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表の通りほどではないが、細道にもぽつぽつとお店が点在していた。知る人ぞ知る、という隠れ家的スポットなお店なのかもしれない。表通りのようなにぎやかさはないものの、さびれた雰囲気は全くない。
「――……」
わたしは一つの店の前で止まる。誰かに見られているような気がして。
そのお店は、大きな窓が取り付けられていて、外からでもある程度中の様子がうかがえるような構造になっている。ウインドウショッピングにぴったりなお店。雑貨屋さんかな……?
「フィー? ……、この店が気になるのか? 欲しいものでも?」
「……いや、欲しいものは特に……」
なんだかすごく気になるのに、同時にこの店へと入ることへの抵抗があった。……別に、年齢不相応なファンシーショップとかじゃないんだけどな……。ちょっとアンティークっぽさがあって、逆に手が届かないような金額で物が売られている可能性もあるか?
ちらっと見える範囲での値札を見てみる。高くはない。わたしの手持ちが心もとないから、衝動買いするには抵抗のある値段だけど。
「入ってみるか? 何かあれば、俺が買ってやるよ」
「いや、それはいい――」
店の前でアルベルトさんと話をしていると、カツカツと小走りのような足音が聞こえてきて、わたしはふとそちらの方を向く。
――んん?
わたしが気が付いたことを喜んでいるかのように、こちらへと向かってくる男性が、パッと顔を明るくして、手を振ってくる。癖の強い長めの髪を後ろの低い位置で一つにまとめているあの男性――、なんとなく、見覚えが……。
「お久しぶりです、僕の女神! 会いに来てしまいました!」
……。……!?
エッ、ウィルエール、さん!?
どこかで見た顔だな、と思いながら男性を見ていたが、フィオディーナ時代の記憶でヒットした。エンティパイアで生活していた頃に、唯一と言ってもいいような、友人。
えっ、エンティパイアにいた頃の……!?
記憶を引き出し、目の前にウィルエールさんがいる事実を認識するのに時間がかかり、状況を飲み込んでいくにつれ、感情が追いついてくる。
な、なんでこんなところに……!? エンティパイア帝国の人間って、あの海を越えられないんじゃなかったっけ!? わたしの記憶違い……? 本当に?
いや記憶違いじゃないよね!?
フィオディーナの記憶にも、海を越えた一般人の話は存在しない。過去の王子が何人か、留学という名の亡命に使用した歴史があるだけだ。王宮勤めの術士はギリ一般人じゃないような気もするけど……。
「――あんた、誰だ?」
わたしが混乱して、すぐにウィルエールさんへと返事をしなかったからか、アルベルトさんが、わたしをかばうように前へと出た。




