【Lv.1の童貞探偵】異世界で俺の性魔術解析が世界の穢れの記録を暴くが、魔王に童貞を独占予約されました 第二十三章 中編
第二十三章 中編
解析と断罪:卑屈の弾丸と地の審判
アトラスの遺志が、失われたはずの聖遺物の記憶を強引に呼び覚ます。奏太の右腕は、暗い遺跡の最深部を真昼のように照らし出す、太陽を呑み込んだかのような黄金の輝きを放った。
「……これはアトラスの力だ。お前の意志、確かに受け取った。風がダメなら……アトラスの地だ!!」
奏太の魔力が劇的に変質する。先ほどまでの軽やかな旋風は鳴りを潜め、惑星の核を直接揺るがすような、逃れようのない重厚な圧力へと昇華した。かつて忘却の神域で、奏太が「偽物」だと告白してもなお、その優しさを信じて命を託した金剛の守護騎士。そのアトラスが数百年かけて大地の底から吸い上げ、己の魂の中で練り上げた「絶対防御」の権能が、今、奏太の全身を黄金の防壁となって包み込む。
「ユリア殿!久我様に魔力を合わせろ! 動きを止めるぞ!!」
ユリアとレイジが奏太の背後に躍り出、その背に迷いなく手を当てる。Lv.9999の覇道と、極まった武道家の魔力が奏太の右腕を媒介に一つへと収束し、古龍ヴォルガの頭上から、絶対的な質量を持った漆黒の重力波となって降り注いだ。
「『地の極大魔法・魔導収束:重力崩壊』!!」
「なっ……我が、動けぬだと!? この、不潔なまでに重い圧力は何だッ!!」
Lv.9999の巨躯が、抗いようのない重力によって地面へと無様にめり込み、遺跡の床がクモの巣状に砕け散る。ミシミシと骨が軋む音を立て、誇り高き古龍が屈辱に顔を歪めた。絶好の好機にレイジが狂気を孕んだ声で叫ぶ。
「さあ!久我様、今です! 止めを!! その手でトドメを刺し、この竜を死の記録へと変えるのです!!」
だが、奏太が選択したのは剣による一撃でも、破壊の魔法でもなかった。彼はLv.1の童貞とは思えぬ、もはや本能に近い猛スピードで死の火線の隙間を潜り抜け、ヴォルガの巨大な胸部へ直接飛びついた。
「……殺すんじゃない。俺は、こいつの『真実』を暴く! 【性魔術解析】……発動ッ!!」
奏太の左手が、炎を纏う竜の巨大な隆起――ドラゴンズ・オッパイを鷲掴みにする。その瞬間、逆流するLv.9999の膨大な記憶。数千年の孤独、強すぎるがゆえに誰の手も拒んできた高潔さ。そして、かつて汚れなき童貞の勇者に純真な求愛をされ、その眩しさに触れてしまったがゆえに、自らの強大な力を「穢れ」と呪い、奥底に隠し続けてきた潔癖な乙女の精神が、奏太の脳内を焼き尽くした。
(……えっ!? 待てよ、こいつ……メスだったのか!!)
解析された真実が奏太の思考を駆け抜ける。
(この竜の急所は……逆鱗じゃない.....『乳輪』だったッ!この竜は、かつて汚れなき童貞の勇者に求愛され、そのあまりの純真さに触れてしまったがゆえに、自らの穢れた力を呪っている……! 彼女の最大の弱点は、純粋で清浄な求愛、そしてその対極にある『圧倒的な不潔』だ!)
「解析完了だ! ヤマト、お前の出番だ! その汚物のような人生、今ここでぶつけろ!」
「ひ、ひぃいっ!? 俺が、Lv.7で何をしろってんだよぉ!」
怯えるヤマト。だがその脳裏に、魔王軍四天王ベルフェゴールから授けられた、魂を腐食させる悍ましい毒の記憶が閃光のように閃いた。
「……そうだ。毒っていうのは、孤独な奴にしか扱えない力……。他人に理解されない、俺だけの底辺の力なんだろ! 行くぜ、ベルフェゴールの旦那! 見ててくれ十兵衛さん!!」
ヤマトは十兵衛から受け継いだ毒の剣筋に、ベルフェゴール直伝の「概念そのものを腐らせる死毒」を上乗せし、己の「半年間で肥溜めとドブにまみれた最低の劣等記録」と共に、その全霊を解き放った。
『奥義:深淵の腐食――卑屈の型』!!
「俺はLv.7だぞ! スライム相手に中折れし、この世界で一番情けなくて汚い男だ! 俺の半年間で肥溜めとドブにまみれた最低の、汚い童貞卒業記録を全公開してやるッ!!」
その瞬間、高潔な古龍ヴォルガの精神に、ヤマトのドロドロとした「底辺の欲望」と、見るに耐えない「肉体の醜態」が直撃した。
『な、なんなのこの男……ッ!? 汚い、あまりにもレベルが低すぎて、見てるだけで魂が穢れる……ッ! こんなに小さくて粗末なモノを、こんな不潔な記憶と共に見せられるなんて……羞恥心で死ぬわぁああ!!』
あまりにも潔癖すぎた古龍は、その精神的ショックにより、体内の魔力制御を完全に喪失。ヤマトの放った「概念の毒」が高潔な理を内側から腐らせ、拒絶反応で暴走した自らの極大火炎が全身を包み込んだ。
ヴォルガの巨躯は、自らの恥辱を焼き払うかのように断末魔の叫びを上げながら、真っ赤な炎に包まれ、自らを焼き尽くしていった。




