9|あたたかい手
つぎに目をあけたとき、ヌールの顔には、赤みがもどっていました。
「ヌール……?」
あおいがそっとよびかけると、ヌールは、ゆっくりと目をひらきました。
「あおい……?」
「ヌール!」
あおいは、思わず、ヌールにだきつきました。
「よかった……よかったよう」
「あれ、ぼく……」
ヌールは、おきあがると、ふしぎそうに、あたりを見回しました。
そこへ、バタバタと、足音が聞こえてきました。
「ヌール王子! ごぶじですか!」
おしろの人たちが、へやにかけこんで来ました。
「王子?」
あおいは、目を丸くしました。
「ヌール、王子さまだったの?」
ヌールは、少しはずかしそうに、うなずきました。
「うん。ごめんね、今まで、ちゃんと言ってなくて」
ヌールは、あおいを見つめました。
「ぼく、あまりおしろから出たことが、なかったんだ。王子だし、体も弱かったから。だから、あそびも知らなかった。あそんでみたくて、おしろをぬけ出したんだ」
「でも、あおいとクロに出会えて、たくさんあそびを知ることができた。体も、すっかり元気になったみたい。あおい、本当に、ありがとう」
あおいは、なんだか、むねのおくが、あたたかくなりました。
「じゃあ、ヌールは、大人になったら、王さまになるの?」
「そうだよ」
ヌールが、しずかに言いました。
あおいは、じっとヌールを見つめました。
「でも……ヌールは、ヌールだよね?」
「うん」
「王さまになっても、あそべるよね?」
ヌールは、にっこりとわらいました。
「もちろん!」
「よかったあ」
あおいは、わらいながら、ヌールの手をぎゅっとにぎりました。
今まで、ヌールがにぎってくれたときと同じ、あたたかいヌールの手でした。




