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「『お前はバカかっ!!硬いもの、重い物、先の尖った物を投げるとは何事だ!!人に当たったら怪我をするだろうっ!!!!それに、運良く人に当たらず壁に当たったとしても、跳ね返ってきて自分に当たったらどうする!?打ちどころが悪ければ死んでしまうんだそ!!それを分かってやっているのかっ!!!!』と、まだ幼い子供に怒鳴ってしまった。一言一句覚えている。後で冷静になって思えば、怒鳴るのではなく諭さねばならなかったのだと反省した。眠ってしまったジューダスを見て、明日から笑いかけてくれなくなったらどうしようかとその夜は一睡もできなかったなぁ。」
母上は苦笑しながら俺達を見た。
「まぁ結局その時は杞憂ですんだが、その後も色々学ばせてもらったな。ロフィードや姫達も私なりに長男で得た経験を活かして育ててみたが、やっぱり長男は可愛いよ。初めての子だからな、親として初めて接する子になる。そりゃ、厳しくもなるが一番甘やかしたくなもなる。だからなロフィード、諦めろ。」
「え!?」
あっけらかんと言い放たれた母上の言葉に、思わず俺は目が点になった。
「愛情が等しくなることは無いだろうからな。お前が可愛くないとかそう言う事ではないよ?やはり親になったと言うことは特別なんだ。だからその特別分、兄への愛情が強くなるのは仕方がない。だが、言っておこう。その特別分を除けば、お前達子供への愛情は同じだよ。幾つになっても、親にとって子は子だからな。」
清々しく言い放たれた言葉を、頭の中で再生して少し考えた。
いずれ俺も人に親になる、その時子供達全員を同じ愛で接することが出来るかと想像してみた。
でも、その時の俺はまだ6歳。子供を持つなんて10年以上先の話、想像してみたが実際できるかなんて当事者にならなければ分からないと言う結論にたどり着いた記憶があった。
未だに、想像はすれども平等に愛せるとは自信をもって言えない。
「さて、昔話に花が咲いたが実はお前達を呼びにきたんだよ。珍しく、父上がお昼に手が空くから皆で昼食をと言っていてな。そろそろいい頃合だろう。行くぞ!!」
勢い良く立ち上がった母上にならい、俺達も立ち上がった。
母上が来る前まで僅かに曇っていた兄の顔は晴れやかで、スッキリとした表情をしていて、そして……急に大人びた顔をしていたのに少しだけ幼さが帰ってきたようにも見えた。
俺も、母上の気持ちが聞けて良かったと思った。
それ以降も、何かと兄の方が甘やかされていると文句をいう事をあったが、その度に『同じ愛情はやれんと言っただろうが』と困った顔をした母上に言われては、父上や兄に笑われていた。
そのやり取りが、家族の団欒風景になって、これが《幸せ》なのだと幼心に感じ始めた時に、隣国への婿入り話が舞い込んできたのだ。




