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身支度を済ませ、先に修理店の方へと行くと、椅子に座って術具の修理を勧めているウィルエールがいた。結構バタバタと駆けてきて、乱暴に扉を開けたにもかかわらず、修理に集中しているのか、こちらに気が付いてすらいない様子だ。
真剣な表情で彼がいじっている術具は、わたしが修理しきれないと判断した術具だ。
「うぃ、ウィル……?」
わたしが声をかけてみると、パッとすぐにこちらを見て、満面の笑みを浮かべる。物音を立てても全然気が付かなかったのに、わたしの小さな声一つでこっちを向くとは……。
「おはよございます、女神」
「おはよう。……どうしてここに?」
ここはギルドの管轄だから、鍵自体はかかっていない。お金があるわけでもないし。術具を直すことでお金を貰ってはいるけれど、直接ギルド職員からもらうので、鍵の必要がないのだ。
だから、入ろうと思えばウィルエールも入れるとは思うけど……。
「女神がここで修理をしていると聞いたもので。僕も術具の修理は得意ですから。貴女の役に立てるかと」
得意、どころか王宮術士はそれも仕事だろう。術士長にまでなればもっと難しい仕事や責任ある仕事をするのだろうが、平の術士の仕事は王宮内の術具の点検修理もその一つで、彼も通ってきた道のはず。
本職がいるというのは心強い。記憶の整理が済んだとしても、そもそもわたしに対処できない術具がいくつも残っていたから。彼ならきっとなんとかしてくれるだろう。
……それはそれとして。
「……その、女神と呼ぶの、辞めてくれる? なんだか、あらぬ誤解を受けそうだもの」
なんだか主従関係だと思われそうだ。友達なのに。
わたしの言葉を聞き、ウィルエールが少し顔を赤らめながら、目線を泳がせてた。
「昔は普通に名前で呼んでくれたじゃない。駄目なの?」
「……出会った頃は、貴女を友人だと思っていましたから」
「――え」
い、今は違うの……? 友達だと思っていたの、わたしだけ……!?
ウィルエールが友達でないというのなら、わたしは友達が一人もいなくなってしまう。マルシとアルベルトも友達と言えば友達かもしれないけど……昔からの、エンティパイアにいた頃からの友人は、ウィルエール一人だけなのに。
わたしが一人ショックを受けていると、ウィルエールが「ち、違います、そうではなく!」と慌てたように椅子から立ち上がった。
「……その、カルファに申し訳が立たないと言いますか……。彼の立場を考えて……」
……カルファ王子?




