褒美
ここラヴィーバル学園には一号館から五号館まで分かれている。一号館一階の左手奥にある部屋。扉は金色にコーディングされており明らかに他の扉とは隠し切れない雰囲気が漂っている。
《トントン》と扉をノックして中にいるであろう人物に知らせる。
「入ってもよろしいでしょうか?」
「入り給え」
私は重い扉を開けると中には座っている。エミル・フォン・アードナーが目に入った。
「そうかしこまらずとも入っていいですよ」
そう言われたので私は礼してエミル理事長の前まで歩んだ。
「エラ。もう下がって」
「わかったわ」
エラと言われた女性は理事長にお辞儀して部屋から出て行った。
ただ私に向けての視線は他の人とは違うように感じた。
「すまないね」
「あの人は…」
「私の友人だよ。出会って数年の中だが私も彼女のお願いことには苦労するよ」
そういうと机の上に置かれていた大量の書類を火魔力で灰にしていた。
(それ大事な書類じゃないの?)
「さて、リン・フォン・レイティーン。貴女にはアイス・トロールを討伐したため私からの褒美を与えよう」
「その前に私からの質問いいですか?」
「どうしたの?」
エミル理事長は驚いていた。
「少し気になっている生徒がいまして…」
「もしかしてだけど…リオン・ハイランド君とエリー君のことを言っているの?」
「フッ…流石エミル理事長ですね。私たちの試験を生徒と混じって受けていた人は違います」
「あれ?バレていましたか」
「私が気づいたのは、アルン・フォン・ラインハードがリオン・ハイランドに奇襲した時です。あの後私が近辺を索敵したら明らかに見覚えのある魔力を身に纏っていたので気になっていたんですよ。最初は気にも留めなかったんですが、ここの部屋に近づくにつれて思いだしました。部屋の外にも魔力がかくしきれていませんよ」
「フフッ流石…吸血鬼といった所でしょうか」
「やはり知っていたんですね」
私は、一瞬だけ目を表情が硬くなったがいつもの親しみのある表情へと切り替えた。
「もちろん!私のアードナー家に知らない情報はありません」
「流石です。表では未来の子供達に学ぶための場所を与えている人。ただ裏では様々な情報を手に入れる。情報収集にかけたプロね」
そういわれたエミル理事長はため息をついて「少し訂正しておいて、正義のためなら情報を売るのよ」
「メラニー・クロースさんの家を追放したの貴女じゃなくて?」
「だってあの男が悪いことしていたのが悪いじゃない」
「そうですわ…」
「それで?アルカディア国を支えてくれた由緒ある吸血鬼様が彼らの何が知りたいの?」
「あの人達は何故あそこまで強くなられたんですの?」
「さあ、私にはわからないわ」
「とぼけないで!私には全てわかっていますわ!」
「何を?」
「貴女が最初からリオンやエリー達を尾行していたのは」
「もういい!これ以上はリン・フォン・レイティーンに何も話すことはないわ」
この話題に飽きたのか急に態度を変えて引き出しの中から取り出した物を取り出して私に投げてきた。
私が物をキャッチして受け取った物を見ると血液だった。
「これは…!?」
「本来だったら魔力が増量する薬でも渡そうと思ったけど、貴女が黒の魔石を入手したんだもん」
「この血液って…まさか!」
「この血液はアルン・フォン・ラインハードがリオン・フォン・ハイランドに攻撃をした時に負傷した血液よ」
「こんな貴重な物いいんですか?」
「私には血液の良さなんてわからないけど…」
「うわ~~~~」と今の私は目を輝かせていると思う。
「ありがとうございます理事長!!」
そう言い勢いよく扉を閉めた。
彼女が帰った後、エミルはエラからの話を思い出していた。
「私の弟子を横取りしないでね!」
「フフッ。私も彼の動向が気になるかも」




