メラニーvsエトムント
ローズの声と共に対決が決着した。
正直ヴェラとの戦いの後、観戦していた他の生徒からヒソヒソと話している様子は見てわかったが会話の内容はわからない。
「ねぇリオンくん。かっこよかったよね」
「いやヴェラさんも凄かったよな!」
ほとんどの生徒は僕たちの戦いを観て感想を言い合ったが、僕の事を観察していた様に観てたリンと二人でヒソヒソと話してるメラニーとエトムントだけは別角度の感想を思っていそうだ。
「なぁ二人の動き…」
「ええ、まるで未来がわかっているかの様な動きをしていたわ」
(ほら、僕の耳元にも伝わってきた)
それでも遠くで一人笑みを浮かべているリン=フォン=レイティーンだけは僕の事を獲物を狩るような目で見てくる。正直彼女とは此処で戦うべきではない。多分向こうも同じ気持ちだろう。
「それでは!続いての試合をはじめる!」
ローズの高らかな声とともに対戦相手が呼ばれる。
「メラニー=クロースとエトムント=フォン=ハンシュタインは前へ!」
そう言われた二人お互い顔を見合わせた。
二人は並んで歩いて戦いのステージまで上がった。
「メラニー=クロース。君は俺の剣技に見とれてしまうだろう」
「その自信。自己紹介でも現れていたけど、口だけじゃないことを願っているわ」
「フン!」と木剣を振りかざすと風が伝った。メラニーの髪がなびく。
その素振りは観客席にまで伝わるほどの力強さだった。
(素振りだけでこの威力?一体いつから剣を振っているんだろう)
「へ~流石ね」と横に座っているリン・フォン・レイティーンが言った。
(ていうか、何でこいつが隣に座っているんだ?)
「ねぇ…」
「ファ!!!!!」
「どうしたの?」
「いや…何でもない」
(驚いた…。まさか気づかない間に隣にヴェラが座っているとは思わなかった)
「あの二人どっちが勝つと思う?」
ただ普通に話したいだけだったようだ。
「わからない。ただ個人的にはメラニーを応援する」
「それはなぜ?」
「まあ…ただ関係値の問題だな」
「関係値?」
「まあ入学試験でグループ組んだからね」
「個人的な感情だね」
「何だよ!悪いかよ」
そういうとヴェラは首を振り「悪くはない」と一言だけ呟いた。
(一体何なんだ。掴みにくいな)
「それでは第二試合始め!」
僕がヴェラと話している間にローズの声が耳に響いた!
ーーーーー
私はローズ先生の合図でエトムントに接近するべく低い姿勢で走った。対するエトムントは待ち構えるように木剣を構えていた。
さきほどの一振りでどれほどの威力か分かった。エトムントは自己紹介の時に鬼神流だと言っていた。鬼神流は力で押しきるのが得意とする流派だ。正直、蛇神流との相性は良い。むしろ風神流のような速くて剣筋が見えない方が相性としては最悪だ。リオンのように素早く動いてしまうと蛇神流の相手の力を利用することは難しい。だからこそエトムントの鬼神流は相性がいいと思っていた。だが鬼神流とは想えないほどの素振りの速さにあの恵まれている体格。
ただ相性がいいことなのは事実。だからこそ私は怯えずに立ち向かっていくことが重要だ!
私は相手の首を狙って突きをしようとした。
それに対しエトムントも同じように突きをした。お互いの剣先に当たった。その時私は僅かに手首を返して下の方に向けた。するとエトムントも驚いて態勢を崩して、そのままお腹の方に突けた。エトムントは苦しそうにしていたがすぐに私の真上から攻撃をした。私は蛇神流としてエトムントの動きを受け流そうとしたが、威力が強すぎて私の木剣が粉々に崩れた。
その瞬間「そこまで!」とローズの声が高らかに聞こえた。
ーーーーー
メラニーとエトムントの模擬戦を観ていたリオンはエトムント=フォン=ハンシュタインの動きを見ていた。
「今のは…」
「エトムント=フォン=ハンシュタインは身体の使い方が上手だった」
「ヴェラ。わかるのか?」
「まぁね…彼は腕だけの力で木剣を粉砕したわけではない。全身を使っていた…」
「そうね。まるで右腕に全体重を乗せていたわ」
隣にいたリン=フォン=レイティーンも話に入った。
ヴェラは自分が話したいことを言われたからなのかリン=フォン=レイティーンの方を鋭い目つきで睨んでいたような気がした。
「フフどうしたんですか?ヴェラさん?」
「いえ、何でもありません」
(僕を仕切りとして使わないで欲しい)
二人は数秒の間バチバチと目線を合わせていた。




