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新兵は突撃する

やはり、陸上で蒸気機関を運用するには技術力が課題か。

地下の蒸気機関が悲鳴を上げ、シリンダー磨耗と給水不足で緊急停止した。交換作業により、要塞砲による前線への支援砲撃は停止。


ここが海軍の軍艦みたいに、ふんだんに水が使える環境であれば蒸気機関傷めずにフル回転させることができるのだが。


前線では要塞砲の停止を確認した帝国側の攻勢が始まり、前線が二キロほど後退した。


ユーキ 「やはり、巨大な蒸気機関は不安定だな」

ドワーフ「あのサイズの砲塔を動かすとなりゃあ、機関車や軍艦と比べてシリンダーの摩耗も激しくなりますわい」

ユーキ 「よく今まで稼働してきたもんだ」


改めて、ドワーフたちの高い技術力に感心した。アルト司令官とサルマト首相の緊急招集によって集められた予備役たちが、全て前線へ投入された。


昼過ぎには、敵の空中戦艦4隻が出現。

こちらの要塞砲と距離を取り、高高度から前線に絨毯爆撃を開始。こちら側の塹壕やガトリング砲陣地が木っ端微塵に吹き飛んだ。


高射砲大隊の連続砲撃で、全ての艦に損害を与えたが致命傷にはならず敵艦隊は悠々と戦線を離脱していく。


明日は、我が方の総攻撃が実施される予定だが一部前線の崩壊と後退が発生した。


アルト「我々が押されています。明日の総攻撃は延期した方のがよいかと、あまりにも敵の勢いが強く、、、」


ユーキ「いや、総攻撃は実施する。敵の意表をつくには今しかない。あえて後退命令を出したのも敵を油断させるためだと説明したろう。」


エリゼ「うむ、将兵たちの士気が高いうちに敵を打たねば、鉄と同じで冷めたら動かなくなる。一気にやるべきだ」


フリードベルク市内では、新エリゼ中隊が組織されエリカとエルトがその指揮官に任命された。任務内容は単純、敵陣へ切り込み塹壕陣地を奪還、可能であればそのまま敵本陣に肉薄し敵将を撃ち取る。

いわば決死隊だ。


エリカ「ではお父様、お母様行って参ります!」

ユーキ「お、おう」

エリゼ「ハハハ!赤飯炊いて待ってるから勝ってこいよ!」


俺はエリカを止めることはせず、エリゼは娘の肩を叩いて送り出した、


翌日、午前3時00分を回った頃

地下の蒸気機関が全力運転を再開、二基の要塞砲が敵陣に向けられた。観測班によると敵の本丸までの距離は約28.1キロ。

射程範囲ギリギリだが、問題ない。

新型の砲弾が装填され、砲は最大仰角で待機。

午前3時30分、最前線で全ての野戦砲やロケット砲による射撃が開始された。砲弾は占領された見方の塹壕陣地跡を吹き飛ばす。


「よし、前進を開始!」


エリカ率いる新エリゼ中隊が一斉に前進を開始した。ナポレオン軍のような服装だが、持っているのは近代兵器というギャップ。


ダークブルーの下地にバラを咥えた髑髏の旗が前線に翻る。


敵の占領する陣地に飛び込んだ部隊員たちは、短刀や拳銃、銃剣などで敵を次々と制圧していく。敵に命ごいをするものもいたがこの世界にそれを助けなければならない道理も法も存在しない。

エリカたちは敵の首を刈り、ピストルを撃ち前進を続けた。


突然の夜襲で完全に不意を突かれた敵は、戦闘開始から約一時間で敗走を始めた。中隊はこの僅かな時間で2キロ前進し、後方支援の開始を待った。


エリカ「エルト!馬は来たか?!」

エルト「あぁ、後は要塞砲様の露払いを待つだけだな」


最前線からの一報を受け取った砲台は、無数の松明を灯し砲撃開始の合図を送った。


エリカ「砲台で灯りがついたな」

エルト「これで、事前に測量した要塞砲が敵陣を新型砲弾で吹っ飛ばしてくれるはずだ」



~要塞陣地~


アルト司令官「では始めます」

エリゼ「うむ」

ユーキ「頼みます」


午前4時53分、アルト司令官の命令により、第一砲台の砲から一門ずつ、五秒おきに砲撃を開始した。静まりかえった大地に要塞砲の轟音が轟いた。五秒後に第一砲台の二門目が発射。その後に第二砲台も続き、敵陣には五秒おきに大爆発を確認。


敵本陣のエルフたちは新型砲弾の存在を知らない。そのため、自分達は巨砲の射程外、安全圏にいると鷹をくくっており、防空壕はおろか塹壕などの地下施設すら作っていなかった。

そこに、要塞から発射された砲弾が五秒毎に降って来るのだから敵陣は地獄絵図と化した。


最前線の見方兵たちは、着弾と同時に雄叫びをあげ突撃の瞬間をいまかいまかと待ち望んでいる。

支援砲撃終了の合図は、支援砲撃開始時砲台に灯された砲撃開始を知らせる松明が消されるのが合図になっている。


前線に友軍の戦車十両が到着、その後ろには作戦失敗に備えて、15万の塹壕守備隊が配置された。

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