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黒いあおいと、まほうの歌  作者: あみーら


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9/12

9|あたたかい手

つぎに目をあけたとき、ヌールの顔には、赤みがもどっていました。


「ヌール……?」


あおいがそっとよびかけると、ヌールは、ゆっくりと目をひらきました。


「あおい……?」

「ヌール!」


あおいは、思わず、ヌールにだきつきました。


「よかった……よかったよう」

「あれ、ぼく……」


ヌールは、おきあがると、ふしぎそうに、あたりを見回しました。

そこへ、バタバタと、足音が聞こえてきました。


「ヌール王子! ごぶじですか!」


おしろの人たちが、へやにかけこんで来ました。


「王子?」


あおいは、目を丸くしました。


「ヌール、王子さまだったの?」


ヌールは、少しはずかしそうに、うなずきました。


「うん。ごめんね、今まで、ちゃんと言ってなくて」


ヌールは、あおいを見つめました。


「ぼく、あまりおしろから出たことが、なかったんだ。王子だし、体も弱かったから。だから、あそびも知らなかった。あそんでみたくて、おしろをぬけ出したんだ」


「でも、あおいとクロに出会えて、たくさんあそびを知ることができた。体も、すっかり元気になったみたい。あおい、本当に、ありがとう」


あおいは、なんだか、むねのおくが、あたたかくなりました。


「じゃあ、ヌールは、大人になったら、王さまになるの?」

「そうだよ」


ヌールが、しずかに言いました。


あおいは、じっとヌールを見つめました。


「でも……ヌールは、ヌールだよね?」

「うん」

「王さまになっても、あそべるよね?」


ヌールは、にっこりとわらいました。


「もちろん!」

「よかったあ」


あおいは、わらいながら、ヌールの手をぎゅっとにぎりました。

今まで、ヌールがにぎってくれたときと同じ、あたたかいヌールの手でした。

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