↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/57

軍人女王戦場へ

敵の空襲を減らすため、海軍の艦隊が敵空中戦艦と母港の破壊を行う海戦が勃発してから一週間後。

伝令「アルト司令官!海軍からです!」

アルト「やっときたか。報告書をくれ」


海軍軍令部より

我が艦隊8隻のうち5隻小破3隻爆沈。

敵艦隊12隻のうち6隻を撃墜。6隻の損害不明

敵帝都のドック襲撃できず本国へ帰還。


アルト「・・・・・・・」


ドワーフ指揮官「これはまずいな」


サルマト首相「ええ、敵艦の修理用ドックが破壊できなければ、一週間も立たずに都市爆撃が始まりますね。」


ドワーフ指揮官「第一砲台の機能停止後、未完成の第二砲台で敵を威圧しているが、一門の砲ではな、、、」


アルト司令「ああ、砲台の予備パーツは本国から列車で輸送してもらっている。明日の午後にはつくだろうが、、、」




~ タンネンバウム平野 ~


フリードベルク市街地から16キロ地点。

小川を挟み、両軍の塹壕陣地が張り巡らされていた。


ドガガガガガガガッ、カチッ

エリカ「ヤッハァァァア!!お!弾切れた!おい生きてるかエルト!」


エルト「ああ、ヘルメットに助けられたぜ」

エリカ「ならガトリング砲に弾込めろ!急げ!」


肉薄してくる敵兵に対して、エリカは手回し式のガトリングガンを撃ちまくっていた。後方の都市には弾薬工場があるため、撃ちまくってもすぐ新しい弾が届く。素晴らしい。


エリカ「おい!見ろエルト敵が退いてくぞ!」

エリカがそう叫ぶやいなや、頭の上を轟音で要塞砲の弾が通過。近くの友軍陣地からも合わせてロケット弾が発射された。

我々も地に伏せると、ドンと重い爆発音が辺りに鳴り響き、内蔵をグッと押される感覚がした。

顔を上げると近くにクレーターができていた。


エリカ「おいおい、我々ごと吹き飛ばす気か!?後で文句いってやる!」

エルト(なんでそんな楽しそうなんだよ。あんなの横に落ちたら木っ端微塵だぞ!)


掩護射撃が終わると敵兵はまた突っ込んでくる

ドガガガガガガガガ

エリカ「そういや、お前麻酔打ったか?」

エルト「そーいや、イテテテテテッッ!!」


エリカ「打ったなら早く弾込めろ!」カチッカチッ





~ 輸送機関車内 ~


ユーキ「何でついてきたんすか?」

エリゼ「旦那様が行くんだ。私も行くのが妻のつとめだろ」


ユーキ「本音は?」

エリゼ「ガトリング砲撃ちまくって、新兵器の威力を見て指揮を取りたい」


参謀総長のユーキは二日前に、前線と兵器輸送の視察と称して帝都を出発。エリゼは替え玉を立てこっそり王都を脱出。おそらく今ごろ王宮は大混乱だろう。


ユーキ「死ぬかもしれませんぜ」

エリゼ「命短し戦え乙女だろ」


ユーキ「おまえもうババッ、ギャァァッッ!」

ユーキはつま先をハイヒールで踏まれた。

俺は昨日までの情報でエリカの生存を確認。

エリゼの耳にもその情報が入っているので、今日は機嫌が良いらしい。


まったくこの人は単純だよな。

現地についたら要塞砲の予備パーツと砲弾を下ろさせ、司令部のアルトに謝って、第二砲台の完成を目標とする感じかな。


エリゼ「雪景色を見るとあの頃を思い出すな」

ユーキ「あぁ。冬山を越えるのはもう沢山だ」


列車は渓谷沿いを通り、翌日の午後過ぎにフリードベルク市街のターミナル駅についた。


ユーキ「アルト司令!ひさしぶりだな!」

アルト「中佐、、いやユーキ参謀総長!」


俺たちは抱き合い久しぶりの再開に感動した。


エリゼ「して、アルトよこれはなんだ??」

下車した瞬間から軍楽隊が演奏を開始していた。アルト曰く、エリゼ女王もひっそりついてくるだろうと思い待機させていたとのことだ。


軍楽隊の演奏に送られ、我々は馬車に乗り市街地の総司令部へ向かった。街並みはあまり変わっておらず、旧フリードベルク領市街戦を思い出した。

エリゼ「ほほう、あれが噂の」

ユーキ「まったく凄いな」


小高い人工の丘の上に確認できる、二基の要塞砲。未完成の一基が先程から数分おきに発砲している。

エリゼ「あれとは戦いたくないな」

ユーキ「俺もお手上げだな」


俺は馬車の中で今回の戦争が起こった経緯と軍の暴走をアルトに謝罪した。俺より五つ下なのに大分更けて見える。苦労を掛けた。


列車から砲一門と砲弾、予備パーツが要塞に運ばれた。第一砲台の修理が完了したら、第二砲台を停止させる。残りの一門を取り付け砲台を完成させる手はずとなっていた。


我々が司令部につくとサルマト首相が出迎えてくれた。

サルマト「お久しぶりであります。最後にあったのは15年前でしたね。エリゼ様は相変わらずお美しい」

エリゼ「ありがとう。その後どうだ?」


サルマト「ええ、エリゼ様とエルゼ国のお力添えで何とか。ささ、どうぞ」


エリゼ「ありがとう。では、始めようぞ」


こうして、第一回西方戦線三国協議会が開かれる事になった。

エルゼ国、ドワーフ、東エルフの最高責任指導者が集い、戦況改善案が練られた。


ユーキ(今のうちに女王が勝手にこっちに来てる事を謝罪する文章を本国に送らねば、、)



~ 会議室 ~

エリゼ「ふふふ、ここは私しか適任はおるまいて是非斬り込み隊長に!」


アルト「またそんな事を考えて?!」

サルマト「いけません女王!ここは私が!」


ユーキ(駄目だこの人は一度いったら聞かない)


一時間時を戻す。

ユーキが発案した作戦はこうだ。

第一、第二要塞の二基が動くようになったら王都から運んできた強装薬をどちらかの砲で撃ちまくる。強装薬は現在の砲弾の最大飛距離20キロを30キロに延ばす強力な弾薬だ。

最悪、砲が発射圧に耐えられず丘ごと吹っ飛ぶ可能性がある。だが、これを使うことで30キロ地点ギリギリにある敵司令部、本陣まで砲弾が届く。

あとは混乱する敵軍にたいして、誰が軍を率いて突撃し敵の司令官たちを討ち取るか。



そこで、時を戻す。


エリゼが斬り込み隊の隊長に名乗りを上げたわけだ。

ユーキ「まて、お前が死んだら女王は誰がやんだよ。最悪俺の首が跳ぶ」


エリゼ「そんときは、エリカが二代目をつぐさ」

俺がエリゼの出撃を却下し、誰か他に適任者がいないか検討していた時、会議室の扉が勢いよく開いた。


エリカ「私にやらせてください!」

隣にいたエルトはまさかエリカが乗り込むとは思っておらず、足を小鹿のようにガクガクと震わせていた。


アルト司令「おいエルト。君はそこで何をやっているんだい」

アルトの柔らかい表情が、鬼のように険しくなっていく。


エリザ「おお、生きてたかエリカ!わかった!お前に任せるぞ!女王命令だ!作戦は二日後に発動する!」

ユーキ(ファッ!?)


エリカ「言質取りましたよ。お父さん!お願いします♪」


ユーキ(徴兵の時もそうだが、可愛く言えばどこ行っても許されると思ってるなこいつ。許しますけど。)


エリゼ「そーと決まれば前祝いだ。サルマト、アルト、酒を用意しろ!前祝いだ!エルトとか言ったな!お前に娘をまかせるぞ!」


エリゼは上機嫌になり、エルトの肩をバシバシ叩いている。あれ?エルト気絶してね?

それはともかく、人類の存亡を掛けた戦いの段取りが流れるようにあっさりと決まってしまった。


アルト「参謀、嫁には叶わんっすよね」

ユーキ「あぁ、全くその通り」


エリゼは退室し、軍服を着替え、早速アルトの嫁マリンを誘い酒場に繰り出していった。

ユーキ(ほんと、この人本国から離れたとたん自由に振る舞うよな、、、)


この日の夕方、市街地では非番の兵にも酒が振る舞われた。前線には砂糖菓子と厚切り肉のスープが支給された。



~ 翌日、議事堂広場前にて ~


ドワーフ「どうだい旦那!」

ユーキ「まさか一晩で修理と砲の取り付けを終わらせるとは畏れ入ったよ」


サルマト首相は仕事中の飲酒を禁止させていたが、やはりドワーフは酒飲ましておけば仕事はかどるんだな。朝陽を浴びて輝く二基の砲塔を見てユーキは思った。


何はともあれ、明日が娘の晴れ舞台だ。

最高の御膳立てをしてやろう。

どうせエリゼみたいに人の話聞かないからな!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。