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新兵は最前線の女神3

~東エルフ共和国司令部~


書記官「はい、また全滅のようです。」

現場指揮官「現場では兵が足りぬのです!追加の増援をなにとぞ!」

アルト司令「これ以上はできない。防衛、そう防衛戦に備えて大量の兵が必要なのだ。」


開戦から2週間が経過した。アルデンの森で起こった惨劇は、両軍の軍令部に衝撃を与えた。

以降、損失を恐れた両軍は戦術はそのままに少数部隊が撃ち合う戦闘を行うようになっていた。

総司令官アルトはエルゼ王国の駐留軍を温存しつつ、東エルフの予備役30万の招集と遅れてくるドワーフの軍勢20万も考慮し、作戦立案を進めていた。

諜報部によれば、敵も兵をかき集め大規模な攻勢の準備をしているようだった。


この頃、既に各戦線での友軍の死傷者数は10万人近くまで膨れ上がっていた。敵軍の死傷者数は15万名近いが、国力と兵力差では向こうが圧倒的に有利だった。


エルゼ、ドワーフ、エルフ連合

総勢85万人

ガルマニア帝国

最大で156万人


戦列歩兵の戦術が禁止されたことで、一部の戦線では長い塹壕が出現した。敵歩兵の進軍は阻止したが、敵も同じく塹壕を掘り、完全に膠着状態となった。


空中戦艦による塹壕への空襲も各地で報告された。初戦で3隻が海軍の艦砲射撃で撃墜されたものの、先の大戦後に増産された敵艦は残りが12隻ほどある。防空隊による高射砲と気球部隊で撃退は成功したものの撃墜には至らず。



「て!敵の戦車だっ!」

「友軍の戦車隊は何処に」

敵戦車の砲が塹壕に照準を合わせた。

ドーーン、スドドーーン!



伝令兵「アルト司令、申し上げます。敵軍の戦車隊と友軍の戦車隊がアルデンの森中部の塹壕地帯で交戦を開始しました。」

アルト司令「・・・・・。」


ついには両軍の魔動戦車による戦車戦が発生した。異世界で初の両軍合わせて70両以上の戦車が撃ち合いを開始した。

性能はほぼ互角。車両も同数だが、動力になる魔力保有量は人間よりエルフの方が圧倒的に多く、次第にジリ貧になった人類は防衛ラインを押され始めていた。




その頃、初戦で激戦地になったバウンデン高地近くの砦では、、。

新兵A「うっ、おオェェェッッ」

新兵B 「な、なんだあれは、、、」


エリカとエルトのいる新部隊が激戦地となったバウンデン高地がよく見える、戦場から3キロほど離れた砦へ入って行く。

高地を見ると戦死した数万名の遺体がそのままの野晒しになっていた。腐臭がここまで漂ってくる。

黒くうごめいているのはカラスの群れか??無数のカラスが死肉を求めて集まり、小山を埋め尽くしていた。


隊長「吐くやつは今のうちにしっかり吐いて慣れとけ。どうせすぐに鼻もイカれてなれる。では副隊長あとは頼む。」


副隊長「はい!いいかよく聞けお前ら!今現在高地は我々人類側にある!しかし、敵は高地奪還を目指し数倍の兵力を投入している!我々は友軍に加勢し、バウンデン高地を死守するのが任務だ!以上質問は!」


エリカが質問をした。


エリカ「我々は高地を何時まで守り抜けばいいのですか?後方支援は次いつ来るんですか?」

エルト「お、おいバカやめっ」

副隊長「いい質問だ。敵か我々が全滅するまで死守だ。後方支援は当分ない。他に質問は?ないな!では解散!」


エルト「お、おい。よかったなお前今の発言で上官が機嫌損ねてたらタコ殴りにされてたぞ!」

エリカ「バカか、これを見ろ!」


エリカは双眼鏡を手渡した。

エルト「うえっ、凄まじい死体とカラス」

エリカ「そうじゃない。もっとよく見ろ」


エルト「よく見ろったって、死体以外何をっ、、、?!?!?!」

エリカ「やっと気づいたか間抜け」


バウンデン高地にいる友軍兵士のほとんどが負傷しておりまともに動いている者はほとんどいない。にもか関わらず増援は新兵の俺たちだけ。


エルトは頭をフル回転させた。


実はこの時、西方での戦闘で大量の戦死者を出した人類側は、戦車隊の半壊滅という結果も含めて、前線を森から後方へと移していた。

つまり、旧フリードベルク市街地にドワーフと東エルフ、エルゼ国の軍団が再集結し大規模な防衛戦の構築が進められていたのだ。

最終防衛線の構築は、前線の兵たちの士気低下を恐れ知らされず、エリカやエルトもこの時は知らない。


エルトは今持てる少ない情報で答えを導き出した。


エルト「ハッ!マジか、俺たちで少しでも砦か高台の陣地で敵軍を消耗させろってことかよ。」


エリカ「ま、そういうこと。だから上官は新兵の私を殴ってる暇なんかないのよ。双眼鏡帰して」


エリカとエルトのいる南西のバウンデン地方は敵の帝国側から見て最前線。もはや彼女らに逃げる場所などとうになくなっていた。

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