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新兵は最前線の女神2

「号外!号外!エルゼ国の艦隊がエルフの空中艦隊と交戦!敵艦3隻轟沈!こちらに被害なし!」

~エルゼ国 女王御前会議~


海軍大臣「5日前、我が海軍に仕掛けてきたのは向こうです。我々は正当な権利と力を持って対抗したまでです!」


空中戦艦の威嚇射撃と海軍の威嚇射撃がエスカレートしこちら側が敵艦を撃墜。近海の敵領土へ砲撃後、陸戦隊上陸、、、。

陸上では所属不明の部隊が銃撃を繰り返し、両国の国境ではお互いの不信感が積もり、小規模な衝突が始まっている。


陸軍大臣「全ては海軍の責任だ!海軍は敵の挑発にまんまと乗り、口火を切らされたのです!海軍大臣を更迭し、速やかに艦隊を撤収すべきです。」


参謀総長ユーキ(現状、既に各戦線では戦闘が散発的に始まり、戦火の拡大は避けられませんなぁこりゃ、、、)


エリゼ女王「・・・・・・・。」


参謀総長ユーキ(ヤバイ、エリゼめちゃくちゃキレてる!しかも、エリカのいる東エルフ共和国(旧フリードベルク)が陸上の最前線か、胃が痛くなってきた、、)





~ 東エルフ共和国軍司令室 ~


アルト「やはり、始まったか。」

王都の御前会議から5日前に時を戻し、宿舎にいた寝起きのアルト司令のもとに最新の情報が入り始めた。

海軍の最新鋭艦隊は空中戦艦と交戦後、エルフの南部湾岸都市に対して艦砲射撃を実施、市民の死傷者数は2万人を超えた。続いて上陸用ボートで陸戦隊上陸、湾岸都市の制圧を開始。


アルト(派手にやってくれちゃってまぁ、陸は血に染まるぞこれ。もはや大戦争は避けられないか、、)


アルト司令「サルマト首相に至急連絡!敵国と交戦状態に突入!戒厳令を出し、予備役を全て招集させろ!防空部隊も直ちに緊急配置だ!」




~ 新兵宿舎 ~

「おい、号外見たか??遂に戦争が始まったらしいぞ。」

「大規模な戦争は何年ぶりだ。俺たちも戦場に送られるのかな??」


朝食が終わると新兵たちはグラウンドに招集された。


訓練教官「貴様らも知っての通り、帝政エルフガルマニアと戦争が起こってしまった。貴様らは急遽訓練過程を短縮し、エルフの南部都市に近いバウンデン高地の守備を任される事になった。出発は3週間後だ!」


バウンデン高地、エルフ南部の都市と精霊国との国境線が交わる最前線だ。


エリカ「教官!いきなり最前線に新兵を送り込むのは兵を無駄死にさせるだけなのでは?」

教官「黙れ!命令は絶対だ。逃げたらどうなるかわかるな小娘。」


教官は腰の拳銃に手を当てた。


訓練教官「エリカ、貴様には旗手を命じる!」

旗手とは敵陣に突撃する際、味方兵を鼓舞するため、敵陣に連隊旗を持って突っ込む役職だ。

その勇敢な姿から、戦場の女神とも言われる役職だが、当然敵からは良い的で狙い打ちにされる。死亡率はどの役職より極めて高い。


訓練教官はエリカに連隊旗を渡した。

連隊旗はブルーブラックの下地に白いドクロが青い薔薇を咥えたデザインだった。


私は教官から受け取ったこの連隊旗が、母の旧エリゼ大隊と同じデザインだった事を後で知った。





~ エルゼ王国 参謀総長執務室 ~


ユーキ「なんと言うことだ、、俺の責任だ」

開戦から5日後の昼過ぎ、女王御前会議が終わった頃、ようやく遅れて陸上の最前線の戦況報告書がユーキのもとに届き始めた。


報告書にはおびただしい死傷者数が記載されていた。特にバウンデン高地の戦闘では我が軍が1万と数千人、両軍合わせて3万人がたった数時間で死亡。


「これはいったい?!何が起こった!」

「敵の新兵器か?!それとも自爆攻撃か?!」


この知らせに中央軍令部は大混乱。

敵帝都のスパイに情報収集を急がせたが、違う。この尋常でない死者数は新兵器ではない。

もっと単純な理由で死んだんだ。


ユーキ「戦術だ、戦列歩兵だ。見落としていたのだ」

そう、この尋常ではない死傷者数は性能の上がった銃で両軍が横一列になり、近距離で撃ち合った結果だ。最新の銃は150メートル以内ならはずす方が難しい。それを100メートル以内で撃ち合おうものなら、、、、


ユーキ「やばい、やばいぞ。このままだと大量の死者が出て、単純に人口が多い国が生き残り戦争に勝つ」


参謀総長のユーキはすぐさま戦術の変更を命令。戦列歩兵の戦術を直ちにとりやめ、歩兵は散らばり、地に伏せ、体を隠して狙い撃て。こんな単純な対策と思うが、やらなければ部隊の全滅や軍団の消滅すら起こるだろう!


実際にアメリカ南北戦争で近代ライフルを近距離で撃ち合った悲惨な歴史を俺は思い出した。

全ての戦線にこの命令が行き渡るまで一週間以上かかる、その間に大規模な戦闘が起こらない事を願うしか、、、。


しかし、ユーキの願いとは裏腹に既にこの時、アルデンの森の平原で事件は起こっていた。友軍の3万の兵が敵4万の兵と近距離で撃ち合いを開始していた。

3時間の死闘の末、友軍は将官クラスと数百名の兵を残して敗走し、敵軍は3千弱の負傷者兵のみが帰還した。


7万人近い兵がたった数時間で消滅したこの戦いは「アルデンの戦い」として後世の歴史書に残る事となった。

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