剣士コース
僕は、今とてつもなく困ったことが起きていた。
一人で学園のマップを見ている。
「うーん…」
あまりこんな事言いたくはないが、実際に迷子になっている。
(これは困ったぞ…いつもだったら知り合いについて行くことが優先だが、初日から詰んだ?)
一人で悩んでいると背後から「よっ!」と背中を押された。
「イテッ!」
「悪い悪い!お前剣士か?」
「ああ、こんな物持っているからな」
僕は腰についている剣を見せた。
「まあそうだな。それで何でここ突っ立っているんだ?剣士コースはここじゃねぇぞ」
「いや、まぁ…」
「何ボケーとしているんだ?早く行くぞついて来い!」
「ああ!」
僕は勢いのある彼の後をついて行った。
(恥ずかしい…何で僕はいつまで誰かの後を追わないといけないのか。昔から誰かの後を追っていた僕は反省してこの異世界で努力をし続けたつもりなのに…肝心の所で誰かに話しかける勇気もないことが…)
二号館に移動した僕たちはフロアにいた先生らしい人に「新入生は三階です」と低い声の女性の先生はコーヒーを飲んでいた。
「それじゃあ行くぞ!」
「うん!」
僕らは急いで三階に向かった。すると手前の教室の中を覗くと十人ぐらいしかいなかった。
「おお!結構な人がいるじゃねえか」
彼はズカズカと教室の中を歩いて行った。
僕も教室の中に入った。席は特に決まっていないらしいので窓際の一番後ろの席に座った。結局学校という場所は後ろから誰かに見られている感覚になるのが一番嫌だった。誰かに消しカスを投げられるわ。背後から驚かされるわ。大変な中学生活を送ってきたのを思い出したから後ろの席にした。
そして僕の横に座ったのはメラニー・クロースだ。
「おはよう!」
「おはよー!そういえばエリ―と一緒のルームメイトになったんだ」
「そうなんだね」
(……全然知らなかった)
「お前ら!席に着いてるか?」
入ってきたのは先ほど一階でコーヒーを飲んでいた低い声でかっこいい女性だ。
「よーし。まずは私の自己紹介からだ。君たちの担任になった。ローズ・フォン・アンワースだ。これから覚悟しておけよ!」
僕らは彼女の殺気こもった視線に全身が身震いした。
(な、なんだ?この女先生なのに生徒と仲良くする気持ちはあるのか)
「まあいい。それじゃあまずは一番前の席に座っているお前から自己紹介をしろ!」
そう言われると一番前に座った男が自己紹介を始めた。
次々と自己紹介をしていた。次は僕に話しかけてくれた人の番だ。
「俺は、エトムント・フォン・ハンシュタイン。流派は鬼神流を扱う。強い奴はいつでも相手するぜ!!」
元気よく自己紹介を終えた。
(はは、元気だな。こういう奴が将来何かを成し遂げるんだよな)
「それでは次!」
「はい!私はヴェラ。流派はなし。よろしく」
(こういう単調な挨拶する奴もいるんだよな。それにしてもアイツは平民なのか)
「それでは次!」
「はい!私はリン・フォン・レイティーン。よろしく」
(そ、そういえばアイツも剣士コースだったのか)
その後も自己紹介を続けていきメラニーの挨拶を終えて最後僕の番になった。
「僕はリオン・ハイランド。流派は風神流です!よろしくお願いします!!」
「よし!これで全員だな」
(あ、あぶねー。噛まなくてよかった~)
「それじゃあ今から君たち自身も知りたいであろう一対一で対決をしてもらおう。実力で測ったほうがこの学年で誰が今強いのかわかるだろう」
「ですが、入学試験のランキングでわかっていますよ」
(それはそうだ。今日掲示板に昨日の結果が貼ってあった。その中には名前だけだが僕のも書かれていた)
「フン、あの試験はダンジョンや冒険者としての立ち回りを見るためだ。ただ今回は違う。個々のレベルを知ることだ。もちろんチームとしての動きも重要だ。しかし私に言わせれば個人で輝く逸材もいると思っている」
(ローズの言い分も理解できる。チームは全員で動くとは限らない。昨日の試験で一人になったことで上位の魔石を効率よく周ることも、途中はぐれてしまう場合もあるだろう)
「それでは場所を移すぞ」
移動している最中にメラニーと雑談していると「ごきげんよう」とリン・フォン・レイティーンが挨拶してきた。
(コイツが、何を考えているのかわからない…)
「リン様!」
「そんなにかしこまらなくてもいいわ」
「それに、リオンは私のことを無視しているし…」
「申し訳ございません。考え事してて」
「そんな言葉づかいをしないで。私たちは同じ学年なのよ」
三人で雑談していると僕たちは五号館にある第二決闘場に来ていた。
ちなみに第一決闘場は魔法コースの人々が使用しているらしい。
「それではくじ引きで対戦相手を決めよう!同じ数字の書かれた者が対戦相手とする」
(一体誰が対戦相手になるのか…)




