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大規模な銃撃戦。

敵の先遣隊2000人は魔道歩兵と騎兵で何とか迎撃できるとして、問題は敵の本隊か。


事前に要請していたドワーフ国から来た300人の鍛冶職人を臨時で、一人につき月給アルメシオン金貨100枚(日本円で100万)、衣食住の無償提供、ビール飲み放題の破格な待遇で雇った。


工房は日勤と夜勤の2交代制でフル稼働開始。

1日の生産量

巨大投石機トレビシェットの爆裂弾 5発

火縄式の長い鉄砲 40丁


先行して試作生産してた在庫

爆裂弾 18発

鉄砲 50丁


エルフの大軍が最速の1ヶ月以内で準備を整え山脈を越えてきた場合単純計算で以下の通り

爆裂弾 約168発

鉄砲 約1250丁


火薬の増産体制は何とかなってるが管理が心配なところ。


指揮系統の再編も行われエリゼ少将との綿密な打ち合わせの末、エリゼ少将が3000人の大隊指揮官となった。


部隊は身体能力が極めて高く、身分はバラバラ、男性1500人と女性1500人に分けられた二部隊構成で、俺は部隊の現場指揮官に任命された。

訓練のメニューは6日連続、1日休息日で実施。

5キロの木の棒を鉄砲に見立て装填、発射する訓練を中心に、エルフが得意とする弓矢を防ぐ屋根付きの防衛陣地の設営をおこなった。

また、弾薬や衣食を積めた30キロをこえる近代的なリュックを背負い一日20kmの行軍なども実施した。


(ば、馬鹿な、、)

流石身体能力が常人の数倍あるだけはある。脱落者はおろか、まだ余裕があるようにも見える。


俺は各小隊長たちに引き続き訓練を続けるよう命じ、武器の生産と状況確認のため軍事庁舎へ戻った。


「やぁ、ユーキ君調子はどうかな?」

「こ、マリーナ国王陛下!?!」


庁舎に戻るとそこには国王陛下がいるではないか。話を聞くに、どうやら軍の再編と新兵器にかなり興味があるらしい。

俺は分かりやすく要点のみを説明した。

理解を示され、用件が済んだと陛下はかなり満足そうされて帰っていった。ただ、去り際に娘をよろしく頼むよ!と肩を叩かれた意味がよくわからなかった。マリーナ国王のお子に娘がいたか??御子息が三人いるのは知っているが。


まぁ今はそれどころではない。

サッサと仕事にとりかかりますか。

デスクの上に山積みになった資料に目を通し要点をまとめた。


1.エルフの進行は凶作の影響で物資が集まらず当初の2ヶ月後の進行が濃厚

2.エルフ先遣隊2000人を撃退、本国に退かせるもこちらの歩兵と騎兵に中規模の損害。

3.新兵器の生産数は予定どおり


ホワイトボードに纏めた情報をもう一度見た

(悪くはない。悪くはないが順調過ぎて嫌な予感が、、)



~エルフ東方制圧軍団最高司令官会議~


「サルマト長官申し上げます!敵が我々の進軍日時を把握している可能性があり、報告の新型兵器を増産しているとの情報が!」


「わかりました、そちらの方は問題ありません。彼らの切り札の原理はわかりませんがもうじき全て吹き飛ぶ事でしょう。

ではバルバード宰相殿、政治のほうはどうなっていますか?」


「あぁ、大都市を2ヶ月分運営できる額を捻出できたが、議会の猛烈な反対を押しきった事で、全額を引き落とせるのは今月末と来月末の二回に分けられてしまった。面目ない」


「いえいえ、宰相の尽力がなければケチな民衆議員風情は支出を認めなかっただろう。改めてお礼申し上げます。ではわたくしサルマトの第2案10万人の軍団を二つに分割、軍団を今月と来月に分けて投入する事とします。

皆様ご協力感謝申し上げます!」


パチパチパチパチ





~エルゼ国郊外の第一火薬保管庫~

「おいここでタバコを吸うな火気厳禁だぞ!」

「少しぐらい平気だろww」


「おい!そこに誰かいるぞ!早く押さえろ!」

「何っ?!」

シュボッ、パチパチ

「お!おいあいつ火を保管庫に?!火がッッ」

パッ(強烈な閃光)トドドドドドドンンンン!!



~軍事庁舎仮眠室~

ドーーーンッッ!!!

ビクッ!!(何だ??花火か?こんな時間に誰が)

「ハッ?!?!(そうだ!ここは異世界花火なんてそんなものは存在しない!!この爆発音!あるとするなら)」


俺はベッドから飛び起き、兵舎横の監視塔の階段を駆け上がった。


「た!大変ですユーキ中佐!!」

「うるさい!そこをどけ!」


見張りの衛兵を押し退けると、南の弾薬庫がある方向で爆炎が上がり夜空をオレンジ色に照らしている。


先に時計台に上がっていたエリゼ少将はニヤニヤしながら燃える第一火薬庫を見つめていた。


「やってくれたなエルフどもめェェ!!!」

俺は絶叫した。確証はないが、先日エルフのスパイが王都で捕まっていた。


~エルフガルマニア国王宮~

「はい、我らが王よ。敵の新兵器を動かす火薬を保管庫もろとも木っ端微塵にいたしました。」


王専属の侍女

「サルマトよ大義である。信託が下った、醜い猿どもを根絶やしにし、肥沃な地を我らのものとせよ。と、王は仰せです。」


「は、有り難き幸せ

我が王に勝利を!!」



~エルゼ王国郊外~


第一火薬庫は跡形もなく吹き飛び、第二火薬庫は辛うじて生き残った。吹き飛んだ第一火薬庫は第二火薬庫の十倍の火薬が貯蔵されていたが近隣の被害は最小の範囲で収まっていた。

「おとうさん!おとーさーん!グスッ」

「あなた、、、あ、なた、、」

それでも近くの村はもろに爆風を食らい、十数名死傷。民家に偽装した火薬工場は無事だったが火薬製造ラインが人手不足で止まり、製造ラインが復旧したとしても生産量は全盛期の半分以下か。



~翌日オーデル川防衛陣地付近の演習場~


「狙えぇぃ!撃てぇぇえ!!」

ズドドドドドン!!!

「第二射撃てぇぇぇ!!」

ズドドドドドン!!!


(こんな非常時にも関わらずこの人は、、)

エリゼ少将は何かに取り憑かれているように訓練を開始した。製造された火薬を数時間で使いきり、第二火薬庫の備蓄にも手を伸ばしていた。


「エリゼ少将!火薬を節約して下さい!第二火薬庫の備蓄ももうほとんど残って無いんですよ?!?!」

「うるさい!時間がないのだ!」


俺は部下や兵たちの士気が下がる事を恐れ、火薬庫爆発の件は伏せていた。


(アホなのか?バカなのか?鉄砲の数はドワーフ達の働きで予想以上に早く揃ったが、火薬は残り少ないんだぞ?!バカスカ撃ちやがって何を考えてるんだこの人は?!?!)

直近に製造された火薬もほぼ底を尽きた。


「お!おい!あれを見ろ!」

「山に幾つもの明かりが!!」

「あ?!あれはまさか?!?!」


信じたくはなかった。だが、日が沈んだころの伝令で山の無数の明かりが松明を掲げたエルフ軍団だと認めた。


「総員!配置につけ!」

パパパパパ~!!

戦闘準備のラッパが鳴り響く。


「ユーキ中佐、司令所に来い」

俺はエリゼ少将に呼ばれた。


(火薬がほとんど残っていない。ここで俺は死ぬのだろうか?デットエンドは数回しか経験してないのに)

失意からか恐怖からか膝が震え始めた。


「酷い顔色をしているな。だが安心しろ、お前は死なない。何故ならお前は私の部下だからな」

「でですが、、火薬が、、あと何回撃てることか、、、」


「ふふっ、珍しく弱気だな。そんな貴様も悪くない。だが、これを見ろ!」


司令所の床が剥がされた。そこには地下通路?!?!

(まさか、あんた一人だけ地下通路から逃げる腹積もりだったのか?!?!)


「おい、お前今何か凄い失礼な事考えてやしないか?」


暗闇のなかをよく目を凝らし覗き込む。

"danger explosion 1"と書かれた大量の木箱が山積みにされていた。俺は驚いた。これは第一火薬庫に保管されていたはずの大量の火薬が保管されているではないか?!?!

通りで第一火薬庫の爆発が小規模なわけだ。


「敵を騙すにはまず味方からだ!ほら何をボサッとしてる!早く現場の指揮に行かんか!」


少将はそう言うと私を司令所から蹴りだし、少将に命じられた兵たちが火薬を次々と外に持ち出した。


「弾と給仕班からの配給だ!受けとれ!」

弾薬と戦闘糧食が手際よく各隊の隅まで行き渡った。警戒体制が取られるなか、第二倉庫から最後の追加弾薬が届けられた。

準備は満タン何時でも来やがれ!


この日は戦闘は起こらず、エルフは対岸の1キロ先、小高い丘の上に陣取ったていた。



翌朝、敵は日の出と共に攻撃を開始した。


バシャーーン!!

ドーーン!!


何かが空から降って来る、川や手前の土手にそれらは命中。土手には大穴が空いた。


「ゴ!ゴーレムだ!!!」

「土手の下に降りろ!急げ!!」

兵達が震えあがる。

対岸の丘上から、エルフ魔道師が操る30メートル級の戦略ゴーレム五体が投石を開始したのだ。当たれば間違いなく即死する。幸い素早い身のこなしで土手上から駆け降り、直撃は回避した。

しかし、その隙を敵が見逃すはずがない!


「ウラァァァァァァアアアア!!!」


雄叫びをあげながら数千の騎兵が歩兵を伴い突っ込んでくる。その数は約一万弱。射撃体制を取るよう命じた時には敵の騎兵は既に川の中程、100m地点まで迫っていた。


川の水深は浅く騎兵の突撃速度は落ちない。

(これでは斉射が間に合わない?!?!)


私が焦っていると、何処からか地鳴りが


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!


「あ!あれは?!」

「こ!洪水だ?!?!」

「退けっ!急げっ!」


敵騎兵と歩兵は大混乱に陥った。


「やぁ、ユーキ君。覚えているかね?君がいつぞや立案した作戦案」

エリゼ少将が現れ、俺の方をポンポン叩きながら言う。俺はなんのことかと思ったが、かなり前エリゼ少将に提出した洪水を使った戦術を思い出す。


「あ、あの時のですか?!」

「そーだ!君が初任で来たときに立案した洪水を使った戦術だよ。」


(まじかこの人。あの適当に書いた作戦案を律儀に取っといたんか、、、。)


敵の第一次攻撃は押し寄せる濁流に流され失敗に終わった。突撃してきた敵の歩兵は全滅、騎兵は半数が壊滅した。


なかには濁流をかわし、こちら側の土手を登ってきた騎兵や歩兵も一部存在したが。


「狙ぇ!撃てぇぇ!」

スドドドドドドン!!!

少将の号令で一斉射撃を開始。

数千の鉛玉を食らった騎兵たちは体制を崩し、濁流の中に消えていった。


「いいか、優秀な部下の知恵をつかうのが優秀な上司なのだよ。よく覚えておきたまえ。」

弾薬庫の件もそうだが、エリゼ少将の戦争指導やカリスマ性、先見性は凄まじいものがある。この人についていけば、世界をとることも夢ではないと確信した。

そこで、この戦闘を早期決着に持ち込むため斬新な行動が必要になる。


「お、俺たちも行くんですか?!」

「当然だろう?俺が一番信頼する部下たちだからな!」


火薬の原料を探す旅からずっと連れ回してきたアルトとエディンの2名は魔力皆無の俺なみに魔力量がすくない。

感知されないことが絶対条件の潜入作戦を指揮する人材にもってこいだと判断した。


「と言うことだ」

「わかりました。腹くくります!」

この特殊作戦には他に50名が選抜された。彼らの最重要目標は敵司令部の爆破によるゴーレム破壊だ。


「これが対人用の爆薬だ!気をつけてもってけ」

あれだけ巨大なゴーレムであれば、動かせるエルフは限られており、動かしている間は術者は動けない。

ならば、まず間違いなく術者は司令部にいるはずだ。


「爆弾が余ったらそれらを使って敵陣を混乱させろ」

特殊部隊員たち「了解です!」


昼過ぎには濁流も収まり、空が曇ってきた。

敵軍は体制を建て直すためゴーレムによる定期的な投石以外目立った行動はない。


ユーキ「頼んだぞお前ら!」


アルト・エディン「わかりましたよ!成功したら何か奢って下さいね!」


ユーキ「わかった。グラス大のビールを好きなだけ奢ってやる!」


アルトとエディン率いる52名の特殊作戦部隊は白い衣服に泥と草を塗り、自然色に溶け込んだ。

部隊は敵軍陣地を目指し、上流8キロ地点から川を渡った。直線で1キロの道のりを実に20キロ近い大回りをしてバレぬよう敵陣に潜入した。


日が落ちると我々本隊は潜入部隊を援護するため、作戦開始時刻の30分前から大きな松明を土手沿いに灯し、大規模夜襲の準備を演じた。


これにエルフ側は即座に反応し、ゴーレムで投石攻撃を開始。

(狙いどおりだ。これで敵の術者はゴーレムを動かすのに集中して動けなくなるぞ。)






~エルフ陣地横の茂み~


アルト「ゴーレムが動いたぞ!俺たちは敵司令部へ」


エディン「よしこっちは敵の撹乱だ!司令部爆破を合図に、敵の物資を焼くぞ!」


アルトとエディンたちは二手に別れ、作戦を開始した。






~エルフ司令部~


「そうだ!そこに投石しろ!」

「何だ当たらんではないか!」

「2投目に賭けたのに!」


「おい見ろ!戦場で青い髪をした女が湯浴みをしてるぞ!!!」

「そんな馬鹿な!双眼鏡を貸せ!」


「本当だ!おい魔道師!あの女に石をぶちあてろ!一撃で当てたら褒美をくれてやる!」


(こいつらゴーレムの投石で賭事をしてやがる)

アルトはエルフ司令部の横断幕外側に爆弾を配置し、導線に点火、その場を急いで離れた。


ゴーレムが投石の姿勢を取った瞬間、エルフの司令部は爆発。細かい散弾がシャワーのように飛び、エルフたちを切り裂いた。


エディンたちは爆発音を聞くと、草むらから身を起こし敵の物資を貯蔵するテント目掛けて炸裂弾を投擲。


次々と起こる爆発にエルフ陣地は大混乱を起こした。横断幕やテント、ランタン用の油に次々と炎が引火した。


「敵陣が炎上するのを確認」

「よーし!遊撃隊突撃準備!!」

足の早さに自信がある選抜された兵900人が三列横隊になり、着剣、配置につく。


アルトとエディンたちが無事脱出した事を祈り、突撃を命令!


「よーし!全隊前進!駆け足!」

ドンドコドンドコドンンドコドコココココ

かなりテンポ早い太鼓に会わせ、横三列の横隊が一斉に前進を開始した。


ドンドコドンドココココココ

「止めろ!!」ピタッ!

太鼓の音が止まり兵もあわせて止まる。


「一列目目標敵陣の炎!撃てぃ!」

ズドドドドトン!!!

「交代!二列目目標同じ!撃てぃ!」

ズドドドドトン!!!

「交代!三列目撃てぃ!」

ズドドドドトン!!!


十数回発砲を繰り返したころ、敵陣の物音がしなくなった。


「辞め!撃ち方やめ!!」

エルフたちは陣地の爆発と遊撃隊の連続射撃を受け完全に戦意を喪失、丘上の陣地は炎上したまま放棄されていた。

我々はエルフのいた丘上を占拠した。


「ようやく終わったか?!」

「いや、まだた」

翌朝ここから10キロ離れた先の平原にエルフ軍残党の再集結を確認。昨日から続く戦闘でおおよその脱走兵と戦死者数が割り出され、残存兵力は1万数千ほどと推察された。


対岸に残っていたエリゼ少将と2100人の団員も渡河し、エリゼ指揮下の3000名は全て丘上に終結した。


「少将、今回の勝利はオーデル川の地形を活用した防衛戦術。そして、アルトとエディン率いる特殊部隊の活躍による功績が主な勝因です。」


「ふむ、で何が言いたい。勲章が早く欲しいのか?」


「いえ。川を防衛線として活用するのは大変有効でした。しかし、川向こうの陣地からではこの丘が邪魔で、今敵が集まっている平原を見渡すことができません!」


「つまり君は丘を砦にし、川の陣地は最終防衛ラインにすべきだと言うことか。よし、わかった許可しよう」


「は!ありがとうございます!早速計画案を練り砦建設の段取りを整えておきます!」


「うむ、任せた」


この丘を要塞化すれば、トレビシェットや鉄砲を高い位置から発射することができる。そうすれば丘の高さに比例して、射程は伸び、より遠くへ弾を飛ばすことができる。


フランスの偉大な革命家であり砲兵科のナポレオンを真似したわけだが。


案を纏めた書類は直ぐに認可の判が押され、工兵たちが近くの木々を材料に丘を囲む即席の策と壁を造り始めた。

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