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LAST HERO JAPAN  作者: 悟
夏希編
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10/18

第10現象 休日の一時

 僕らは与次郎のニシムタに行く。ニシムタと言うのは南九州で展開している日用品から家具まで揃うスーパーセンターである。田舎というのもあり、駐車場も広いがいつもいっぱいいっぱい止まっている。


 僕らのキャンピングカーは特別な駐車スペースに駐車する。


フミヤ:着いたぞ。


ましろ:久々のみんなでおでかけだね。


 もちろんだが僕は身バレ防止のため、兜だけは着用している。皆は普段のヒーローコスチュームだったり、スーツだ。


フミヤ:まずは…日用品から買いに行こう。


 だったら、分担しようか。


ましろ:分担?


 しっかり者のフミヤと伊月さんが日用品やら食品系を買ってきてもらう。僕とましろとラルニはとりあえず好きに周りに行こう。


 

 フミヤ視点にて

 さて、割り振られた通り日用品を買うんだけどメモとか渡されてないんだよな。


伊月:あの家に必要な物でしたらピックアップしています。


 何々…トイレットペーパーとラップ、洗剤に歯磨き粉。まぁこんなもんか。


伊月:ラルニさんがドライヤーが欲しいと言っていました。


 ドライヤーって…ラルニだったら自分で買えるだろうに。予算はあるし買ってもいいか。何かあればナツキのせいにしたらいいし。


 フミヤと伊月は日用品を買うと一旦キャンピングカーに置きに行く。ある程度の消耗品とドライヤー、食器類も買い込んだ。


伊月:次は食品ですね。


 うちはナツキ・ましろ・ラルニ・伊月さんと俺フミヤが在籍しているから食費は馬鹿にならない。料理するのはナツキや伊月さんだけどナツキに関しては同じ物しか作れないんだよな。


伊月:前までは一人暮らしだったそうなので、それでいいと言っていましたね。


 伊月さんはレパートリーが多いから、食品は伊月さんに決めてもらうことにした。ただのマネージャーなのに、ここまでさせてしまってる現状が否めないが仕方ない。


 事務所には人手が足りないんだ。家事をするにしても、依頼をこなすにしても。


 なら俺が全部人形で操作すればいい?あのね…あれは操作してなくても精神力をごっそり持っていかれるんだ。


 かといってマネージャーの伊月さん以外に人を雇うとなると、今の生活では無理そう。


伊月:何を考え込んでるんですか?


 なんでもないよ。


 伊月さんはカートを幾つか準備した。その中に肉・魚・野菜を必要な分入れていく。料理慣れしているのか品質が目で見て分かるそうで、ぱっと見で同じように見える魚でも味や食感が違うと言ってくる。ここまで来るとプロフェッショナルだな。



 キャンピングカーに食品を入れるのだが、これでは全部入り切らないので人形を組み替えて少し広めにする。


伊月:終わりましたね。


 必要な分買うだけだし、必要ない所は見て回らなかったから時間が空いたんだよ。伊月さんも見に行きたいところあったら行ったほうがいい。


伊月:いいえ、私は仕事がありますので。


 そう言った伊月さんはどこからともなくPCを取り出してカタカタ動かし始めた。キャンピングカー内はクーラーが効いていて涼しい。


 僕らは…ここで待っていよう。



 ナツキ視点に戻る。


 さてと、2人と分かれた事だし家具でも見に行きますか。


ましろ:ボクさ、ふわふわ系の人形欲しいな。


ラルニ:ラルニちゃんが配信できる部屋が欲しいな〜♡


 ラルニは自分の家でできないのか?


ラルニ:せっかく、2階を改装するなら…ラルニちゃんも住みたいな♡


 となれば防音にする必要がありそうだな。防音室を作るにはどうしたらいいんだ?僕はそう言った事は触れてこなかったから分からないんだ。


ラルニ:自作だと大体15万円位かかるけど大丈夫そ?


 部屋一つに15万か。それだと言い家具が幾つも買えそうだな。


ましろ:フミヤに頼めばなんとかしてくれるんじゃない?


 あいつなら、機械でなんとかしてくれそうなイメージあるからな。まぁ、あいつだよりにはなるけどそうしよう。


 

ましろ:ナツキ、来て!


 僕はましろの呼ばれる方向に行く。そこには羊の人形が置いてあった。


ラルニ:へぇ、ましろってこういうの好きなんだ♡


ましろ:ナツキ買って〜。


 必要ないだろ。それは家具じゃないし買うんだったら自分で買え。


ましろ:買ってよ、リーダー。


 その呼び方はやめろ。


ラルニ:買ってあげなよ♡


 ………、いくらだ?


ましろ:4,200円!


 意外とするんだな。てっきり1,000円くらいだと思っていたよ。造形もよく見たらマスコット風な羊だし、ところどころがこだわっている気がする。


ましろ:でしょでしょ!


 1つだけだぞ。


ましろ:やった!ありがとうナツキ、大好き!


 人前ではしゃぐな…恥ずかしい。


ラルニ:なに、二人で熱くなってんの?


 羊の人形を買った後、家具を見に行く。



 プランはできた。

 家の1階は僕の部屋とましろの部屋、事務所と共有スペースがあるが2階はラルニの部屋と伊月さんの部屋に加えてフミヤの部屋と後は…


 伊月さんは家具はシンプルがいいと言っていた。見た目よりも仕事のしやすさがいいらしい。


ラルニ:それなら〜、デスクは大きめで資料を置く本棚とかあると便利かも♡


ましろ:シンプルもいいけど、観葉植物があったらもっといいかもね。


 伊月さんの部屋の改装はイメージができた。ラルニとましろの意見を取り入れて選んでいく。家具の色はシンプルだけど、照明や観葉植物にこだわるようにして明るさを取り入れる。


 部屋が同じ色だと圧迫感を感じる。白一色はシンプルかもしれないけど、病んでる人の典型的な部屋と一緒だ。家なのに仕事感をなるべく出さないようにすると心の余裕もできる。



 次にラルニの部屋だが…


ラルニ:ラルニは家の持ってくるから…防音室くらいでいいかも〜。


 そうだな。

 と言ってもフミヤの部屋は…あいつ自身がいじるだろうから必要ないな。そしたら、家全体の家具のアップグレードをしよう。


 リビングのソファを少し大きいのを買おう。みんなでテレビが見れるくらい大きいやつ。


 あとは壁に飾る絵画とかいいかもな。それも地元のやつとか、変に海外の絵画を飾ってもいいけど地元の桜島の絵画とか、慣れ親しんでいいと思う。みんなで撮った写真なんかも一緒に飾るスペースも作るか。



 僕らが家具を見て回ってる頃、大きな地震?地震にしては揺れの波長が激しく変わるような気がする。


 僕はとりあえずフミヤに連絡を入れる。


フミヤ:おそらくは、現象発現した生物が変異したのが原因だろうな。


「ニュースをお送りいたします、錦江湾で突如巨大タコが出現…恐らくは現象発現によるものだと思われます。」


 スマホから中継が映し出されると、全長30メートル程のタコが映っていた。こういった生物が現象発現することを「現象獣(フェラム)」と言う。


フミヤ:水面での戦闘になりそうだな。


 水面か…。陸に無理やり引き上げようものなら一般人や建物に被害が出る。かといって水面で戦うとなればヒーローにも限りが出てくる。


 大体のヒーローは陸での戦闘、飛べるヒーローは落下等の危険性があることから誰も好まない。そうなれば今行けるヒーローは僕と…


フミヤ:俺だろうな。


 

 僕は飛んで現地に向かうことにした。ましろとラルニはフミヤと伊月さんと合流するよう言う。僕が最低限被害を抑える必要がある。



 ましろ視点

 ボクはナツキの指示の通り、フミヤのとこに向かった。フミヤは既に何かを準備していた。


フミヤ:とりあえずナツキが止めてる間に現地に向かう。荷物は先に伊月さんの参道で家に置いてきた。


 現地に行ってもボクらは空飛べないけどどうするの?


フミヤ:方法はある。


 そう言ったフミヤはキャンピングカーを変形させる。


フミヤ:グランドオーダー…飛行人形「プテラ」


 フミヤはプテラノドンの様な合体人形を合計3機作った。


 1機はボクが乗り、1機はラルニ、後もう1機にフミヤと伊月さんが乗った。これで全員で巨大タコに立ち向かえる。



 ナツキ視点に戻る


 大きさは30mと聞いていたが明らかにその倍以上はある。突然現象発現にしては不可解なことがある。生物は人間よりもIQが低いから大抵の動物や魚等は暴発して死んでしまう。


 このタコを見るに完全に制御していることがわかる。もしや…人工的な現象、なにかを取り込んだ姿だというのか。今は街に被害が出ないように抑え込むしかない。


 

 僕はまず接近を考えた。タコには足が8本付いている。これをかいくぐらないといけない。敵が巨人であればその分攻撃の速度は遅いのだが、触手となれば別だ。


 関節が無い分可動範囲も広がり、不規則に曲がることもできる。避けたと思ったら後ろから突かれるなんてこともあるだろう。


 後は、このタコの現象が何なのか。近づけば自ずと攻撃してくるだろう。けれど、現象によっては広範囲に及ぶ攻撃…一点集中の破壊力…考えるだけで街に被害が出るだろう。


 あいにく「風鈴の籠」でこの巨大な生物を籠の中に入れることはできない。となれば正面から殴りに行くしか選択がないか。



 僕はとりあえず正面突破をする。途中8本の触手に阻まれる事があったが「浮遊」を活かして軌道を変えて飛んでいく。


 いくら触手をかわしても、誘導ミサイルのようについてくる。このままでは触手に追いつかれてしまう…


 「風喰」


 「風喰」を使えば触手は触れてこない。触れてこないだけで、現状が変わったわけでもない。近づくには囮となる存在が必要だ…


ましろ:やっと追いついた!


ラルニ:ラルニちゃんの逆転劇始まるよ♡


 その時、プテラノドンのようなものに乗ったましろとラルニが来た。恐らくはフミヤの人形だろう。肝心なフミヤがいないが、この2人が来てくれただけでもありがたい。


ラルニ:ラルニちゃんは〜、プテラを通してみんなに歌を届けるよ♡


 ラルニはドローンを飛ばして撮影を始めだした。ラルニの視線はもう一つ使い道がある。ゲームなどでタンクが敵を自身に集中させる行為「挑発」と同じ効果がある。


 タコの集中をラルニに向ける事により、街への被害もなければラルニ自身の力も増すことができる。


 恐らくフミヤの人形であるプテラノドンとラルニの波状を組み合わせることで、タコの攻撃を避けながらプテラノドンの口から波状攻撃を飛ばすことが可能だ。


 ましろに関してはどうだろうか。戦場が海ということもあってか、連打をする環境には乏しい。ましろ自身の身体能力に関してもサポートしないと難しそうだな。



 巨大タコは口から海を蓄えて頭の水晶から何かを放出しようとしていた。ナツキは瞬時に何が起こると分かったが脳から体に伝達するのにコンマ数秒遅れてしまう。


 巨大タコの頭の水晶からとてつもない勢いの水流が放たれた。その勢いは凄まじく、ナツキの浮遊のスピードでも追いつけないほどだった。


 街に被害が…


ましろ:大丈夫だよ、ナツキ。


 水流が放たれた街の方にプテラノドンがもう1機いた。そこにはフミヤとプテラノドンの上で鳥居を形成した伊月さんがいた。


 水流はまたたく間に鳥居に吸い取られていき、跳ね返していく。自身で放ったビームを受けてしまい少しもたれる巨大タコ。


 僕が水晶に向かおうとした時、触手が襲いかかる。


ラルニ:ラルニちゃんのお通りだよ♡


 ラルニは自身の技である「ラブリー・ビート」をプテラの口から出して触手を跳ね除ける。波状を一点に集中させることで「雨宮奏」の様なこともできる。フミヤの人形限定ではあるものの…



フミヤ:あの水晶が弱点で正しいが、問題がある。


 問題?


フミヤ:あの水晶に近づいて分かったけど、バリアらしき物が何層にも重なっている。


 全部で何層くらいだ?


フミヤ:大体5層


 巨大タコの水晶は5層のバリアで固められているらしい。一つ破壊するのにどれくらいの力が必要なのだろうか。


フミヤ:さっき、伊月さんが水流をお返しした時、一つ割れていたからそのくらいのダメージかも。


ましろ:なら…久々にアレやろう。


 ましろ、それは危険だ。やるにしても陸上じゃないと意味がない。それに連打だと一つの層を壊すのにも時間がかかるかもしれない。


フミヤ:俺がコストの上限解放させる…


 時間は?


フミヤ:5分だ、5分が限界だ。


 フミヤは普段のコスト10からコストを40にまで引き上げる。コストを上げるだけなら何も起きないが、その分人形を動作させることになれば精神力の負担で気絶してしまう。その気絶しない境目が5分くらいなのだ。


 フミヤは自身が乗るプテラを自動操縦にして避けることだけにさせる。


フミヤ:2層だけなら壊す、あとの3層はナツキとましろでやれ!


ましろ:了解


 巨大タコは触手を動き出し始める。不規則に動く触手でラルニのプテラに攻撃しそうになるが、フミヤがましろのプテラを触手の表面に合わせて操縦させる。


 ましろはその触手に向かって連打をする。連打自体はつながらないがダメージは入る。次第にラルニへの攻撃が止まり次の工程に移った。


ましろ:また水流攻撃来るかも…気をつけて!


フミヤ:もう、その手には乗らん


 フミヤは上限解放したことにより盾兵5体(盾兵1体につきコスト2)をグランドオーダーさせることにより守護人形「ブルーワーク」を作り出す。


 ブルーワークは盾兵5体分の耐久性を持ち、あらゆる攻撃をも防ぐ。盾兵が持っていた盾をブルーワークの両側に4つ取り付けられていて、あと一つは顔部分の下にドリルに変形されている。


 盾で守りながら突撃することができるその姿はバイソンと言ってもいいくらいだ。


 だが…ブルーワークは陸上の為、水上では使われないが、フミヤのフミヤは空高くまで飛び上がり、空中で巨大タコに向かってブルーワークを放つ…というか落下させる。


 

 ブルーワークのドリルと元々の重さが相まってか1層ぶち抜くことに成功する。本命まであと4層。

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