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それでも、生きていた  作者: sinnemina
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第4−5話

やっとのことで寝ることは出来たが、窓から陽の光がチラついてしまい目が覚めてしまった。三、四時間程しか寝れなかったな。


起きたところで何かする訳でもなく、ベッドで横になりながら天井を見てると…。




コンコンッ。




突然の物音に驚いてしまい、身体が跳ね上がる。扉からノックの音がしただけなのに。


僕は扉を凝視し、しばらく息を殺しジッとしていたがノックの主からアクションが無かったので、起き上がり恐る恐る扉に近づき、ゆっくり扉を開けると外には誰もおらず、床に食事が置いてあるだけだった。


そうだった、昨日食事を頼んでいたのを忘れていた。寝起きだったから寝ぼけていたな。また昨日と同じ様に食事を持ち、ベッドに戻って献立を確かめる。今朝の献立は、野菜スープとパン、そしてコップに水が入っている。昨晩と同じメニューだ。


味も特に変化は無かった。だが、スープは昨晩の物より温かく、パンも昨晩食べた物より柔らかく感じた。


この事から (多分、食事は朝にまとめて作り置きしているんだろうな。)と推測してみる。まあ、どうでもいい事なんだがな。




その後、食事を終え食器を部屋の外に出すと、顔を洗いたかったので洗面所の場所を聞きたかったので、受付の際にいたお婆さんを探す。少し探すと、お婆さんは厨房にいたので話しかける。




アキラ「すみません、洗面所って何処にありますか?」




お婆さん「ああ、裏手に周ると井戸があるからそれを使いな。」




アキラ「わかりました、ありがとうございます。」




お婆さん「あ、それとねアンタ!  食べ終わった食器はここまで持ってきておくれ。」


穏やかな口調で窘められた。


しまった、そういうルールだったのか。部屋の前に置いたままだから持って来ないと。




アキラ「すみません、今持って来ます。」


僕は急いで部屋に戻り、食器を返却してから裏手の井戸に向かった。井戸の近くにはタライが二つと洗濯板が置いてあったので、洗濯をする際はここを利用するんだな。そういえば浴場が館内に無かったが、もしかしたらタライの一つは湯浴み用のものかもしれない。だが、風呂は屋外か。となると女性は利用出来ないし、何より季節によっては風邪を引くだろうな。宿屋のお婆さんとかはどうしてるんだろうか?


そんな事を考えながら井戸から水を汲み、その水で顔を何度か洗顔する。いくら洗顔しても気分は晴れない。胸に黒い靄がかかっている感じだ。原因はわかってるし、解決手段など無い。一生付き合うんだ、これからもずっとな…。





また、今日も一日が始まる。






洗顔を終えると、また自分の部屋に戻ってベッドに寝そべり毛布にくるまった。生産性が無く、無意味だとわかっていても動き出せない。毛布で口元を抑えていると落ち着いてくる。思考が止まり、時が静止した世界にいる感覚だ。僕の気分が落ち着いた所で何も現状は変わらないんだがな。




風呂にでも入ろう。昼間になったので気温が上がったのもあるが、気分転換をしたいのもあった。風呂は、お婆さんに聞いたところ、やはり屋外の井戸付近でやってくれとの事。お婆さんに頼めば有料で、タライ一つ分のお湯を沸かしてくれると。なので、お婆さんにお湯を頼み、沸き上がるまでは洗濯でもした。一人分の服しかないので、すぐに洗い終わった。干した洗濯物を眺め、待っているとお婆さんがお湯を台車に載せ持ってきてくれた。


僕は人目を気にしながら、服を脱ぐと(この場所は左右は民家に囲まれてるが正面は大通りではないとはいえ、通りに面しているので見ようと思えば見える位置だ。)上半身裸の下半身は下着だけといった格好になった。


恥ずかしいのと寒いのもあって体を洗い終えたらすぐに服を着て部屋に戻った。




そして、夜まで何もせずにトイレ以外は部屋に篭もり、食事の時間になったら食事を食べ、そして食器を返却し、歯を磨いて寝る。一日のルーティンが出来上がっていた。




宿に来てから二日目の夜が終わり、三日目の朝を迎えた。三日目も上記のルーティンをこなして終わった。四日目では勝手知ったるものとなり、誰とも話さずに一日を終えた。五日目には、人の気配を感じると他の宿泊客や宿屋のお婆さんと会わないように避けていた。六日目は風呂や洗顔もしなかった。とにかくもう、人を見たくなかった。関わりたくなかった。一人になりたかった。気持ちの整理をつけたかった。




そして七日目になった。

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