表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇に恋して  作者: 冴島月ノ助
血の月
122/126

彼氏の実家

 九条があまりに当たり前のように言うから、紘乃はすっかり反応のタイミングを逃してしまった。


(そんな、いきなり過ぎる……)


 心の準備もないままに、目の前で起こる展開に、気持ちがついていけない。

 急に身体が硬直して、冷や汗が流れる。


(どうしよう、緊張してきた)


 その緊張は繋いだ手から、九条にも伝わっていたらしい。紘乃がぎゅっと力を込めた手を、九条も力強く握り返した。

 紘乃だけに伝わる体温。たったそれだけでも、ひどく安心出来る。それは紘乃の手を包み込む九条も、同じ気持ちだった。


「九条先輩」


 篠宮に呼ばれ、九条は我に返って振り向く。


「美月が限界みたい」


 そう言った篠宮の横で、美月は見るからに苦しそうな吐息で俯いている。篠宮が支えていなければ、今にも倒れそうだ。

 心配した女子達が声を掛けても返事はない。


「ちょっと大久保ー」


 九条が呼ぶと、大久保は如何にも嫌そうな顔を向けた。


「眼鏡さん、運んでやって?」

「なんで俺が」

「誰のために眼鏡さん口説いたと思ってんの。他の子で文句言うのお前だけなんだから」

「……チッ」


 大久保はわざとらしく舌打ちをして、美月の前に立った。


「ぅ、あの……あたし、大丈夫なんで――」

「黙れ」


 具合が悪いながらもさすがに大久保の不機嫌を察した美月が、慌てて身振り手振りで大丈夫だとアピールする。

 しかし大久保は問答無用に振り上げた手を、美月の首筋に振り下ろした。


――ドサッ!


(((えーっ!?)))


 手刀の一撃を食らい気絶した美月を、大久保が肩に担ぎ上げる。

 あっという間の鮮やか過ぎる一連の流れに、皆口を開けて呆然と立ち尽くすしかない。


「一応病人だから丁重に扱ってやってー?」


 九条の言葉も虚しく、美月はそのまま米俵担ぎで連行された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ