エピソード2 少年たちはかく語る1。
僕らは早速荷物をまとめた。ジャニからは手紙とともに、イスタンブールまでの汽車のチケット、さらにキャラバンの通行証が5枚ずつ送られてきていた。ほんとあいつはしっかりしてるよ。出発の日、やけに空いた車両の中では俺とボーンとオレオが同じ席に、ノッサとレイラは違う席に二人で座っていた。ボーンは朝の六時だって言うのに持って来たワインをラッパ飲みしている。あいつはもともと変わった奴だったがリセに行ってからますますひどくなった。と言うか、フットボールを辞めてからだ。あいつは自分が思っている以上にフットボールが好きだった。あいつは言う、「俺もリセでフットボールをやろうと思ったのよ、でもな、金はかかるし、パスと形式的な戦術ばっかでよ、俺が好きなのはああいうのじゃない。またお前らとやりたいよ、自由なやつ。」今は部屋にこもってギターを弾くさみしい毎日を過ごしているそうだ。あいつ曰く「フットボールをしていない俺なんて、ただの口が回るペテン師よ、何千万人といる飲んだくれで、目の死んだフランス人の一人さ。」であるそうだ。ボーンはまだ言う、「俺もそのうちこのなんの感動もない毎日に慣れるだろう。即ちそれは悪い意味で大人になっちまうということだ。真顔で経済や美術、高いスーツの話をし、相手のことを勝手に推し量るのさ、そして分かった気になるのよ。さらにそんな話ができる自分は賢くて複雑な思考ができると勘違いしちまう。そうなっちまったら、おしまいよ。だから助けてくれよ!」俺とオレオは少し同情し、ただ頷いた。一方レイラとノッサはただならぬ雰囲気で星や愛について語り合っていた。「ねえノッサ私たちって愛しあってる?」「もちろんさレイラ。愛ってなんだと思う?」「うーんわからない!」「教えてあげる。それは思い出さ、」「思い出!?」「そうさ、特別な思い出、」それはラテン語でスーベニールと呼ばれただの記憶では終わらず、力になるものを指す。「俺みたいな男はフランスに何千万人といる。それは君みたいな女性も同じだ。でも、二人の間に特別な思い出ができれば、その瞬間二人はお互いにとって特別な存在になる。」「ノッサそれってとってもステキでロマンチックね!」そんな楽しげな会話が聞こえて来た。だが、彼の視線は正直で、その関心は別のところにあった。言葉はときに嘘つきで、残酷である。




