番外編 西方生存圏とエリゼの憂鬱
〜30年前〜
私エリゼは今年で18歳。王家の三女として生まれ、今年で軍学校を卒業する。父王からは世の中を見て回れと言われ、平民の装いで農村地帯を転々と渡り歩き社会経験を積んでいた。
「王様ねぇ、、良い人なんだろうけど人が増えて土地が減り最近だと盗人も増えてるから何とかしてほしいね。」
「王さまの評判だぁ??いいわけないだろ。みんなろくに土地がないから飯も食えない!痩せた土地でも育つ薬物に依存する奴も増えてんだから見りゃわかるよなあっ!」
父への評判は良いものが多いが領民は土地不足で疲弊していた。王として戦争による土地の拡大は認められない。その発言は大変ご立派だが現実は違う。
皆新しい領土と明日の飯に飢えている。
〜 18年前 〜
「大変だ!エルフの軍団が山脈を越えてきたぞ!」
(よし、これだ。奴らの侵略を理由に西方の領土を拡大すれば全ては解決される!)
「どうも、新しく作戦科に配属されたユーキです」
(ふむ、こいつの作戦は使えるな。いずれ山脈を越えた先に人類の生存権を確立し、まずはエルフとの混血も進めた東エルフ共和国の樹立を目標としよう。)
〜 西方への進撃 〜
(くそっ、何でこいつこんなに優しいんだ。私はお前を利用しているんだぞ!!)
部下のユーキはエリゼが熱を出せば看病し、考え悩んでいるときはそばに来て支えてくれた。機転の効いた様々な作戦は小さな戦闘でも効果を発揮した。
何時しか前だけを見るユーキが輝いていた見えていた。
そうだ、あの時だ。ユーキ、お前と、
お前と出会ったあの時から私は狂ったんだ、、、
アルトとエルフの町娘の間に息子が生まれ、子供が欲しくてたまらなくなった。それからすぐだ、ユーキとエリゼが式を挙げたのは。
エリゼは度数の高い酒を煽り、グラスを台に叩きつけた。エリゼは50を過ぎても容姿は変わらず、ユーキは段々と年相応の顔つきになるが愛しさは年々ましていった。
ドライで距離を置く姿勢を取ったはずが、それは余計執着心を育てた。
「エリカに会いたい。ユーキと3人で暮らした王国での3年間。あの小さな家で過ごした時間が恋しいよ」
バルコニーに出たエリゼは人知れず涙を流し、その場でうずくまった。
「そうだ。ユーキは私が殺さなければならない。奴が私を止めに来る前に私の手で」




