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 紆余曲折あった末、兄は隣国の第一王女に一目惚れして婿に行ったんだけど……


 兄の一目惚れ事件は色々あり過ぎて思い出すのもメンドクサイので割愛。


 隣国は王子が居らず王の子供は王女ばかり、そこに旧知の仲である父上の子供であった兄が第一王女に一目惚れして猛アタック。


 第一王女の妹姫達には既に思う者が居たらしく、降嫁が決まっていて跡を継ぐのが第一王女となっていた。

 だから兄と結婚した場合、兄が婿に行くといった話がお互いの両親含めての話し合いで決まったらしい。

 兄は兄でやはり、正妃の子供ではない事がいつか争いの種を生むのでは無いかと危惧していたらしく、自国で王になる気は無かったと話したのだとか。


 うちの両親も隣国の王と王妃も大恋愛の末の結婚だったそうなので、自分達が納得しているのなら良いとあっさり決まったそうだ。


 兄が隣国に旅立つ前日、家族が揃う最後の食事の席で兄はみんなに言った。


「私はとても幸せでした。愛情一杯に育ててくれた母上と父上、そして大好きな弟と妹達。これからは離れてしまいますが、俺はここに生まれてきてよかった。母上と父上の子供でよかったと思います。」


 その言葉に母上は号泣、父上が肩を引き寄せ宥めるように背中を撫でていた。


「私達も、こんな立派な息子を持てて嬉しいよ。お前を産んだ母親も、高い空の上で喜んでいるだろう。」


 父上の言葉に、兄は少しだけ目もとを赤くして頷いていた。


「子供が……」


 母上が、声を震わせながら兄に言った。


「子供が産まれたら、見せに来ないと怒るからなっ……」


 せっかく泣きやんだのに再び目に涙を溜めながら、兄に向かって微笑んでいた。


「当たり前です!母上にとって初孫になりますから。必ずこちらに顔を見せに来ると約束します!!」


 兄は母上に笑顔で返して、最後の家族揃っての団欒は終わった。

 翌日、白い正装を纏い、愛馬に乗った兄を国を挙げて見送った。

 隣国に着いたら半年程あちらのしきたりや作法を学ぶと兄は言っていた。

 宣言通り、半年後には結婚式を挙げ、幸せそうに微笑む兄夫婦を見て俺も負けてられないなと色々決意した。


 けど、式を挙げて数ヶ月後に懐妊の知らせが来るとは思ってなかったけれど……

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