21話 イデアの残酷な運命の後悔
はっ!俺の意識は覚醒して真っ白な部屋のベッドから上半身を起こし辺りを見回す。俺はなぜこんなところにいるのだろうか?もしかして夢でもみていたのだろうか。俺は記憶を思い出そうとした。脳にチクリと鈍い痛みがはしり、さっきまで魔族のキカイと戦闘してたことを思い出す。俺はシロの魔法で吹き飛んで意識を失ったところまでは覚えてるけどドアもないこの白い部屋は見覚えが無い。
すると後ろから声をかけられた。
「やぁ、異世界での生活は楽しいか?」
後ろを振り返るとちっこい幼女がいた。
「お前はあの時の神様か?」
俺はすぐ神様だと思った事に驚いた。それはこの小さい神様の最初に見た時のインパクトが思ってたより大きかったのだろう。
「神様と呼ばれるよりイデアと呼んでほしいな」
イデアと呼んでほしいといいながら神様は微笑んでいた。小さいながらもその整った可愛い顔はシロにも負けてなかった。まぁこの場合は神様を基準にして神様ほどシロが可愛いといったところだろうか。
「ここはどこですか?」
「お前の夢の中だ」
夢の中だと言われてもいまいちピンとこないんだけどな。だが俺は不安を払拭できず神様に聞いた。
「もしかして俺はまた死んだのか?」
「いいや、生きてるよ」
俺は神様からのその言葉で安堵する。
「それなら早くシロ達に会いたい」
「そう、慌てるな。この夢の世界では時間はたたない。しかし、制限時間はあるがな」
「ところでイデア様はなんのようですか?」
俺はさっさと戻りたくて話を急かす。
「なに、お前と話がしたくてな」
そういいつつイデア様は暗い雰囲気を醸し出した。
「制限時間があるないにしろ嫌なことはハッキリ言った方が後悔しなくてすみますよ」
これは俺なりの優しさだ。イデア様は俺に後ろめたい気持ちがあるのは表情で察したから俺は気にしないから話をした方が楽だぞという意味である。
「私の勝手な思いで転生をさせてしまい本当にすまない」
「気にしてないですよ」
「いや、お前は必ず私を憎む」
「なら、約束してあげますよ、俺はイデア様がつらい思いをしているなら力になってあげますし、恨むことはあってもイデア様が謝罪するならゆるします」
「とりあえず聞いてくれ。お前は第2の人生を歩めて感謝してるかもしれないが違うのだ。このリディアという異世界は滅びに向かう運命だったのだ。この第零宇宙は他の神々である管理者達の策略によってリディアの生き物を全てエネルギーに変換して星の資源は分配。簡単に言えば無慈悲にリディアの生き物全てが死ぬ運命なのだ。だが滅びゆくリディアを助けることができる者が第七宇宙の地球にいる事が判明して我が友、管理者ナンバー007聖天の加護ラファエルが君が死んだら君の魂をこちらに移すと約束してくれた。私やこの星にとって君の地球での死はとても喜ばしいことだった。なぜなら、君が地球で早く死んでくれないと他の宇宙の人々がリディアにいつ攻撃を仕掛けてくるか分からないからだ。」
「何故、俺がリディアを救うことが出来るのですか?」
俺はどう考えても自分が英雄ではないことを知っている。だから疑問なのだ!なぜ俺がリディアの生き物、命を助けることができるのだろうか。
「詳しいことは言えんが、人にはそれぞれ、大きい小さいにかかわらず運命のレールがある。宇宙は何百年という歴史がいくつか枝分かれしてるが未来がほぼ決まってる。しかし、決まっている運命は新しく生まれた生き物の運命で未来のレールが書き換えられる事がたまにあるんだ。しかし、それはごく稀で強い運命の力がないとダメなんだ。」
「えっーと、スケールが大きすぎてよく分からないんですが簡単にまとめると俺がいることでリディアを救えるということですか?」
「まぁその解釈で良いがリディアが救われる可能性は今となっては1%の奇跡なのだ。99%は失敗する。本当ならもっと高い確率で絶対とは言わなくてもリディアの生き物達を救えたはずだった。しかし、第一宇宙の管理者サタン達によってラファエルはサタン達の操り人形となってしまった。サタン達はラファエルが築きあげた地球の人間の科学技術を用いてやってはいけない世界が決めた運命のレールを自分達に都合の良いように改変してしまった。だから、君にごめんなさいと謝る」
「なんで謝るんですか?悪いのはサタンでありあなたが責任を感じることはないです」
「違うのです。私は私の身勝手なわがままを通すためにあなたに、あなたに....」
「なんでそんなに泣いているんですか?」
イデアはすごい泣きながら嗚咽を漏らしていた。
「私は1%の奇跡があればリディアの生き物を助ける事ができるといいましたよね」
「それが?」
「ラファエルが見守って築きあげた地球の人々の科学力は凄く、サタンが科学の力で運命を固定してしまった時点でいくらあなたの運命の力が大きくても既に手遅れだったの。だから、私は少しでもリディアを救う可能性を上げるためにあなたの大切な人達が死ぬ事で少しでもあなたの運命の力を上げることにしたの。運命の糸というのは特定の誰かを救うために死ぬと生き残った人は死んだ人のぶんだけ運命の力が大きくなるの。本当にごめんなさい」
俺はそれを聞いて声どころか呼吸すら忘れるほど親しい家族や友人の思い出を思い出していた。
そんな俺の人との絆を壊すかのようにイデアがさらなる俺にとって残酷なことを言う。
「お前は知ってるかもしれんがステータスに神に認められし者ってあるだろ?」
そういえばそんなのあったなと思う。
「はい」
「私はお前にあげる能力はないと言っただろ」
「はい」
「しかし、あれには聖属性魔法を使えるような標記がステータスに刻まれてる。しかし、お前の種族は聖属性魔法をもとから使える。よって意味がないのだ、神に認められし者なんてものは。」
「えっ?ではなぜそのようなことを」
「理由は2つある。1つはまず、お前に私が授けた呪いに気付かれたくなかったからだ、2つ目はサタン達管理者に私がお前に施した細工に気付かれたくなかったからだ」
「どんな呪いなんですか?」
「呪いの内容はお前の運命の力を寿命が尽きるまで終わらせないこと」
「それはつまりどういうことですか?」
「すまない、時間だ」
そう言ってイデアと白い部屋は輪郭が徐々にボヤけて消えていった。




