出陣!トレビシェットおじさん
休暇明け、俺は早速新兵器の開発成功をエリザ少佐に報告した。
「ほう、トレビシェット用の新型弾を開発しただと?」
トレビシェットとは簡単に説明すると巨大な投石機だ。
トレビシェットは巨大なシーソーのような形をしており、片方にオモリをつけ、もう片方にオモリより軽い弾のせる。オモリのある方を上にあげ、ロープで固定。あとは固定したロープをぶった切るとオモリの載った方が下に落ち、軽い弾は反動で遠くにぶっ飛ぶ仕組みだ。
大砲がないこの世界で、大型の爆弾鉄球を敵陣に飛ばすにはこれしかないからな!
俺がこの新型弾の威力を力説明したとき、魔道歩兵の魔法をも凌ぐ高性能な武器と言ったのが悪かった。
たまたま廊下で聞き耳を立てていた、魔道歩兵師団長に聞かれてしまった。
「ほほーう、それは素晴らしいですな。我々は最近どっかの置物たちと違って忙しく、変わりの戦力を欲していましてねぇ~」
師団長はニヤニヤしながら一枚の戦況報告書をエリザ少佐に渡す。
西方の山岳地帯を越え、エルフの魔道歩兵と魔道騎士の混成大体が村々を襲撃、情報によると人数は合計で3000。王都より北西35キロ地点、オーデル川を挟んだ対岸に陣地を構築中。
「な!おい師団長これはどういうことだ!!エルフたちの襲撃は聞いていたが2週間でここまで侵入されるとは何事か!!!」
「まぁまぁ、エリザ殿そう騒がないで下さい。我々の軍団は南部砂漠地帯での不穏な動きを押さえるために出払ってまして~」
(くっ、このクソ師団長は部下を安全地帯に引っ込め王都が陥落しても自分達だけ生き残る腹積もりだな)
「いいでしょう!その仕事受けてさしあげます!」
「おい、正気かユーキ?!失敗したらどうなるか?!」
「わかっています小佐。その代わり師団長どの。我々がエルフの軍団を見事撃滅した暁には、今後魔道歩兵科はエリザ少佐の指揮下に入ってもらう!!」
「えぇえぇ、いいでしょうとも」
(フフフ、バカで間抜けな青二才の小僧が仮に勝ったとてだれが口約束なぞ守るものか)ニチャャ
「今の言葉しかと聞いた。存分にやってこい褒美は望みの通りにする」
「あ、、あなた様はぁぁ、、、」
ニヤケ顔の師団長の顔が崩れ、明らかに動揺している。
「マ、マリーナ国王?!?!」
「パパァッ?!?!」
パパ??
「そこの若いのそのいきや良し。だが、曹長では階級不足じゃろて。原刻をもって貴殿を中佐。上司のエリザ少佐も少将に昇格させる」
「お待ちください陛下、それはあまりにも」
「黙りなさい。あと君の身柄は一時的に拘束させてもらうぞ」
「・・・・・・。」
「では、あとは若い男女二人で頑張りなさい」
「ハッ!必ずや任務遂行致します」
国王たちは退出し、部屋には昇格して中佐になった俺とエリザ少将だけになった。
「つか、何で国王がこんなところに、、」
「あのお方は昨今の軍の腐敗を憂いていてたまに清掃員に化けて、いきのいい愛国心ある若い軍人を探しているのだよ」
「え?マジですか」
「ああ、マジだ」
取り合えず、軍師として活躍できる環境が一気に整う、ビックイベントが起こったことに俺は舞い上がり、何か大事な疑問を忘れていいた。
(まさか、こいつの出番がいきなり本土決戦とはな、、、)
敵陣までの距離は、沼地を挟んで300メートルほどで十分射程距離内にある。
対して、エルフの戦闘魔法の有効射程距離は最大で80m。
これから始まるのは一方的な虐殺劇に他ならないだろうが、勝利を掴み取るには非情になるべきだ。
トレビシェットが急いで組み立てられた。
投射するのは勿論特別な鉄球。
曹長!火薬の調合が終わりました!
よしきた!
黒色火薬が鉄球に詰め込まれ、急いで蓋と導火線が取り付けられた。
弾数は20発。
「導火線に点火!打ち方始めっ!!!」
~エルフ魔道部隊陣地~
「少将!ご報告いたします!敵陣に大型のトレビシェットが五機出現しました!」
「人間はアホよのう。あれは城を攻撃するための道具じゃ、それに飛んできたならば、戦闘魔法で撃ち落とせばよい!」
「そ、そうでありますな!流石少将殿!やはり、人間どもは猿と同じでありますな!」
~エルフ魔道歩兵~
「て、敵が撃ってきたぞ!」
「よく引き付けてから撃ち落とせ!」
ヒュルルルル~ヒュルルル
「未だ!迎撃しろ」
ズドーーーンッッ!!!!
エルフ陣地上空で火薬が大量に詰められた鉄球が炸裂した。
四方八方に高速の破片が撒き散らされ、この一回目の射撃で迎撃したエルフ魔道歩兵たちは全員即死した。
高速の鉄片を受けず、生き残った待機中のエルフ歩兵たちには爆風による被害、重傷者が続出した。
エルフの少将「う、腕ガァぁッッアアア」ドチャッ
観測手「上空で爆発!敵の被害大れ」
ユーキ「手を休めるな!第二射放てぇっ!」
第二撃は全て地面に着弾後、土砂を巻き込んだ巨大な五つの柱の様な爆煙を形成。
爆発で吹き飛ばされたエルフたちは地面に叩きつけられ、文字通りばらばらになった。
「まだだ!打ちまくれ!」
20発の鉄球を全て撃ちつくすと
敵陣は跡形もなく吹き飛び、調査兵によると辺りは血と焦げた肉片の匂いが充満していたとのことだ。




