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47話【ハニー&ハニー】

「あぁ♡ 気持ちいいですぅ♡ セレス様ぁ~♡」

「んふ♡ そうでしょ? 結構上手なのよ、アタシ♪」

「は、はいぃ♡ 指が、長くてぇ♡ 力が強くてぇ、とってもイイですぅ~♡」

「じゃあもっと、気持ちよくさせてあげるわ♪」

客室のベッド。そこでは嬌声が響いていた。

私はセレスさんの膝元で仰向けになり――。



「あぁ~~~♡ 効きますぅ~~~♡ 血行が良くなってるのがぁ♡ わかるようですぅ~~~♡」

「15歳の割にはだいぶ凝ってるわねぇ? ちょっと働き過ぎなんじゃないぃ?」

――セレスさんからヘッドスパを受けていた。


日暮れ時、セレスさんとの行為に夢中になっていたら、いつの間にかパーティーは終わりに近づいていた。

ここまで来ると会場に戻るも面倒だから、お開きになった頃に少し顔を出して帰ることにしよう。エッチでヘトヘトでダンスをする気力もないし。

「はぁ~~~♡ セレス様、商才だけでなく、こんな才能もあったのですねぇ♡」

「んふ♡ まぁねぇ。美容の知識は淑女の嗜みだもの♪ ――それより、そのセレス様っていう呼び方は変えて頂戴」

「やはり堅苦しいですか?」

「それもあるけど……アタシの本名はセレスティーヌじゃないのよぉ」

彼女は私の頭を揉む指を止め、静かに語り出す。

少し苦しそうな顔をして。


「本名は男っぽい名前でねぇ。それが嫌でセレスティーヌって名乗ってるだけ。本当は全然違う名前なの。……アタシの、本名は――」

「言いたくなかったら言わなくてもいいですよ」

告白しようとする彼女を見て、思わずそう答えた。

「……あら、アタシの本名は性別と一緒でどうでもいいかしら?」

「いいえ、それはとても気になります。それはセレス様のことですから、セレス様のことは全部知りたいです。……けど、アナタが知られたくないことまで知りたいとは思いません」

秘密を持っているのが人間である。それに、人に言ってないことの一つや二つあったって、私はその人を愛せる。

「わざわざ苦しんで本名を明かす必要などありません」

私の本名だって、アルミラ・ランドリスじゃないもの。

「アナタがセレスティーヌと名乗るなら、私はセレスティーヌを愛します」

「ッ……、……ありがとう。アルミラちゃん♡ アナタの言葉はいつも素敵だわ」

膝に乗る私の頭を、彼女は優しく撫でる。


本名はいいとして、呼び名は変えた方が良さそうね。いつまでも様付けだと私もセレスさんも肩が凝ってしまう。

「うぅ~ん、……ではセレス様でなくセレ姉というのはどうでしょう?」

「セレ姉?」

「ええ、私は長女なので、ずっと姉が欲しかったのです」

今も前世も私は一人っ子だった。あっでも今は義弟のチャールがいるから一人っ子ではないか。

なので、兄弟姉妹に憧れがある。

「セレス様は何だかお姉様のようです。私より大人で、包容力があって、頼もしい。だからセレ姉がいいです」

「セレ姉……ふふ♡ いいわねぇ♪ アタシもちょうど天使みたいに可愛い妹が欲しいと思っていたとこよ♡」

ちゅっ――と彼女は優しく私の頬にキスをする。


「ねぇ、可愛い妹ちゃん」

「なんでしょう、セレ姉」

「――アタシもう男遊びはやめるわね。アナタ以外を抱くことも抱かれることもしない」

「……? 私は別に構わないですよ。セレ姉は女性なのですから、男性に愛されたいと思うことだってあるでしょう。私だって他の人にも愛されたいと思いますし、そうします。無理をして私に禊を立てるようなことはしなくていいのです」

私も多くの人を愛するのに、相手にはそれを許さないというのは理不尽であろう。

だから私は、セレ姉が他の男性を愛することは咎めないし止めもしない。

私はただ、彼女の愛を一欠片でも私に与えてくれるだけでいい。


「んふ、安心して。アナタに気を使っている訳じゃない。ただね、――もぉいいかなって思って」

セレ姉は少し遠い目をする。

「男漁りはね、自分が女だと思い込みたくてしていた行為なのよ。ガウルたんのこともそう、アタシは本当は彼が好きなんじゃなくて、彼に抱かれることで自分を女だと思いたかっただけ。全部自分の為。今まで誰かを真に愛せたことなんてなかったのかも。……酷い女よね、アタシ」

「……」

「けどね、もぉいいのよ。アタシはそうしなくても、大丈夫だってわかったから」

「何故ですか?」

私が尋ねると、彼女は可笑しそうに笑った。


「うふふ、そうねぇ~。アタシが女でも男でも愛してくれる、真の『ハニー』を見つけたからかしら♡」


見上げる私の頬を指でなぞる。

優しく、愛おしそうに――。

「愛しているわ。アタシの愛しのハニー♡」

それに答えるように、私も彼女の頬に触れる。

愛しい人に触れるように――。

「はい、私も愛しています。ハニー♡」

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