照れ隠し
俺は栗色の髪の少女をダイニングに移動させたベッドで横にすると、キッチンでクラフトをおこなっていた。
薪コンロの上に鍋を置き、中にムギと水を入れる。
そこに塩を足し、フタをした俺は鍋ごとハンマーで叩いた。
「クラフト!」
すると鍋がポンと音を立て、中から白い煙と一緒にムギの香りが漂い始めた。
フタを開ければ、イメージ通りの白くてドロドロな麦粥が入っている。
ハンマーだけでおかゆが作れることに驚きは隠せないけど、楽でいいや。
「さすが主様、もう工作魔法の扱いになれているのです」
「というか、俺からしてみれば、ハンマーで料理が出来る違和感すごいんだけどな」
「えっへん、万能工具ですから。さてと、では変身!」
目の前がキラキラ光ったと思ったら、ルッツがハンマーから人の姿に変化していた。
「ハンマーが喋っていることに驚いて、心臓止められても困りますから。ということでお皿は私が運びますねー」
確かに工具が喋っていたら、頭がおかしくなったと思う以前に驚くか。
死にかけた子が目の前で死なれたら夢見が悪いし、この姿の方がありがたいか。
さて、後は女の子を起こして、何か悪の組織の親玉っぽい振りをするか。
こう左手で右手の肘を支えて、右手の人差し指と中指でこめかみを、親指で顎を押さえる怪しいポーズをとって――。
「ここ……は?」
「ふっ、目が覚めたようだな」
「あ……あなたは?」
ベッドの上で目を覚ました少女が困惑した表情で、俺を見上げてくる。
いや、まぁ、自分でも思うけど、明らかに怪しい人のポーズだよね。今の俺。
「さぁ、まずは口を開けろ。水攻めにしてやる」
「お水……?」
「口を開けろ。喉を鳴らして悲鳴をあげろ」
少女の口の中にコップから少しずつ水を垂らしていく。
その水を少女は喉を鳴らしながら、コップが空になるまで飲み続けた。
ちぃっ、まさか水が足りなかったか!?
「はぁはぁ……助かり……ました……。喉からからだったんです……」
ホッとしたように息をついた少女は、胸を押さえて感謝している。
だが、俺の責めはまだ終わっていない。
「何を言ってる? まだ俺の嫌がらせは終わって無い。ルッツ」
「はい。主様」
ルッツが麦粥の入った皿を持ち、俺がスプーンで中身をすくった。
指を近づけてみると、熱々だったはずの白濁液が、ぬるくなっている。
なるほどルッツのやつめ、最高の嫌がらせだ。
「そ……それは……」
「フハハ、恐ろしかろう。今から俺のこの白くてどろっとしたモノを、お前の口の中に無理矢理入れてやるぞ」
少女を脅迫して無理矢理口を開けさせると、少女の口の中に白くてドロドロした物をねじ込む。
「あっ……」
「飲み込んだな? それで耐え抜いたつもりか? まだまだあるぞ!」
一体自分が何をしているか分からなくなってきたけど、とりあえず、少女が口を閉ざすまで俺は麦粥を押し込んだ。
「けほっ……お腹いっぱいです……」
「ほぉ、お腹がいっぱいだと?」
「こんな親切にして頂いて……なんてお礼を申し上げていいか」
少女が希望に満ちた目を俺に向けてくる。
「何を言ってる? 親切? 笑わせる。俺はお前を陵辱しようとしてんだよ! ルッツ!」
「はい! 主様! 熱湯の準備はバッチリです!」
俺とルッツのやりとりで少女が自分の身を抱きかかえた。
自分の身の危険に気がついたのか、少女がぷるぷると震えている。
その少女の身体を無理矢理抱き起こし、米俵のように肩に担いで風呂場に連れて行く。
「なっ、何をするつもりですか!?」
暴れる少女を風呂場の床に降ろして、手を無理矢理上に引っ張った。
「ルッツ!」
「はい、主様」
俺の合図でルッツが少女のボロ布を剥ぎ、バスタブに放り込んだ。
少女が水しぶきとともに短い悲鳴を発する。
「きゃっ!?」
「主様やっちゃいますよ?」
バスタブの中で慌てる少女に対して、ルッツが泡のついたタオルを一つ俺に渡す。
そして、ルッツもタオル片手に、手をわなわなしていた。
「おう、やっちまうぜ! 泡でその肌を攻めまくる。薬攻めだ、これで、お前の身体はもう薬なしでは生きられない身体にしてやるぜ!」
「え!? きゃっ!? きゃー!?」
「ふははは! 泥臭いんだよ! 今から石けんの香りでお前の鼻をおかしくしてやる!」
少女の身体をルッツと二人で、泡だらけのタオルを使いこすり始めた。
「泡だらけにしてやるのですー! 苦しむと良いのですー!」
「ルッツもノリノリだな!」
ごしごしと少女の身体を綺麗にすると、頭から熱湯をかぶせて一気に泡を流し去る水攻めにする。
冷静に考えたら石けんの香りとか泥の香りじゃ無くて、犯罪臭が漂っている気がするけど、気にしたら負けだ。
そうして、びしょびしょにした少女をバスタブから引っ張り出し、ルッツと二人でタオルを使ってもみくちゃにする。
「ハハハ、どうだ。目の前が真っ白になって怖かろう!」
「もみくちゃにしてやるのですー! 痛かったら泣き叫ぶと良いのですー!」
そんな俺達の脅しにも屈さず、少女は必死に俺達のタオル攻めに耐えている。
結局水を全部拭き取るまで少女は声をあげず、耐え抜いた。
なんて強情な娘なんだ!?
「やるな……。これほどまでの攻めを受けて、まだ屈さないか。だが、これならどうだ!?」
俺は最後にはボロ布を使ってクラフトした白いワンピースを、頭から被せた。
「ふはは。お前のボロ布は俺がこの白い布に変えてやったぞ! お前の思い出も一緒になくなってしまったな! ハハハ!」
「あ……え……?」
「そして、トドメだ! 火であぶってやる!」
「きゃっ!?」
またもや少女を肩で担いだ俺とルッツは、彼女を暖炉に火をくべて温めた部屋に運び、ベッドの上に乗せた。
「ふはは。暑かろう。このまま暑さに耐えきれず沈むと良い! ルッツ、こいつの監視を怠るなよ! 死に顔は俺も見たいからな!」
白いドロドロした物と、熱湯の陵辱に耐えた少女は、火のくべられた部屋でついにゆっくりと目を閉じた。
そんな彼女の安心仕切った寝顔を見て、俺は長いため息をついた。
「はぁー……疲れた……。何してんだ俺は……久しぶりに女の子と話さないといけないからって、てんぱり過ぎだろ……」
「良かったですね主様。これなら持ち直しそうです」
「……なら、良かった」
精霊が言うのなら本当に大丈夫なのだろう。
慣れないことをしたせいで、何かすっごい疲れた。
「俺も飯にしようかな。ルッツ」
「はい。私もハンマーに戻りますね」
名前も知らない少女を部屋に残し、俺はルッツを使って自分の食事を用意するのであった。
「というか主様、今更ですけど、これって陵辱ですか?」
「そこはスルーしてくれよ……」
そう思わないと情が湧くし、恥ずかしいだろうが。




