新兵は最前線の女神 4
エリカ「くそっ、腐ってやがる」
エルト「まぁ、そう言うなよ」
エリカとエルトは斥候として情報収集を命じられ、バウンデン高地にある数万の敵の遺体から敵の秘密や情報につながるものを探していた。
エルト「あった!これはどうだ!」
エリカ「なるほど、敵司令部の位置か使えそうだな」
バウンデン高地から南に10キロの地点、実際に足を運び確認した。敵の指揮官クラスを視認した事を上官に報告した。
我々はこの功績を認められ、伍長の地位を与えられ新兵たちの纏め役となった。
勲章を貰い退出した、エルトはエリカが何かを企んでいる顔をしている事に気がついた。
エルト「あ、これ俺も巻き込まれるやつだ」
~ 翌日 ~
「ウォォォオオオ!!突撃!」
「人間を皆殺しにしろぉぉ!」
エルフの大軍5000名がエリカとエルト含めた3000人の守備するバウンデン高地を急襲した。
しかし、人類側の半数近い2000人の兵は負傷兵ばかりでまともに戦えなかった。
エリカは旗手として陣地に突っ込んでくる敵兵の矢面に立ち、味方を鼓舞、敵軍が退くまで戦いの最前線に立った。
バウンデン高地の1日目の戦いで新兵の大半は戦死した。生き残った俺とエリカは高地の司令所に向かった。
エリカ「今日の戦火を報告したい!」
兵士A「戦火報告だと?無駄だよ。さっき砲弾がここに命中して勲章を与えられる階級はみんな死んじまったよ。ほれ」
司令所で酒を飲む兵士は死体を指差して言う。
兵士A「あと残ってんのはバウンデン砦に引き籠ってる貴族の少尉さんだけだな」
エリカ(ここはもうダメだな、、、)
エリカの予想通り、翌日の朝方まで持ちこたえたバウンデン高地はついに陥落した。
エリカ「生きてるかエルト」
エルト「どうやら生きてるらしいよ」
日の出とともに始まった猛烈な砲火で兵の大半は爆死した。私たち二人は奇跡的に塹壕ないで砲弾の雨を凌いだ。私たちは砲撃がやむとバウンデン高地を駆け下り、初日の砦へと戻った。
少尉「貴様ら高地はどうした!なに陥落だと?!死守命令が出ていたのに貴様ら戻ってきたのか!」
エリカ「少尉、ここにおられる現場指揮官は少尉だけですか?」
エルト(何を言ってるんだエリカ??)
質問に答えないエリカが少尉に質問した。
少尉「あとは負傷兵の二等兵どもとお前らだけだこのやくたたz」パーンッ!ドサッ、、
少尉の頭半分が吹き飛び、椅子に持たれかかるように倒れた。
エルト「お、おま、なにをやっ、、」
エリカ「いいか、ここにいたら間違いなく死ぬ。だから殺した。生き残るためにね」
ニヤニヤするエリカの手には高地で戦死した隊長の拳銃が握られていた。
エルト「お、お、おいそれっ、、」
エリカ「いい?一度だけ聞くよ。答えを間違えるなよ?お前を殺したくない」
そういうとエリカは俺に銃口を向けた。ここでの事を全て忘れて私につくか。それとも私にここで殺されるかを選べと迫る。
パーンッ!
銃弾が耳をかすめた。
エルト「わ、わかった忘れる。お前についてく」
エリカ「よろしい!賢明だよエルト~」
エリカは拳銃をくるくる回し、自分のベルトに挟んだ。こうして俺はエリカの共犯者になり作戦資料とこれまでの戦闘報告書を回収。砦を焼き払い、旧フリードベルクへ馬を走らせた。
~ エルゼ王国 参謀総長執務室 ~
なんてこった。戦線がどんどん東に押されている。敵の圧倒的兵力で戦線はアルデンの森から東エルフ共和国領内にまで後退した。首都フリードベルク市街まではあと60キロ。
いきなり西方での足掛かりがなくなる可能性がでてくるとはな。
「総長!伝令です!」
「読んでくれ」
「報告、バウンデン高地と近くの砦が陥落。
第5軍 残存兵2800名、第16期新兵198名が戦死しました。以上です」
ユーキ(第16期新兵、、、エリカ?!)
ユーキ「生き残った者は何名だ」
伝令兵「はっ!第16期の2名のみです!」
伝令兵いわく、個人名の記載はなく誰が生き残ったかは不明。
(エリゼに聞かれたら本人は口には出さないだろうが、すれ違いざまに腹パンとか肩パンとか手が出るから言わないでおこうか、、)
当然エリゼ女王には既に情報が入っており、俺はすれ違いざまに人には見えない高速の肩パンや腹パンを日に数回食らうサンドバックになっていた。
王国でユーキが理不尽な目に遭う事になった原因の報告書を作成したのは、敵包囲網を突破したエリカ本人だった。
エルトは途中敵兵に狙撃され、右脇腹を貫通するが致命傷にならず、エリカが馬に乗せ無事生還した。
エリカは翌日、バウンデンから持ち帰った戦闘報告書と途中敵兵を数名倒した証拠をエルゼ駐屯軍に提出した。
今回の一件で勇敢さと人柄が評価されたエリカは一気に少尉まで昇進した。
エルト「そうか、人柄評価ね、、ハハッ、エリカの人柄ね、、、」
何か言いたげなエルトであったが、彼の活躍こそ重要であったとエリカは吹聴し、エルトの階級は中尉になっていた。
エルトは知らぬ間に、いわゆる共犯者に仕立て上げられていたのである。




