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20/22

……あれ?

 「あれ? 桜、テレビのリモコン知らないか?」

 健二がテレビの周囲をキョロキョロと探すが、一向に見つからない。

 桜が洗濯物を片手に現れる。


 「健ちゃん、すぐにどこかにやっちゃうよね。酔っ払って食べちゃったんじゃない」

 桜にからかわれて、健二が桜の方に近づいて脇を指先でこちょこちょする。

 「あ……だめ……ご、ごめんなさいって! 降参ー!」

 リモコンが見つからないフラストレーションをぶつけるようにくすぐると、桜が身を捩って抵抗するが健二の太い指から逃れることができなかった。

 我慢の限界が訪れて、降参すると恨めしそうに健二を見た。


 「もう! 昔は健ちゃん優しかったのにね! リモコンと一緒にどこかに置いてきちゃったのかな」

 ぶつくさと文句を垂れる桜に、指先をわなわなと動かすと、すっと視線を外した。


 「う……。それは勘弁……。リモコンは知らないよ。テレビの横にない?」

 「いやー、それがないんだわ。昨日、ここに置いたと思ったんだけどな」

 不思議そうに健二はテレビを見つめると、「洗濯干したら、私も手伝うか待ってて」と言って、外に洗濯を干しに行ってしまった。

 おかしい……。

 こんなに見つからないものなのか?

 昨日、俺は……休みだからって家で酒を飲んで……気づいたら朝?

 記憶が……これは、怪異のせいか……?


 と心で冗談を言ってみたが、本当に神隠しにあったかのようにリモコンが忽然と姿を消してしまった。


 「う〜ん……」

 腕を組んで唸るように考える。

 「健ちゃ〜ん」

 自分を呼ぶ声が玄関の方から聞こえてきた。


 「おう。どうした?」

 「これ、あったよ」

 桜の手には黒い物体が握られている。


 「リモコン……どこに?」

 健二が桜に言うと、細くて白い人指が靴入れを指さす。

 「は? え? この中にあったのか?」

 「うん。やっぱり、健ちゃん酔っ払ってたんじゃないかな? 昨日はすごい飲んでたしね」

 カラカラと桜は笑いながらリモコンを手渡してくる。

 健二は少し腑に落ちない部分はあったが、茜の件や奏の件が解決したことで、少しだけ気分が軽くなって羽目を外してしまったことは否めない。

 お目当ての物が見つかって良かったが、どうしても釈然としない。


 そんな不思議な体験をした休日だったが、その後は特になにもなく一日が過ぎる。

 

 ――――


 「ただいまって、桜はまだ帰ってきてないか」

 仕事から帰ってくると、健二はドカリとソファーに座ってスーツのネクタイを緩める。

 「あ〜今日も一日頑張ったわ」

 大きなため息を吐いて、少し休もうとテレビのリモコンを探す。

 「あれ? また、リモコンがな」

 昨日は間違いなくテレビの横に置いた。

 あ〜、今日は桜の方が後に出たからいつもと違うところに置いちゃったんだろう。

 帰ってきたら聞くか。


 桜が帰ってくる前の間に着替えを済ませて、お風呂掃除やら米を炊いたりと、できる家事を進めることにした。

 たまには飯も作っておくかと、冷蔵庫を開ける。


 「え? リモコン?」

 開けた瞬間に長細い黒い物体が目に入る。

 それを手に取るとキンキンに冷えていた。


 「俺か? いや、さすがに酔っ払ってもこんなところに……」

 それを手に取って呆然と見つめていると、玄関が開く音がする。

 「ただいま〜。あっ、健ちゃんご飯炊いててくれたの? ありが……とう?」

 キッチンでリモコンを片手に固まる健二を見て、桜は首を傾げていた。


 「健……ちゃん?」

 「あ? 桜……おかえり。いや……これ、冷蔵庫に入ってんだけど、お前じゃないよね?」

 健二の言葉にぶんぶんと横に首を振る。


 「お化け? 健ちゃん連れて来たんじゃない?」

 桜は怖がる様子を見せず、健二をからかうように言う。

 「仮にそうだったとしてさ……なんでリモコンを隠すんだ?」

 「さぁ? 勇気さんに聞いてみたらどう?」

 ま、リモコンを隠すくらいだから、明日にでも連絡してみるか。

 そう思い、手に持ったリモコンをテレビの横に置いた。


 ――――

 

 「――よし。今日はここに置いてあるからな。写真も撮っておこう」

 スマホで何枚か写真を撮る。

 「あら? なにしてる?」

 「いや……一応な」

 「ま、いいじゃない。リモコンくらいさ。早く寝よー」

 パジャマ姿の桜が欠伸をしながら、健二の手を引いてくる。

 最後にもう一度リモコンに目を向けて、そこに置いてあることを確認すると、桜に寝室に連れて行かれる。


 「健ちゃん、おやすみ〜」

 部屋の電気を消して桜がそう言うと、数秒で横から寝息が聞こえてくる。

 「相変わらず寝るの早くね?」

 思わず突っ込みを入れるが、返ってくるのはくぅ〜と言う鳴き声だけ。

 健二はなんとなくリモコンが気になって寝付けず、ぼーっと灰色がかった天井を眺めていた。


 ――カツン


 すると、部屋の外から軽い音が聞こえる。

 トクンと心臓の音が耳の奥で震えた。


 「……まさか」

 音を立てないようにそっとベッドから降りる。

 扉の前に来ると耳を押し当てて外の様子を確認すると、下の階からガサガサと音がわずかに聞こえてきた。

 「下になにかいる……」

 廊下に出ると、その音が鮮明になる。


 ――エッサ、オイサっ! お前達、急げよー!

 ――親方! 任せてくださいっす!


 大勢の人が話す声。

 どこかお祭りをしているように賑やかで、楽しげたった。


 ――よし! 今日はそこに入れろ!

 ――分かりましたっ! それっ!


 ガンガンと固いものがぶつかる音が数回聞こえると、家の中に再び沈黙が戻る。


 「なんだったんだ……今の」

 健二がそっと姿を現すと廊下の向こうに視線を送った。

 「む? あれは……」

 奥の方に消えていく小さい影が数体。

 10センチにも満たない影はネズミのようにすばしっこく、あっと言う間に消えていった。


 「どこ行きやがった。リビングに行ったと思ったんだが……いない」

 リビングにそっと足を踏み入れて気配を探るが、そこには静けさと闇だけが支配していた。

 カーテンの隙間から漏れるように入ってくる月明かりがフローリングの床を照らし、跳ね返った光が健二の目に入る。

 わずかに目を細め、恐る恐る一歩ずつ足を前に進めたが、変な生き物の姿はない。


 健二はテレビの方へと目を向ける。

 「リモコン……ない。やっぱりさっきの奴らが犯人か」

 そう思って、今度はリモコンを探すことにした。


 「確か、こっちの方から音がしたよな?」

 脱衣場に足を進めると、手当たり次第に漁り出す。

 どこかに投げ捨てたように、固い音がしたことを思い出すと、洗濯機の蓋をそっと開ける。


 「あ、あった」

 奥の方に落ちているリモコンを手に取る。

 電池が外れて幾分か軽くなっているが、寝室に行く前にテレビの横に置いていた奴で間違いなかった。

 「たく……壊れたらどうすんだよ」

 健二は怖さよりも苛立ちの方が強かった。

 最近、こう言うことが続いていて恐怖は以前よりも薄くなっている。

 慣れ……たくないけど、これくらいならマシだわ。

 そう思えるくらい、心は落ち着いていた。


 「寝よ……」

 リモコンに電池を戻すと、大きな欠伸をひとつする。

 テレビの横にリモコンを置いて、寝室に戻ることにした。

 なんとなくだが、原因が分かったことにすっきりすると、ようやく睡魔が襲ってきて、目を瞑ればあっと言う間に意識が途絶えてしまう。


 ――――


 「あ、健二くん。ごめんね。今、ちょっと手が離せなくて、たかしくんにお守り二つ渡したから、桜さんにも渡しといて」

 こう言うことに詳しい勇気に電話をすると、珍しく焦った口調でまくしたてるように話してきた。

 「お、おう。忙しいのに悪いな」

 「ううん。大丈夫! そのお守りめっちゃ強力だから、なんてったって助手の髪の毛で作ったからね。だから、肌見放さず持っててね。じゃね」

 プツンと電話が切れる。

 

 「助手って、慎也っ高校生のだろ? その髪の毛って――」

 「――お届けものでーす」

 健二が言い切る前に、背後からひょうきんな声がした。

 「おわっ! びっくりした」

 不意のできごとに背筋がピンと伸ばされた。


 「健二くん。ごめん、ごめん。勇気くんから預かったお守りだよ」

 真っ黒い子供のような人型が、両手に大事そうに巾着を持っていた。

 「たかしか……って、これがお守り?」

 「そうだよ。慎也くんって特殊なんだ……僕達にとって毒みたいなもん。だから、このお守りは本当に強力だよ」

 とか言いながら、それならなんでお前は大丈夫なんだ?

 頭にそんなことが浮かぶと、心を読まれたように続きを話してくれた。


 「これは、悪意が向けられた時だけ発動するからね。だから、僕が持っている分には大丈夫なんだ」

 「そうか。すまん……しかも、桜の分まで」

 「お礼は勇気くんに会ったら言ってあげてよ。じゃ、僕は戻るね」

 たかしが闇に溶けるように消えていく。

 健二は手に持ったお守りをじっと見つめると、スーツの内ポケットにそれを閉まった。


 ――――


 「勇気くん、忙しいんだね」

 「ああ、珍しくなんか焦ってたよ。てか、そのお守りちゃんと身につけとけよ?」

 桜と二人で家でくつろぎながらビールを飲む。

 今日渡されたお守りを渡すと、真剣な表情で健二が桜に忠告する。


 「分かってるよ。でも、健ちゃん見たのってすごい小さいなにかだったんでしょ? それなら大丈夫だって」

 桜はあまりこう言う話しを怖がらない。

 だからこそ、油断してなにか起ることが健二にとって不安だった。

 「そうだけどさ……万が一があったらよ……」

 目を伏せてそう言うと、桜が健二の手を握ってくる。

 「うん。心配してくれて、ありがとう。ちゃんとお守りは持ち歩くから安心してね」

 にこりと微笑んでようやく健二の心が軽くなる。


 ――――


 「何してるの?」

 健二がリモコンの近くになにかを置き始め、それを不思議そうに桜は見ていた。

 「……カメラ。置いとけばなにか映らないかと思ってよ。っと、これでよし」

 三脚にカメラを設置し終えると、健二が立ち上がる。

 「なるほどね。なにか映ったら教えてね。私も見たいからさ! じゃ、行ってきます」

 「おう! いってらっしゃい」

 桜が仕事に行くと、健二はリビングを一瞥する。

 リモコン……いつものところにあるな。

 後は、帰ってきてからどうなるかだ。


 カメラがちゃんと動いていることを確認すると、健二も仕事に向う。


 ――――


 「……ただいま」

 今日も桜より帰ってくるのが早かった。

 廊下の電気をつけて、健二はリビングに向かうがいつもより脈が強く血管を引っ張り上げていた。

 リモコン、なくなったか?


 興奮しているように鼻息が荒くなり、少しだけ荒っぽくリビングへ続く扉を開けると、テレビの横に視線を向けた。


 「――ないっ!」

 リモコンが消えていることに、健二は声を張り上げる。

 「カメラは? ……ちゃんと撮れてる」

 確認すると、朝からの撮っていた映像がしっかり残っていた。

 カメラを片手にソファーに座ると、録画された映像を再生する。


 「まだ、リモコンはある」

 倍速で確認するが、中々そいつらは現れない。

 「ん?」

 すると、突然画面全体にノイズが走り、映像が乱れた。


 「あ? なんだあれ? テレビの後ろ……"隙間"からなんか」

 そこにはテレビ台の後から、小さい人型の物体がにゅるっと這い出るように姿を現していた。

 「おっさん……? しかも、ふんどし?」

 小さいおじさんが現れたと思うと、リモコンを神輿のように持ち上げて、画面から消えていく。

 しばらくして、戻ってくると同じようにテレビの後に姿を消した。


 「マジ……かよ。本当に映るとか……」

 健二が立ち上がると、テレビ棚の後をそっと覗く。

 「――え?」

 その瞬間、全ての毛が逆立つような錯覚を覚える。

 向こうから見られている。そう、思えるほど強烈な視線を感じると、胸ポケットに閉まっていたお守りが突然熱くなる。


 「あっつ! なんだよ……これ」

 そう言ってお守りを取り出すが、手で触っても熱くもなんともない。

 もう一度、試しに覗いてみるが見えたのはテレビのコードと薄っすら溜まった埃だけだった。

 「……今の」


 ――――


 「なにこれ! 可愛いじゃん!」

 桜にそれを見せると妙にテンションが高くなった。

 興奮気味に、何度も小さいおじさんが出てくる瞬間を再生している。


 「あはは! おじさんの妖精じゃんか。お酒でも供えとこう」

 適当な皿にビールを注いでテレビの横に置く。


 「おいおい。辞めとけって」

 「大丈夫よ。それにほら、お酒好きそうじゃん」

 桜は酔が回ってるのか、頬が赤らんでいる。

 「まあ、いいけどよ。リモコンも見つかったし」

 「今日は電子レンジに入ってたんだっけ?」

 その言葉に健二は「そうだよ」と一言だけ返す。

 見つけるのに1時間もかかったんだぞ。

 迷惑だわ。


 「そんな怒らないの。お酒あげるから、洗濯物でもたたんでくれると嬉しいんだけどね」

 そんなことをぼやきながらその日を終えた。


 ――――


 「は? 洗濯物……たたまれてる? お酒もないし」

 朝起きると、綺麗に洗濯物がたたまれて並べられていた。

 その光景に健二は呆れたように声が漏れる。

 「リモコンも無くなってないし。どうなってんだ……マジでさ」

 すると、たたまれた洗濯物を手に持った桜が機嫌良く口を開いた。


 「いいじゃない。お酒気に入ったんだよ」

 皿の中のお酒がきれいになくなっている。

 幽霊も酒……好きなんだな。

 頭の中でぼやくと、追加でビールを注いでおいた。


 ――――


 「今日は洗濯物が干されてる」

 お酒を渡すと、あの小さいおじさん達は家事を手伝ってくれる。

 それに味を閉めた桜は、ふざけてどんどんお願いする。


 わざと、食器を洗わなかったり。

 トイレ掃除をお願いしたり。


 そうやってお酒を代償に、家事の一部を任せていた。

 ただ、時間が経つにつれて、その小さいおじさんが可愛く思えてきた。

 小さい体でせっせと家事をこなして、お酒を飲んで一息。

 ペットではないが、その姿を想像するとちょっと可愛いとは思う。

 まぁ、おっさんだけどさ。


 「あ、やっちゃった。小さいおじさんに残しておこうと思ったのに全部飲んじゃった」

 空になったビール缶を覗くと申し訳なさそうに、桜の眉が下に下がっている。

 「明日、買おう思ったからもうないんだよね」

 「まあ、仕方ないだろ。今日は休肝日ってことでさ」


 そう言って、健二と桜は寝室に向かう。

 「それじゃ、おやすみ〜」

 「ああ、おやすみ」

 二人は床につく。


 ――エッサホイサ……


 耳元で誰かの声が聞こえる気がした。


 ――ただ働きは許さない。

 ――だから、この体もらってく。


 その声は怒っているように低くドスの聞いた声だった。


 ――エッサホイサ、エッサホイサ。

 ――僕達の、アタラシイカラダ。

 ――チョウダイ、チョウダイ。


 これは夢か?

 健二は桜の方に寝返りをうつ。


 ――この女、もらったら次はそいつ。


 この女……桜っ!

 そいつらの言葉に健二の目が見開いた。

 桜の体を取り囲むように、映像に映っていた小さいおじさん達が桜の体を持ち上げていた。

 健二は桜を助けようとするが、金縛りにあったかのように動けず、その光景を見ていることしかできなかった。


 ――隙間に運べ、運べ。

 ――そしたら、新しい体が手に入る。

 ――今日は二体も大量だ。


 歌を歌うように、小さいおじさん達は桜を運ぶ。

 桜の体が持ち上がると、足から順にベッドの下に降りていく。


 ――この下に、隙間があるぞー!


 おい! 桜を離せっ! くそっ!

 健二は焦るが、体はビクリとも動かない。


 ――急げ! もう一人が目を覚ましたぞ!


 健二の荒い息遣いに気づいた一体が叫ぶと、桜を運ぶ奴らの動きが早くなる。


 桜を……返しやがれ! この! くそ!

 心の中で力のかぎり叫ぶと、健二の金縛りが解ける。

 ベッドの下に連れて行かれそうになっている、桜の手を掴むが、すごい力で中に引きずり込まれていく。

 手汗が染み出てくると、握った手が少しずつ離れてくれ。


 「――桜っ!」

 掴んだ手が離れそうになり、健二が思わず叫ぶ。

 すると突然、渡されたお守りがふわふわと宙に浮かびながら、目の前に現れる。


 「な、なんだ?」

 その瞬間、眩い光がほとばしり巾着の頭が開くと、髪の毛がにゅるにゅると伸びてくる。


 ――やばい! 逃げ……


 小さいおじさんが叫ぶが、髪の毛は意思を持ったように絡め取るとぎゅっと押しつぶした。

 ぎゃっと言う悲鳴と共にぶちっとなにかが潰れる音。

 勇気からもらったお守りが、桜を守るように小さいおじさん達に襲いかかる。


 見える範囲の怪異を倒し終えると、髪の毛はベッドの下に伸びていく。

 その奥から、いろんな声色の悲鳴が聞こえ桜を引っ張る力が弱くなる。


 「今だ!」

 健二が力のかぎり桜を引っ張りだす。

 そして、抱き上げてベッド上に横たわらせると、桜を奪おうとする小さいおじさんが這い出てくる。


 一つのお守りじゃ、この数を捌ききれないらしくまた彼女の体が強く引っ張られていく。


 「くそ! いい加減にしやがれ!」

 そう叫ぶと、視界の隅に黒い筋が伸びてきた。

 もう一つのお守りからも髪の毛が健二達を守るように、おじさんに襲いかかる。


 部屋の中にぶちぶちと嫌な音が響き、ベッドの下の隙間から出てくる数が減っていく。

 そして最後の一体を潰し終えると、お守りの中に髪に引っ張られるように戻ると、軽い音を立て地面に落ちた。


 「終わったのか……?」

 少し身構えていたが、あの小さいおじさんが出てくることはなかった。

 「桜……寝てる?」

 抱きかかえる桜に視線を落とすと、すーすーと気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。

 「良かった……てか、この状況で寝てるのかよ……まぁ、知らぬが仏っやつか」

 本当に桜が無事で良かった。

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