと普通の市場だけど実際は温泉街の観光施設である。


 霧島温泉市場は、観光案内所・お土産屋・食事処・足湯が集まった、温泉郷の中心的なスポット。


 市場に行くと珍しい人と出会った。


九条:やはり、事件あるところにお前らありってか?


  この黒いマスクをつけたオジサンは「非科学現象組合」直属の探偵ヒーロー。どうせ今回もアンチヒーローが出たとか何とかで、あの後現場に行ったのだろう。


九条:今回の事件は、事件と呼べる内容ではなかったがな。


 黒岩豪は強いものだけを求めていた。結局街の被害は無かった。やはり根がヒーローだったのか、事件を起こす前に嘘の避難を呼びかけて現場から市民を遠ざけていたらしい。


九条:公共の場だ、私もゆっくりするとするよ。


 九条は黒いマスクを外すと、僕らの輪に入ってきた。


神崎:アンタも仲間になりたいのか?


九条:そういうインチキ医者は、やっと未払金払えるようになったか?



 僕らは先ず、先の戦いでの疲れを取るため足湯に行くことにした。足湯は大体100円でタオル付きという良心的な値段でもあるので、神崎でも利用しやすくなっている。


神崎:そこまで落ちぶれてないわ!


 

 足湯に浸かる。


ましろ:ふぁ〜、足が温まると肩や腰のこわばりが軽くなった気がするよ。


伊月:副交感神経が優位になりやすいデータがあるので、疲れを癒すには最適ですね。


九条:傷を癒す…。これならお前の回復技より効果あるかもな。


神崎:うっせぇな、俺様の回復技は治すわけじゃねえって何回も言ってるだろうが!


 

 足湯を終えるとお土産を買いに行く。いつの間にか九条は僕らの輪に馴染んでいて、ついて行っている。


ラルニ:鹿児島といったらかるかんってイメージよくあるよね♡


 鹿児島といえば明石家の軽羹饅頭や蒸氣屋のかすたどんが有名で万人受けするけど、それは鹿児島のどこでも買える。どうせなら霧島でしか買えないものがいいだろう。


フミヤ:霧島茶とかいいんじゃないかな。


 

 霧島茶をひと言で表すなら、爽やかな香りと、まろやかな甘みがあって飲みやすいお茶。霧島は名の通り霧が多い寒暖差が大きい地域なんだ。その環境のおかげで、茶葉に旨みがたっぷり蓄えられて、香り高いお茶になると言われている。


 特に浅蒸しの霧島茶は、渋みが少しありつつも軽やかな甘みがあって、クセが少ないのが特徴的である。


 濃いお茶好きの方には少し物足りなくなるが、普段お茶を飲まない人や香りが好きな人、食事といっしょにお茶を飲みたい人に向いてる。


伊月:随分詳しいですね。


 一人暮らししている時に、お茶マニアになった時期があったからね。


ましろ:ボクは甘いの好きだから、地元の手作りジャムとか買おうかな。


神崎:酒のつまみに合う「さつま揚げ」を買いに行ってくる。


 

 その後は旅館に泊まるのだが…

 

 なんで大部屋一室にみんなで泊まるんだ?分けて泊まればいいじゃないか。


霧龍:泊まれば?とは言ったんだけど、料金は取るんダフゥ。


伊月:ですので少しでも経費を抑えるなら、大部屋がいいかと思いました。


 なるほど。このマスコットにまんまと乗らされたってわけか。あの流れだと「無料で泊まっていってよ」と言ってる様なもんだと解釈したこっちの責任でもあるが…


霧龍:オイラは着ぐるみじゃないダフゥ!


 少し罰当たりな事をしても許されるだろうと、ましろが霧龍を脱がそうと着ぐるみに手をかける。


霧龍:分かった、分かったから…。半額にするから許してダフゥ。


フミヤ:交渉成立と…


天星:やってる事は脅しですがね。


霧龍:一応、夕食の後は露天風呂を貸切にしてあるダフゥ。


 大部屋での夕食はいいものだった。ヒーロー活動をしていたら、一人一人食事の時間が別だから、こうやって集まって、話して食べる空間ってのはいいものだ。


 

 そして露天風呂の時間になったのだが、入り口で揉め事発生する。事件が起こった訳ではない、何か異変があったわけでもない。


ましろ:ボクは男だってば!


ラルニ:大丈夫、誰もましろちゃんを男だって思わないから♡


神崎:前詰まってんぞ、何があったんだ?


フミヤ:脱衣所が別なだけで、混浴だから従いなよ。


ましろ:男としての尊厳があるの!!


 さよなら、ましろ。僕らは早く露天風呂に入りたいんだ。あとで会おうな。ましろはラルニと伊月さんに任せて僕らは脱衣所に向かうのだった。


 

フミヤ:一段と筋肉質になったんじゃないか?


 浮遊をしたり、風を使ったりするとその分重力が増して体に負担がかかるからな。例えるならf-15に乗った人が言っていた言葉だが、訓練で時速740キロで急な回転と旋回を繰り替えしたら体重の7倍もの重力加速度がかかる。


 僕の場合7倍ではないが、浮遊の状態は2〜3倍は常にかかっている。日常的に浮遊したりしているから、それに身体が慣れてしまったのだろう。


神崎:だが、慣れているといっても、いつか壊すときも来るかもな。


九条:そんな事よりも、背が縮まないか心配しているらしいな。



 僕らは女性陣より一足先に露天風呂についた。先に体を洗い、待つことにした。


フミヤ:流石に風呂場では兜も取るんだな。


 前にも言ったが、このスーツは殆ど自作なのでカッコ良さ全フリの通気性ゼロに近い。だから夏は蒸し暑くて仕方ないほどだ。


神崎:サッサと組合にオーダーメイドしてもらえよ。


 組合はコスチュームに関してはケチだからな。一つのコスチュームに最低20万は掛かるんだぞ。何着もってなると、それほど経費がかさむんだ。


フミヤ:神崎の給料から引いてもいいんだぞ。


神崎:死んでも嫌だね!

 

 そんな話をしていると奥から声が聞こえてきた。


ましろ:うぅ…、もう見ないでよ!


ラルニ:恥ずかしがっちゃって、普通の女の子より可愛いのに〜♡


伊月:ラルニさんの言う通り、ましろさんには才能があります。


ましろ:伊月さんまでそっち側にならないでよぉ…。


 女性陣がやってきた。1人女性ではないが何も問題はないだろう。顔つき、体つきは女性陣と遜色ない、何ならましろが一番ひ弱そうに見える。

 

九条:やっと来たか。


神崎:夏希の野郎が、女性陣来るまで入らないって言ったから体冷えちまったぜ。


 こうしてみんな揃って露天風呂に浸かる。外から見える桜島の景色は夜になってもいい。この時間が長く続けばいいと、僕は思っていた。



 そう…部屋に戻って寝て、起きるまでは。



 もう朝か、よく眠れた。

 なんだか体が重いような気がするが誰か上に乗って…


ましろ?:うへぇ…、変なの動いたよ!


フミヤ?:うぅ…ママ…


ラルニ?:泣かないで、フミちゃん


九条?:私の現象によると、幼児退化している気がする。


神崎:注射キライ!注射キライ!


伊月?:おやすみなさい…パパ…



 朝起きたら…僕以外が全員幼児化している?!

 

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